<外国人材を雇用する企業からの相談> 弊社では、外国人をはじめて雇用するのですが、外国人雇用に関する法律や制度、雇用管理について、正確に理解している社員が一人もいません。コンプライアンスを守った外国人雇用のために、外国人雇用に関する説明会(勉強会)のようなものを開きたいのですが、何をどこから進めればよいのかわからずに困っています。 |
外国人雇用の基礎知識を知らないとどうなるか?
外国人雇用の法律や制度を正確に知っておかないと、法律に基づいた外国人雇用ができず、採用のミスマッチも増えます。また、不法就労の疑いがあるとと、法務省出入国在留管理局や労働基準監督署から指導が入ることがあります。指導だけですめばまだよいですが、行政処分や営業停止命令などが出されると業務に大きく影響します。人材派遣会社等の場合、労働者派遣免許が取り消される可能性もありますし、最悪のケースでは不法就労助長罪により関係者が起訴されてしまうこともあります。
また、サービス業などでは、お客様から、「なぜ外国人が働いているの?ちゃんと就労ビザを持っているの?」と聞かれることもあります。こうした時、質問された社員が明確な回答ができないとお客様からの信頼が得られません。あらぬ誤解を招く原因にもなります。
ですから、外国人雇用について最低限の法律知識を知っておきましょう。
外国人雇用や在留資格の正確な知識を学ぶメリット
外国人雇用や在留資格の正確な知識を学ぶことは、たくさんのメリットがあります。大きなメリットは以下の3つです。
コンプライアンス強化
外国人雇用についての正確な法律知識を学び、法律に基づいた雇用をすることでコンプライアンス強化につながります。
人事担当者が自信と誇りを持てる
人事担当者にとって、外国人雇用に関する知見があることは大きな武器となります。採用や雇用管理の業務を行う際に外国人雇用の知見を活用できます。
他社との差異化につながる
昨今、外国人を雇用する企業が増えてきましたが、外国人雇用の正確な法律知識や雇用管理のノウハウを持っている企業は少ないです。人材は企業の財産です。外国人雇用について体系的に学ぶことで他社との差異化につながります。
外国人雇用に関する勉強会 誰が参加する?
外国人雇用に関する勉強会には、経営人、幹部社員だけでなく、外国人社員に関わる社員全員が参加しましょう。可能なら、パート社員やアルバイト社員も参加したほうがよいです。
前述したとおり、サービス業などでは、お客様から質問されることも多いからです。
外国人雇用勉強会 何を学べばよいか?
雇用している外国人の属性(国籍、在留資格、年齢、職務内容など)によって異なりますが、一般的には下記のような内容を掘り下げて学ぶとよいでしょう。
- 在留資格の制度概要(就労ビザ許可条件、ビザ更新の条件、認められている仕事内容、認められていない仕事内容)
- 外国人の受入準備、受入体制作り(就業規則、マニュアルの整備等)
- 外国人とのコミュニケーション(やさしい日本語等)
- 永住者ビザ取得のために企業側でできること
- 最近の外国人不法就労に関する検挙事例
また、この機会に外国人雇用に関する不安や懸念点を洗い出しておくのもよいでしょう。なんとなく不安に思っていることを見える化することで、具体的な対策を検討することができます。
外国人雇用勉強会の講師を誰に頼むか?
一番よいのは、外国人雇用に関する法律や在留資格制度に詳しい専門家に講師をお願いするのが良いでしょう。具体的には、行政書士や社会保険労務士ですね。そして、できるだけ外国人雇用の現場を知っている専門家を探しましょう。外国人を雇用したことがある、留学生の就職指導をしている、外国人の面接を100人以上経験しているなどの専門家です。手前味噌ですが、当職はこの全てに該当します。
外部の専門家に依頼するメリットは、専門知識を体系的に学ぶことができることは勿論ですが、緊張感を持って学べることも挙げられます。社内講師だと、どうしても真剣に勉強するという雰囲気を作りにいかもしれません。
とはいっても、社内講師のメリットもあります。例えば、参加者が持ち回りで講師をすることで、半強制的に勉強することになり、大変だけれど、非常に理解度が高まったという事例もあります。
この記事を書いた人 つくばワールド行政書士事務所 行政書士 濵川恭一