近年、外国人技能実習生の監理を行う新規の監理団体が増えています。職業紹介会社や外国人受入企業等が事業協同組合を設立し、監理団体の許可を申請するケースが多いですが、本稿では、監理団体になるための方法についてポイントを解説します。
本稿は、月刊人材ビジネス2021年7月号にて当事務所が執筆した記事より抜粋しています。
監理団体とは
日本に約38万人いる外国人技能実習生の募集から受入、雇用管理までを行う非営利団体のことです。
監理団体には、一般監理団体と特定管理団体があります。一般監理団体は優良な監理団体であり、第1号~第3号までの技能実習生の監理が可能です。一方、特定監理団体は、第1号と第2号の技能実習生の監理のみとなります(第1号は1年目の技能実習生、第2号は2~3年目の実習生、第3号は4~5年目の実習生)。
監理団体になるための要件
監理団体になるためには、主務大臣から許可を得る必要があります。許可を得るための主な要件は下記となります。
- 営利を目的としない法人であること(事業協同組合、公益社団法人など)
- 事業を適正に行う能力を持っていること
- 監理事業を健全に遂行できる財産的基礎を持っていること
- 個人情報を適正に管理するための措置を講じていること
- 外部役員または外部監査の措置を実施していること
監理団体の許可申請に必要な書類
監理団体の許可を得るためには、外国人技能実習機構の本部(東京都港区)に、40種類以上の書類を提出します(図参照)。全国どこに所在していても、機構の本部に申請することになります。
申請書および添付書類については、正本1通、副本(コピー)1通が必要です。また、原則A4用紙の片面に印刷したものしか受理されません。不備があると、何度も持参(郵送)することになり、その分審査も遅れますので、書類作成には注意が必要です。
外国人技能実習機構による厳しい審査
監理団体の審査は、外国人技能実習機構が行います。書類審査だけでなく、審査官が監理団体の事務所を視察することもあります。そして、細かいダメ出しをされます。視察ポイントは、労働者派遣事業免許の立会い審査と似ています。
監理業務を行うために適切な事務所機能を備えていること、例えば、鍵付きロッカーが完備されていることなどを細かくチェックされます。不備があれば許可になりませんので、事前にしっかりと対策を取っておきましょう。
監理団体の許可の有効期限
原則として、一般監理団体は5年、特定監理団体は3年となります。ですから、5年毎、あるいは3年毎の更新が必要となります。
監理団体の外部監査人とは
監理団体には、外部監査人を置くことが義務付けられています。外部監査人は、監理団体の運営が適正に行われていることを監査します。外部監査人は誰でもなれるわけではなく、労働基準法、職業紹介法、外国人技能実習法、入管法などの知識があり、実際に外国人雇用管理の経験を持つ者が適任といえます。また、各種書類のチェックや行政機関との折衝も担います。
国家資格者である必要はありませんが、実際には行政書士や社会保険労務士に依頼している監理団体が多いようです。国家資格者以外に依頼する場合、その人が監査人としての経歴や資質を備えているかどうかが厳しく審査されます。
既存の監理団体を買収したい企業様へ
当事務所には、監理団体を売りたいという相談が不定期にあります。タイミングが合えば、おつなぎすることも可能です。既存の監理団体の買収を検討されている場合、メールにてお問い合わせください。