ラオス人雇用の魅力

日本の法務省の在留外国人統計によると、日本に住むラオス人は約3,000人。アジアの諸外国に比べてまだまだ少数ですが、ラオス人雇用には大きな魅力があります。本記事では、その魅力について、様々な角度からフォーカスします。

取材協力:ラオス政府認定送出機関 HSDEC 代表 チャンタソン・インタヴォン氏

なぜ今、ラオスなのか?

日本で働く外国人を国籍別に見てみると、1位はベトナム、2位が中国、以下、フィリピン、ネパール、ブラジルと続きます。

そして、近年の増加率が高い国を上から挙げると、インドネシア、ミャンマー、ネパールとなっています。現時点では、ラオスはいずれも上位に入っていませんね。

では、なぜ今ラオスなのかというと、これら上位に入っている国から日本に来る外国人労働者は、減っていく傾向にあるからです。特に、最近、中国の経済成長の影響で、日本に留学、就職する中国人が大幅に減っています。ベトナムにもこの波があります。近年の経済成長、特にIT産業の成長や、円安の影響により、日本に来るよりもベトナム国内で就職するほうが、メリットが高いと感じるベトナム人が増えています。

今後、インドネシアやミャンマーにおいても、同様の状況になる可能性があります。こうした情勢を見越して、現時点ではまだそれほど注目されていないラオス人雇用を考えてみるのは大事だと思います。実際、ラオスには大きな可能性があり、それにいち早く気づいた近隣諸国がラオス人雇用を進めています。

ラオスの基本情報

ラオスという国について、日本ではあまりよく知られていません。国名くらいは聞いたことがあるけれど、どこにあるのか、何が有名なのか、全く知らないという方も多くいます。しかし、ラオスと日本は似ている部分もあり、意外な接点もあります。ラオス人雇用について語る前に、まずはラオスについて基本的なことを紹介したいと思います。

まず、ラオスの正式名称は、「ラオス人民民主共和国」であり、世界に5カ国しかない社会主義国です。仏教が主要な宗教であり、多くの寺院や仏教の伝統が根付いています。総人口は、752万人であり、愛知県の人口とほぼ同じです。

地理的には、東南アジアに位置し、周囲をタイ、ミャンマー、中国、ベトナム、カンボジアに囲まれた東南アジア唯一の内陸国です。国土面積は、23.7平米であり、これは本州とほぼ同じですね。メコン川がラオスの西部を流れ、豊かな農業地帯を形成しています。

主な産業は、農業、縫製業ですが、最近では観光業が成長しています。世界遺産であるルアンバパーンに訪れる観光客が増加しているため、ホテルや飲食など、サービス業に従事する人も増えています。GDPの成長率も4.4%であり、今後数年間は伸びていくことが予想されています。

日本との関係については、特筆すべき懸念点はなく、1955年に外交関係を設立して以来、良好な関係を続けています。ラオスの首都ビエンチャン市と京都市は姉妹都市であり、文化的・学術的な交流があります。過去には、ビエンチャン市から京都市立動物園に、4頭の象が贈られたことがニュースになりました。

ビジネスの側面から見ると、現在、製造業を中心に110社の日系企業がラオスに進出しています。進出理由としては、人権費の安さや、政情安定性などがあるようです。ラオスは人民革命党の1党制であるため、政策が急に変わることが少なく、事業計画が立てやすいのかもしれません。

なお、日本ではなじみのないラオスですが、隣国の中国にとっては、重要国です。中国は、ラオスの将来性を高く評価しており、多額の出資、特にインフラ投資をしています。首都ビエンチャンには中国系企業が多数あります。

ラオスの労働事情と雇用環境

ラオスの労働事情を簡単に説明するなら、「若い労働力」、「安い賃金」、そして「国内に仕事が少ない」という言葉に集約されます。以下、詳しく見ていきましょう。

まず、ラオスの平均年齢は21歳です。日本の平均年齢が49歳であることを考えると、半分以下ですね。実際にラオスに行くと分かりますが、どこに行っても、若い人が目立ちます。中高年がほとんどいないのが現状です。両国の人口ピラミッドを比べてみると、その差は歴然です。中国や韓国は高齢社会化になってきていますが、ラオスが高齢化社会になるのはまだまだ先のことになりそうです。

次に、賃金について。ラオスの平均年収は、日本円にして約9万円です。タイが約135万円、フィリピンが約59万円、ベトナムが約48万円ですから、近隣諸国と比べると、かなり安い賃金であることが分かります。

賃金が低い理由の一つは、国内に仕事が少ないからです。一部の優秀な学生は官公庁やIT企業に就職しますが、多くの学生は就職に大変苦労します。せっかく若い人がたくさんいるのに、仕事がないというのは残念なことです。

国内に仕事が少ないことに関し、一例をあげます。首都ビエンチャンにあるラオス国立大学看護学部では、毎年、約300人の卒業生が出ます。つまり、毎年、300人の看護師候補が誕生するわけです。しかし、実際に病院などの医療機関に就職できるのは50人のみです。他の人はどうするのかというと、近隣諸国等で介護士や家事支援人(ハウスキーパー)として働いているそうです。

ラオス国立大学でさえそういう状況ですから、他の大学や専門学校を卒業した人は、学校で学んだことを活かすチャンスが少ないため、工場などで働いているのが現状です。

ラオス人の特徴

ラオスでは、国民の大半が仏教を信じており、仏教の伝統が広く根付いています。このため、ほとんどのラオス人は、穏やかで争いを好まず、勤勉です。

仕事の面で言うと、協調性は高いです。多くのラオス人は、自己主張を好まず、前に出たがりません。また、頼まれたら断れない人が多いという点も日本人に似ていますね。

上記のような国民性であるため、喧嘩や窃盗などの問題を起こすことは少ないでしょう。良い悪いは別にして、多少のサービス残業について文句を言う人も少ないです。勿論、毎日のようにサービス残業が発生しているのは問題ですが、仕事をする上でやむを得ずサービス残業になってしまうことはあると思います。

ただ、ラオス人はおおむねのんびりしており、少し世間知らずのところはあるようです。他の国の外国人に慣れている場合、この点が少し物足りなく感じるかもしれません。

こうした国民性を考慮すると、ラオス人に向いている業種は、農業、介護などになるかと思われます。また、ラオスの男性は、家電やバイクが故障した時、自分で直すことが多いです。ですから製造業にも向いているのかもしれませんね。

ラオス人は無借金で来日する

外国人材ビジネスに携わる人にとっては、最早常識となっていますが、日本に来る技能実習生の多くは、母国で多額の借金をしています。技能実習制度の建前としては、本人から来日にかかる費用を徴収してはいけないことになっているのですが、現実は違います。日本語教育費、教材費、申請書類作成費、翻訳費などの名目で、数十万円の費用を本人が負担しています。例えば、ベトナムの場合、本人が負担する費用の相場は、日本円にして60万円前後です。平均年収が48万円の国に住んでいながら60万円の費用を支払うことは難しいですので、ほとんどの人が借金をしているのです。この借金が、本人達を苦しめ、劣悪な労働環境であってもやめられない、耐えられない時は失踪する、そして不法就労をして稼ぐといった悪循環を生んでいます。

しかし、ラオスは違います。そもそも、お金を貸してくれる金融業者がなく、外国に働くために借金するという概念があまりありません。よく考えてみれば、これが本来あるべき姿なのかもしれませんね。

ただ、公正な観点から補足すると、本人が来日のための費用を負担していないということは、事前の日本語教育も十分には受けられていないという側面もあります。前述したベトナムの場合、多くの技能実習生は来日前に4~6ヶ月の寮生活を送り、日本語と日本式マナーを徹底的に学びます。私は、ベトナムとミャンマーの事前教育を現地で見たことがあるのですが、教える方も教わる方も皆真剣勝負という感じでした。

ですから、来日したばかりのベトナム人とラオス人を比べた場合、日本語力だけを見るとベトナム人のほうが優れていることが多いです。これは、中国人、ミャンマー人、ネパール人などにも言えます。

このように、日本に来るラオス人はエージェントにお金を払っていません。ですから、優秀な人材を集めるためには、日本企業からの資金提供という選択肢もあります。実際、日本企業が資金提供して運営している送出機関もあります。本人が借金するのではなく、企業が資金面でサポートするということは理想形ではありますが、技能実習制度の本来趣旨とも合致します。

優秀なラオス人の探し方

ラオス人を探すには、国内にいるラオス人(国内組)を探す方法と、ラオス本国から呼び寄せる(海外組)方法があります。しかし、現実的に、国内には約3000人しかいません。その内訳は、永住者が約1400人、技能実習生が約1100人、留学生が約280人、特定技能外国人が約140人、一般企業で働く高度人材が約100名です。絶対数が少ないため、国内組を探すより、海外組を探すほうが効率的です。

海外組を探す方法としては、ラオスの人材会社を利用するのが良いでしょう。技能実習機構の認定送出機関リストには26社が掲載されています。日本に拠点がある機関もあります。はじめて取引をする場合、日本に拠点のある機関もしくは、駐在員が日本に常駐している機関がよいでしょう。日本に拠点がある場合、担当者が日本の商習慣、文化をよく分かっています。担当者が分かっていないと、応募者に正確に伝えられず、採用のミスマッチが起こります。また、何かあった時に、いつでも日本国内にいる担当者に連絡できるのは安心材料となります。

ラオス人の面接で留意すること

ラオス人を面接する時に注意というか、考慮していただきたいことが幾つかあります。まず、応募者の中には、人生初めての面接である人もいます。初面接が外国企業ですから、極度に緊張していることもあります。ですから、緊張していることを前提に面接を行ってください。また、前述したとおり、日本語教育にコストがかかっていないという理由があるため、他のアジア諸国の人と比べて、面接時の日本語力は弱いかもしれません。日本語力が弱いからだめと判断するのではなく、“伸びしろ”を見てほしいと思います。

その他、留意点としては、腕や足の一部にタトゥーを入れている若者は多いかもしれません。ラオスは、娯楽が少ない国ですので、ファッション感覚やお守り感覚でタトゥーを入れる人がいます。事実、ラオスではお坊さんも宗教的な意味を込めてタトゥーを入れます。

海と雪が大好きなラオス人(雇用で注意すること)

ラオスは内陸国であり、雪が降らない国です。ですから、多くのラオス人は、日本に来ると、海と雪を見たがります。来日当初は、自分達で行くことは難しいでしょうから、休みの日などに、連れていってあげると、大変喜ばれます。仕事へのモチベーションも上がるかもしれません。

仕事の面では、皆の前で注意したり、大きな声で注意したりすることは避けたほうがよいです。また、可能なら、アジアの他の国の人と同じ職場は避けた方がよいかもしれません。東南アジア諸国は、たとえ隣国であっても、国民性や文化が大きく違います。これまでの歴史もあります。もし可能なら、職場を別にするか、ラオス人を複数雇用することをお勧めします。

生活面では、仏教徒なので、食べ物に制限はありません。日本人と同じ食事で大丈夫です。ラオスには、温泉やスーパー銭湯などがほぼないですので、皆と一緒にお風呂に入ることはかなり抵抗があるようです。最初は配慮してあげたほうがよいですね。

ラオスに行ってみよう

ここまで、ラオス人雇用について解説しましたが、やはり、ラオスに実際に行って、自分の目で確認するのが一番です。ラオスの経済状況やラオス人の性格については、書籍も出ており、ネットで配信されている動画もあります。しかし、百聞は一見にしかずです。ぜひご自身の目で見て、聞いて、体験して、ラオスという国、ラオス人について知っていただければと思います。

ラオスの多くの送出機関では、日本企業向けに、現地視察のサポートをしてくれます。例えば、現地の空港まで迎えに来てくれ、現地の日本語教育機関や大学を訪問する時の通訳者を手配してくれます。現地視察することで、現地ではどのように日本語学習しているのか、そのレベルはどの程度か、どんな人が日本での就労に興味を持っているのか、現地の人はどんなところに住んでいるのか、などを肌で感じることができます。机上では知ることのできない貴重な学びの機会になること間違いなしです。私もいくつかの国でこの視察ツアーを敢行したのですが、実際に行って本当に良かったと思っています。

ラオス人を雇用した時の就労ビザ

ラオス人を雇用した際の就労ビザ申請については、ぜひ当事務所にお任せください!

就労ビザの注意点としては、英語で卒業証明書が発行されない場合がありますので、翻訳の仕方に注意してください。具体的には、信頼できる翻訳会社、もしくは海外の教育制度に詳しい行政書士のような専門家に依頼することをお勧めします。

また、特定技能ビザで呼ぶなら、2国間協定にも注意しましょう。現行の内容であれば、特段の制約はありませんが、突然変更になることもあるため、注意が必要です。


この記事を作成した人 つくばワールド行政書士事務所 行政書士 濵川恭一

 

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