外国人雇用のコンプライアンスを守るためのチェックリスト

日本で不法に就労する外国人の数は、年間1万人程度だと言われています。そして、不法就労助長罪で検挙されている数は、年間で400件程度あります。意外と少ないと思われるかもしれませんが、毎日、日本のどこかで、誰かが検挙されています。気をつけてニュースを見ていると、何かしら不法就労関係で日本人社長や人材会社の幹部社員、弁護士、行政書士等が検挙されていることが分かります。

こうした状況の中、コンプライアンス強化を重視する企業が増えてきましたね。当事務所にも、外国人雇用に関するコンプライアンスを全社的にチェックしてほしいというご依頼がぽつぽつ増えています。

この記事では、外国人雇用のコンプライアンスを守るために、企業側で最低限チェックすることをまとめています。業種や職種によって、細かい点でチェックすることは異なるのですが、貴社の参考になれば幸甚です。

全ての外国人に共通する留意点

外国人雇用状況の届出

外国人を雇用した場合(アルバイト含む)、就労可能な在留資格(就労ビザ)の申請に加え、ハローワークに「外国人雇用状況の届出」を行う必要があります。

注意していただきたいのは、在留資格を管轄する法務省出入国在留管理局ではなく、厚生労働省管轄のハローワークへの届出が必要だということです。

就労可能な在留資格を持っている、つまり法務省で許可を受けているから大丈夫ということにはなりません。法務省と厚労省は、この点では連携していませんので、注意してくださいね。

また、外国人雇用状況の届出には、提出期限があります。

雇入れの場合は翌月10日までに、離職の場合は翌日から起算して10日以内に行ってください。

なお、当該外国人が雇用保険に加入している(加入する)場合、この届出は不要です。

雇用する外国人の在留資格は適正か?

在留カードを持っているか、その在留カードが偽造ではないか、在留期限が切れた外国人を雇用いていないか?などをチェックしてください。

※在留期限は、本人が常に携帯している在留カードに記載されています。

現在、約30の在留資格があるのですが、それぞれ、行ってよい仕事、禁止されている仕事があります。業種や職種によって、細かいルールがあるので、ここで全て説明することは難しいのですが、ポイントは下記となります。

在留資格 行ってもよい仕事内容例 禁止されている仕事内容例
日本人の配偶者等
永住者
永住者の配偶者
定住者
日本人と同じ(日本人が従事できる仕事であれば原則OK)
技術・人文知識・国際業務 一定レベルの専門知識を要する仕事(営業、企画、調査、マーケティング、通訳翻訳、設計、ソフト開発等、機械の保守保全等) 専門知識を要しない仕事(反復継続する仕事、工場での単純作業等)
企業内転勤 一定レベルの専門知識を要する仕事(営業、企画、調査、マーケティング、通訳翻訳、設計、ソフト開発等、機械の保守保全等) 専門知識を要しない仕事(反復継続する仕事、工場での単純作業等)
特定活動 パスポートに貼付されている指定書に具体的に書いてあります。 左記以外
特定技能 特定技能在留資格申請時に記載した内容 左記以外
留学(資格外活動でのアルバイト) 風俗営業等以外であれば日本人と同じ
家族滞在(資格外活動でのアルバイト) 風俗営業等以外であれば日本人と同じ

外国人の給与は適正か?

外国人の給与は、同じ仕事をする日本人と同等以上であることが必要です。

つまり、外国人だからという理由だけで給与を低くすることはできません。

同じ仕事をしていても、その熟練度や経験年数が異なれば、給与額が違っても問題ありません。

日本人同士でも、勤続10年の社員と新入社員の給料が違うのと同じことですね。

また、都道府県ごとに設定されている最低賃金を守ることも重要です。

※最低賃金は毎年10月1日に改定されます。そして、近年はこの増加額が大きくなっています。現行の最低賃金を守るようにしましょう。

被扶養者の外国人を雇用する場合の留意点

日本人と結婚している外国人、永住者と結婚している外国人などを雇用する場合、扶養の範囲内かどうかもチェックしてください。

この点は、日本人と同じなのですが、なぜか外国人の場合、このチェックが漏れていることが多いようです。

被扶養者の外国人を雇用しており、その人の年収が130万円をこえた場合は、3号被保険者から外すことが必要です。

外国人の場合、この確認を怠りがちです。ですが、健康保険や年金については、日本人も外国人も同じルールとなっています。

このチェックを怠った場合、企業側だけでなく、本人達もデメリットがあります。

例えば、貴社に家族滞在のビザでパートタイム勤務するベトナム人女性がいたとします。その方の年収が130万円を超えている場合、その方が永住申請しても、おそらく不許可になります。その方の夫も外国人であれば、夫の永住申請も不許可になります。

留学生をアルバイトで雇用する場合の留意点

留学生や家族滞在の外国人をアルバイトで雇っている場合、週に28時間以内の勤務を守ってください。

この週28時間というのは、月平均ではありません。年平均でもありません。

週のどこから数えても、週に28時間以内となっていることが必要です。

例えば、下記のような状況は、合法か非合法か分かりますか?

1/1(日)6時間

1/3(水)6時間

1/5(金)8時間

1/6(土)8時間

1/7(日)6時間

1/9(火)6時間

1/11(木)2時間

 

答えは、非合法ですね。

1/5~1/12までの1週間の就労時間が28時間を超えています。

実際には、ごく稀にこうした事態が生じたとしても、それのみをもってペナルティを受けることは少ないのですが、法律的にはこういう計算になるということを知っておいてください。

また、当該留学生が他のアルバイトをしている場合、合算して週に28時間以内にする必要もあります。

「他社でもアルバイトしているなんて知らなかった」という言い訳は通用しませんので、注意してくださいね。

既卒者は就労できない

留学ビザを持っているが、既卒者である外国人は、日本の会社等でアルバイトすることはできません。

留学生が学校を卒業した日に、資格外活動許可が無効となるためです。

たとえば、卒業した日が3月25日で、留学ビザの期限が7月1日まである場合でも、3月25日以降は、雇用することが禁止されています。

外国人雇用、在留資格に関する初回相談料 1時間 11,000円
つくばワールド行政書士事務所では、じっくりとお客様の状況やご要望をお聞きし、質の高い相談を提供したいと考えているため、初回に限り、1時間あたり11,000円の相談料をいただいております。
オンライン(ZOOM、スカイプ等)、面談、電話の中から、ご都合のよい方法をお選びください。行政書士の予定があいていれば、当日のご予約も可能です。貴社内での相談等をご希望の場合、別途交通費をいただいております。
なお、相談後、ビザ申請代行業務等を依頼いただいた場合、相談料は業務料金の一部に充当します(実質無料相談)。

この記事を作成した人 つくばワールド行政書士事務所 行政書士 濵川恭一

 


この記事を作成した人 つくばワールド行政書士事務所 行政書士 濵川恭一

 

 

 

 

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