現在、外国人の就労ビザ(就労可能な在留資格)は約20種類ありますが、最近、今持っている就労ビザをアップグレードしたいというニーズが増えてきました。本稿では、アップグレードとは何を指すのか、そしてその難易度、留意点について解説します。
※本稿は、月刊人材ビジネス誌 2025年12月号で当事務所が執筆した記事のダイジェスト版です。

就労ビザのアップグレードとは
就労ビザのアップグレードの例を図に示します。よくあるケースは、特定技能ビザから技人国ビザへ変更するというケースです。こうしたビザ変更は、条件を満たせば可能です。
こうしたビザ変更は、アップグレードと呼ばれ、本人にとっても、企業にとってもメリットがあります。例えば、特定技能ビザでは母国に住む家族を呼び寄せることはできませんが、技人国ではそれが可能です。また、技人国は、何回でも更新でき、永住者ビザ取得の可能性も開けます。
ただし、アップグレードのビザ手続は、単純なビザ更新などと比較して、審査は厳しくなり、留意点もいくつかあります。大きな留意点は、4つあります。以下、詳しく解説します。
これまでの在留資格申請との整合性があるか?
就労ビザのアップグレードについて、具体例でみていきましょう。
特定技能→技人国に変更する場合、過去に特定技能ビザ申請を何回か行っているはずです。人によっては、特定技能ビザの前に、他のビザ申請も行っています。例えば、留学生から特定技能外国人になった場合、次のような在留資格申請を行っています。
①日本語学校入学時に留学ビザの新規申請
②専門学校進学時に留学ビザの更新申請
③就職時に留学ビザ→特定技能ビザへの変更申請
④就職1年後に特定技能ビザの更新申請
⑤今にいたる。
こうしたビザ申請の都度、これまでの経歴(学歴と職歴)を書く必要があるのですが、アップグレードの場合、この経歴の整合性が非常に厳しく審査されます。特に母国で学位を取っている場合、最初の来日時からそのことを在留資格申請書に記載しているのかどうか、入学や卒業年月に違いはないかなどを審査されます。この理由としては、技人国ビザは、学位という要件があるため、その学位の信ぴょう性についての審査が必要だからだと思われます。
また、これまでの在留状況についても、他のビザ変更と比べて厳しく審査される傾向にあります。これまでの在留状況とは、初めて来日してから現在までの在留状況のことです。
具体的には、法令違反をしていないか、納税をきちんと行っているか、健康保険や年金の加入は適切かなどです。年金の支払猶予を受けている場合などは注意が必要です。
仕事内容がアップグレード後の在留資格に該当するか
例えば、特定技能ビザの場合、仕事内容は16業種に限定されています。しかし、技人国ビザの場合、仕事内容の定義が非常に難しいです。分かりやすさ優先で技人国に該当する仕事を説明すると、一定レベルの専門知識を要する業務です。いわゆる現業や単純作業は含まれません。現業や単純作業ではないかと疑義を持たれやすいケース(一例)は以下です。
- 製造業で働く場合(特に工場内で機械オペレーターや保守保全業務を行う場合)
- 施工管理職
- 販売職(語学を使う機会やその必要性が少ない場合)
- 飲食店でのマネージャ職
- 舞台、イベント等の設営
同じ会社で勤務しながら、就労ビザをアップグレードする場合、これまでの仕事とは明確に違うことを文書で説明する必要があります。
必要な学位を持っているか?
就労ビザの種類によっては、学歴要件不要、もしくは柔軟に判断されることがあります。例えば、教育ビザは学歴要件がかなり柔軟です。高卒者でも許可される場合があります。
一方、技人国は学歴要件が厳しいです。ですので、学歴要件の該当性をしっかり確認しましょう。具体的には、下記についての正確な上位朋を本人から聞く必要があります。
- 本人の最終学歴の学校名と学部名(英語での正式名称)
- BACHELOR の学位を取得しているかどうか(大学を卒業していても学位を取得していない場合もある)
- 卒業しているのかどうか?(本人が〇〇大学に通っていたと言っていても、卒業していないケースもある)
なお、国によっては、大学の卒業証明書が英語ではなく、フランス語やロシア語で発行される場合があります。この場合でも、できるだけ英語の卒業証明書を取得したほうが、ビザ審査がスムーズです。また、大学によっては、「学位」ではなく「称号(DIPLOMA等)」しか出ない場合があります。称号では、技人国ビザは出ません。学位を取得しているかどうか、事前に確認しておきましょう。





