集客につながる外国人雇用セミナーの作り方

ウィズコロナの動きにより、外国人の採用育成や雇用管理に関するセミナーが増えてきました。こうしたセミナーは、自治体や商工会議所、銀行、人材派遣会社等が主催となって開催することが多いのですが、どれも似たような内容になってしまい、参加者の関心を得にくいという課題があります。そこで、本稿では、筆者の経験も踏まえ、集客につながるセミナーについて考察します。

外国人雇用セミナーの課題

新型コロナウイルスの影響により、2020年2月頃~最近まで、外国人採用に関するセミナーやイベントが相次いで中止になっていましたが、ここに来て、こうしたセミナーの開催が増えてきました。外国人採用セミナーは、自治体や商工会議所、銀行、人材派遣会社等が主催となって開催することが多いのですが、どれも似たような内容になってしまうという課題があるようです。外国人の求人方法、面接方法、在留資格の取り方、国別の雇用管理のポイントなどは、どのセミナーでも話されることが多いため、なかなか参加者を集めにいのが現状です。外国人雇用が一般的ではなかった10年前であれば、こうしたテーマでも多くの人の関心を引くことができました。しかし、近年、外国人雇用は広く一般的になり、当たり前のことを話しても、なかなか他のセミナーと差異化できない、参加者が集まらないという課題があります。また、オンラインで開催される場合、内容がつまらないとすぐに離脱されてしまいます。ただ、逆に考えると、参加者の反応がダイレクトに分かるという良い側面もあります。つまり、参加者が離脱しないような内容、離脱させない講師を呼ぶことが非常に重要になってきます。

筆者は、直近2年間で、幾つかのテーマでセミナー講師をしたのですが、比較的、参加者の興味を惹いたテーマは下記です。

  • 特定技能外国人に関する現場の声と課題
  • 入国審査官は何を基準に就労ビザ審査をしているのか
  • 外国人雇用に関する最近の逮捕事例を徹底解説
  • 就労ビザが不許可になる理由トップ3
  • 人文知識と国際業務の違いを説明できますか?
  • 就労ビザが取れるかを判断するリーガルチェックのポイント
  • 入国審査官は成績証明書のここを見る
  • 学校での履修科目と就労ビザの関連性

参加者を飽きさせないための工夫とは?

セミナーには、情報提供型と参加型があります。情報提供型の場合、基本的には講師が一方的に話すのですが、これだと参加者が飽きやすいです。オンラインセミナーの場合は、すぐに離脱されてしまいます。そこで、参加型にして時々クイズ形式にしたり、グループディスカッションをしたりすると、参加者の満足度が高くなり、その後の仕事にもつながるように感じています。具体的には下記です。

外国人雇用に関するクイズ

これは3択や〇×クイズにするとよいですね。例えば、「外国人就労者が多い都道府県ベスト3はどこですか?」、「昨年の就労ビザ許可率は次の3つのどれでしょうか?」「半導体製造工場の現場で技能実習生を受け入れることは可能か?」などです。

グループワーク

参加者を数名のグループに分けて、特定のテーマで意見交換してもらうのも良い方法です。この時、必ず講師がグループ分けをしましょう。そうでないと、均等なグループにならなかったり、グループに入れない人が出てきたりするからです。なお、ZOOMのグルーピング機能は非常に便利です。ランダムにグループ分けできますし、講師は自由にグループ間を行き来できます。

日本で働く外国人に登場してもらう

実際に日本で働く外国人に登場してもらい、外国人の目線から発言してもらうと、参加者の興味を引きます。講師の話の途中で、サプライズ的に、「それでは、ここで、実際に日本で働いている外国人の生の声を聞いてみましょう。今、本人と中継がつながっております」といった感じで、臨場感たっぷりに話すと、セミナーの空気感が変わるのを感じます。筆者の場合、その場で、参加企業からの質問を募集し、疑似面接をはじめてしまうこともあります。

書類選考の実況中継

最近、ユーチューブ等の動画配信サービスでは、ゲームの実況中継動画の人気が非常に高いようです。実況中継というのは、緊張感があり、台本がなく、泥臭いので、参加者の関心を引きやすいです。外国人雇用セミナーに応用すると、実際の応募者の履歴書画面を共有しながら、書類選考の実況中継(書類選考のポイント解説)をすることもできます。台本のない実況中継では、予期しない講師の本音が出ることもあり、聞いていてとても面白いですね。

複数の講師によるセミナー

複数の講師が登壇すると、参加者の集中力が切れにくくなります。この時、同年代の講師よりは、年代がばらけるほうが良いでしょう。例えば40代の男性講師ばかり登場するよりも、若い講師や女性講師がいれば、参加者が飽きにくいです。また、講師陣によるディスカッションも興味を引きやすいです。テーマだけ決めておき、参加型のディスカッションにするとより良いですね。オンラインセミナーの場合、チャット機能を使えば、参加者と双方向で話すこともできます。

セミナータイトルは集客に直結する

セミナーのタイトルは、非常に重要です。内容が同じでも、タイトルを変えるだけで、集客数が全く違うこともあります。セミナーのタイトルを決める上で、ターゲットを絞る、セミナー参加の目的を明確にする、数字を入れると、集客につながりやすいです。

例えば、下記のようなタイトルですね。

・外国人採用のミスマッチを防ぐための3つのポイント
優秀な外国人を採用し戦力化するために人事担当者が知っておくべき3つのポイント
・コンプライアンスを守った外国人採用のための3つのポイント
外国人雇用を成功させるために企業側で知っておくべきことを事例で解説
・今更きけない外国人採用 成功につなげるための3つのポイント
・外国人採用で成功している企業がやっている3つのこと

参加者からの質問がないときの対策

参加者からの質問が多いと、講師のモチベーションも上がり、講義とは違った角度からの解説もでき、結果として、講師と参加者の両方にとってメリットがあります。しかし、質問がない、非常に少ない場合もあることでしょう。こうした場合を想定して、事前に質問リストを作っておくことをお勧めします。

講師が質問リストを見せながら、「時間の関係で全てに回答はできないのですが、この中で、聞きたい内容はありますか?」といった感じで参加者に問いかけると、何かしらの反応が返ってきます。挙手で多数決を取り、人気のある質問を決めてもよいでしょう。参考までに、最近のセミナーで筆者が使った質問リストの内容を下記に紹介します。

  • 外国人社員が1人だけだと、すぐにやめると聞いたけれど、実際はどうなの?
  • 人材紹介会社の選び方のポイントを知りたい
  • ベトナム人がよく使っているSNSは何ですか?
  • 日本人募集と外国人募集、一般的に採用費用が高いのはどっち?
  • 地方都市で外国人を募集する時にどのようにすればよいですか?
  • 特定技能外国人の離職率を知りたい
  • 就労ビザ手続きでは、会社はどんな書類を出すのですか?
  • 当社は大幅赤字だけれど、就労ビザを取れますか?
  • 当社は設立したばかりだけれど、就労ビザを取れますか?

オンラインセミナーで参加者が顔出しするメリット

オンラインセミナーで、顔出ししてくれる参加者が多いと、講師のモチベーションが上がります。そして、ここだけの話や泥臭い話など生の情報を話しやすくなります。

逆に、顔出しがほとんどない場合、参加者の反応が分からないため、どうしても一般的な話になってしまう傾向にあります。もちろん、参加者側の事情もあるのでしょうが、できるだけ顔出ししてもらうほうが、参加者も得をします。

在留資格の解説を面白くする工夫

在留資格は、法律で定められた制度であり、理論であるため、普通に話すと、非常につまらない話になってしまいます。在留資格のことをある程度知っている人にとっては、基本だけ話されても、興味を引きませんし、在留資格のことを全く知らない人にとっては、理論だけ話されても具体的なイメージができず消化不良になってしまいます。

この点で、筆者が工夫していることをお伝えします。まず、在留資格申請書一式の実物を見せるようにしています。もちろん、企業情報や個人情報は全て伏せています。そして、まちがいさがしをします。「この申請書類には間違いがあります。このままでは在留資格が許可されません。どこだと思いますか?」といった感じです。この間違い探しは、とても簡単な問題にしています。

また、セミナーの中では、在留資格の基本だけを数分で話して、あとは、裏話をするようにしています。例えば、出入国在留管理局のローカルルールについてです。某出入国在留管理局の窓口対応は非常に丁寧だが、審査官の言うことを真に受けると、痛い目にあった事例、審査官との交渉テクニック、審査官がこういった時は許可可能性大などですね。ここでは書けないような裏話もたくさんあります。現場の最前線にいる行政書士なら、たいてい面白い裏話をたくさん知っているので、行政書士に講師を依頼する時には、セミナーでしか話せない裏話をしてくださいねと頼んでみましょう。ほとんどの行政書士は、喜んで話してくれるはずです。在留資格の話で、爆笑をかっさらう話ができるような講師にあたれば、とても盛り上がるセミナーになること間違いなしです。


この記事を作成した人 つくばワールド行政書士事務所 行政書士 濵川恭一

 

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