このページでは、ビザ専門行政書士が、特定技能ビザ→技人国ビザに変更するときに留意すべき点を解説しています。
特定技能ビザ→技人国ビザへの変更は可能
特定技能ビザ→技人国ビザへの変更は、条件を満たせば可能です。
このビザ変更は、アップグレードと呼ばれ、本人にとっても、企業にとってもメリットのある変更です。
ただし、留学ビザ→技人国ビザと比較して、審査は厳しくなり、留意点もいくつかあります。
大きな留意点は、4つあります。
- これまでの在留資格申請との整合性があるか?
- 仕事内容が技人国に該当するか?
- 技人国の要件である学位もしくは実務経験を持っているか?
- 転職の場合、3ヶ月以上の無職期間がないか?
いずれも、留学ビザ→技人国ビザと比較して、かなり細かく、厳しく審査されます。
以下、詳しく解説します。
1.これまでの在留資格申請との整合性があるか?
特定技能→技人国に変更する人は、過去に特定技能ビザ申請を何回か行っていると思います。
人によっては、特定技能ビザの前に、他のビザ申請も行っています。
例えば、留学生から特定技能外国人になった場合、下記のように、4回の在留資格申請を行っています。
日本語学校入学時:留学ビザの新規申請
専門学校進学時:留学ビザの更新申請 就職時:留学ビザ→特定技能ビザへの変更申請 就職1年後:特定技能ビザの更新申請 今にいたる |
在留資格申請の都度、これまでの経歴(学歴と職歴)を書く必要があるのですが、
特定技能→技人国の場合、
この経歴の整合性が非常に厳しく審査されます。
特に母国で学位を取っている場合、最初の来日時からそのことを在留資格申請書に記載しているのかどうか、入学や卒業年月に違いはないかなどを審査されます。
この理由としては、技人国ビザは、学位という要件があるため、その学位の信ぴょう性についての審査が必要だからだと思われます。
また、これまでの在留状況についても、他のビザ変更と比べて厳しく審査される傾向にあります。
これまでの在留状況とは、初めて来日してから現在までの在留状況のことです。
具体的には、法令違反をしていないか、納税をきちんと行っているか、健康保険や年金の加入は適切かなどです。
年金の支払猶予を受けている場合などは注意が必要です。
2.仕事内容が技人国に該当するか?
特定技能ビザの場合、仕事内容は16業種に限定されています。
しかし、技人国ビザの場合、仕事内容の定義が非常に難しいです。
出入国在留管理法令では、下記のように定義されています。
理学、工学その他の自然科学の分野若しくは法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動(入管法別表第一の一の表の教授、芸術、報道の項に掲げる活動、二の表の経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、企業内転勤、介護、興行の項に掲げる活動を除く。) 該当例としては、機械工学等の技術者、通訳、デザイナー、私企業の語学教師、マーケティング業務従事者等。 |
上記を分かりやすさ優先で言い換えると、技人国に該当する仕事とは、一定レベルの専門知識を要する業務です。いわゆる現業や単純作業は含まれません。
現業や単純作業ではないかと疑義を持たれやすいケース(一例)は以下です。
- 製造業で働く場合(特に工場内で機械オペレーターや保守保全業務を行う場合)
- 施工管理職
- 販売職(語学を使う機会やその必要性が少ない場合)
- 飲食店でのマネージャ職
- 舞台、イベント等の設営
- その他
3.技人国の要件である学位もしくは実務経験を持っているか?
- 本人の最終学歴の学校名と学部名(英語での正式名称)
- BACHELOR の学位を取得しているかどうか(大学を卒業していても学位を取得していない場合もあるため)
- 卒業しているのかどうか?(本人が〇〇大学に通っていたと言っていても、卒業していないケースもあります)
Bchelor(英語圏)
Dai Hoc(ベトナム)
LISSE(フランス)
4.転職の場合、3ヶ月以上の無職期間がないか?
現行の出入国在留管理法では、3ヶ月以上、保有している在留資格の活動を行っていない場合、在留資格が取消対象となります。
実際には、いきなり取消ということはまれですが、本件事案に当てはめると、教育ビザに該当する語学教師の仕事を辞めてから、3ヶ月以上経過していると、審査が厳しくなる傾向にあります。
この記事を書いた人 行政書士 濵川恭一