外国人雇用ニュース:外国人労働者が200万人を超えました

コロナによる入国規制が緩和され、日本で働く外国人労働者の数が増えています。その数は、ついに200万人を超え、当面は増え続けると予測されています。このページでは、2024年に発表された政府統計や外国人雇用に関するニュースを紹介します。

外国人労働者はコロナ禍でも増えている

2020年に始まった新型コロナウィルスの影響により、外国人労働者の数が減っていると思われがちですが、実際は逆です。外国人労働者の数は、2013年から11年連続で増えています。コロナの影響で減ったのは、外国人労働者の数ではなく、その増加率です。コロナが蔓延していた2020年~2022年にかけての外国人労働者の増加率は低いのですが、2023年の対前年比の増加率は12.4%となっています。そして、厚生労働省の発表によると、2023年10月末時点での外国人労働者の数は、204万8675人となっています。

ここで注意してほしいことは、この外国人労働者数というのは、労働局に外国人雇用届出(雇用保険加入手続きを含む)をしている外国人の数を合計したものであるということです。外国人を雇う会社(雇用主)全てが、この届出をしているとは限りません。また、日本に長年住んでいる外国人の中には、通称として日本の姓を使用していることがあります。この場合、雇用主がその人のことを外国籍であると気づかない場合があります。ですから、実際の外国人労働者数は、もっと多いと思われます。

現在、日本の就業者数は約6754万人ですから、約50人に1人が外国人ということになります。単純換算ですが、50人以上の会社であれば、外国人が1名以上いるのが当たり前であり、今後その割合が増えていくことが見込まれています。会社や部署によっては、上司や部下、同僚が全て外国人という状況も珍しくなくなるかもしれません。

ここで、外国人労働者200万人の内訳を少し詳しくみていきましょう。

国籍別にみると、最多国はベトナムの51万8364人で全体の4分の1を占めます。次いで中国が39万7918人、フィリピンが22万6846人と続きます。

在留資格別にみると、日本人の配偶者などが最も多く61万5934人、次いで、就労ビザ(技人国、特定技能、高度専門職)を持った外国人が59万5904人、技能実習が41万2501人となっています。

なお、在留資格別に増加率をみると、特定技能や高度人材を含む「専門的・技術的分野」が最も伸び、24.2%増の59万5904人でした。ここで注目したいのは、特定技能(13万8518人)の伸び率が75.2%もあったことです。特定技能については、特定の国に偏っている傾向にあり、ベトナムが6万9462人、インドネシアが2万5589人を占めています。

前年からの増加率が高い国を挙げると、インドネシア(56%)、ミャンマー(49.9%)、ネパール(23.2%)となっています。インドネシアの場合、特定技能が前年比で2倍以上に増えていることが増加率の高さにつながっています。この3ヵ国については、今年度もさらに増加すると見込まれています。

2020年から約3年間、新型コロナウィルスによる入国制限があり、また、昨今の円安の影響により、外国人労働者は減るのではないかという予測もありました。しかし、現実には、コロナ禍であっても、円安が進んでも、日本の賃金がなかなか上がらなくても、外国人労働者の数は、少しずつですが右肩上がりで増えています。

この要因はいくつか考えられます。まず、日本での就労を希望する外国人は、アジア諸国が多いのですが、現時点では、日本との賃金格差が大きいことが挙げられます。例えば、2022年のベトナム全国の平均月収は660万ドン(約4万円)、年収にすると79,200,000ドン(約45万円)となっています。これは、平均であり、都市部の大手企業等に勤務するベトナム人は、平均よりはるかに高い年収を得ていますが、農村部の中小企業に勤務する多くのベトナムは、この平均額に近い年収です。勿論、日本のほうが物価も高いのですが、それを加味しても、日本で働くメリットがあるのでしょう。また、ミャンマー人労働者の数が前年比49.9%増となっていますが、この理由は、自国における不安定な政情、経済の混乱が影響しているものと思われます。

今後の外国人雇用の展望

2023年10月に、福岡県糸満市の介護施設で、ネパール人の施設長が誕生したことが大きな話題になりました。今後、上司が外国人であるというのは、一部の外資系企業だけではなくなってくるのかもしれません。今後の外国人雇用の展望について、幾つかのトピックスを解説します。

外国人労働者予備軍となる留学生の数

2023年に、岸田首相が留学生40万人計画を発表しました。留学生を増やすという政府の方針は、達成可能性が高いです。過去にも達成実績があるからです。2008年にも、政府は留学生30万人計画を発表しました。当時の留学生の数は、約12万人でした。倍以上に増やすわけですから、相当な年数がかかると予想されましたが、11年後の2019年に達成されました。今回は倍ではなく、約30%の増加ですので、早ければ数年以内に達成するのかもしれません。実際、この発表があってから、留学ビザの審査の一部が簡素化されました。これまでは、留学生の滞在費や学費に関して、誰がどのように負担するのかについて、細かい審査があったのですが、原則、経費支弁方法については根拠を求めないという審査方針に変わりました。この点についての賛否両論があるのですが、留学生は確実に増えていくものと思われます。

技能実習→育成技能への制度改革の方向性

2023年頃から、技能実習制度改革の動きがあります。詳細については、まだ正式決定ではないのですが、ある程度の方向性が発表されているので、その骨子を解説したいと思います。まず、「技能実習」という名前ですが、これを「育成技能」へと名称変更される予定です。実習生ではないという考え方ですね。

これまでは、実習生という前提(建前)があったため、実習生が転職したり、他の在留資格に変更したりするのはおかしいでしょうという考え方がありました。しかし、この前提が取れることにより、条件付で転職が可能になり、また、3~5年の育成技能期間終了後も他の在留資格で日本に残れるようになります。転職の条件ですが、勤続1年以上、日本語能力試験合格などの案が出されています。

 

 

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