このページでは、海外の大学を卒業している外国人を、ホワイトカラー職として採用する時の在留資格申請のポイントをまとめています。
大卒の外国人の場合、技術・人文知識・国際業務(技人国)ビザを申請することが多いと思います。技人国ビザは、現業系のビザ(特定技能ビザや技能実習ビザ)と比べて、雇用した企業側の負担が少なく、ある程度の専門性を必要とする業務であれば許可されやすい就労ビザだからです。
採用予定の外国人が海外大学を卒業している場合の注意点
外国人を採用する場合、原則として、技人国ビザを取得する必要があります。
技人国ビザには、大きく3つの要件があります。
海外大学卒業者の場合、以下の3つですね。
- 学士学位があること
- 職務内容が技人国に該当すること
- 雇用会社の経営状況に問題がないこと
海外大学卒業者の場合、1についての審査に時間がかかる場合があります。日本の大学であれば、卒業しているか否かは卒業証明書を見れば分かりますし、卒業証明書を偽造したとしても、すぐに分かってしまいます。
しかし、海外の大学の場合、その大学が実在することはもちろんですが、当該国から認可された大学であることなどを審査する必要があります。大学によっては、その審査に時間がかかることもあります。
なお、もともと技人国ビザを持っている場合(前の会社で技人国ビザを取った場合)、海外大学の学歴については問題ないと判断すみですので、この点を過度に気にする必要はありません。ただ、慎重な審査官が担当することになった場合、再度調査することもあります。卒業時の大学名や所在地が変更になっている場合、そのことを説明した文書を作成して、ビザ申請時に提出したほうがよいでしょう。
主要国の一般的な大学の卒業月
主要国については、一般的な卒業月も知っておきましょう。過去に、出入国在留管理局の審査官から、「この方の卒業証明書には〇月卒業とありますが、この国では一般的に〇月卒業のはずです。違っている理由を根拠文書とともに説明してください」と言われたことがあります。
国 | 一般的な卒業月 |
中国 | 7月 |
ベトナム | 7月 |
インドネシア | 8~9月 |
スリランカ | 12月 |
ネパール | 国立大学の場合、7~10月 |
フィリピン | 5~7月 |
韓国 | 2月もしくは8月 |
台湾 | 6月 |
タイ | 5月 |
ミャンマー | 11月 |
インド | 5~6月 |
シンガポール | 11月 |
海外の大学で学位を取得していない場合
海外の大学を卒業しているけれど、学士学位(Bachelor Degree)を取得していない場合も結構ありますね。
例えば、通信制の大学や3年制の大学などでは、学士学位が授与されないことがあります。
この場合は、次の2つの方法を検討しましょう。
- 卒業した大学が、大学相当と看做してもらえる根拠説明ができるか?根拠書類を提出できるか?
- 実務経験要件(国際業務に従事する場合は3年)を満たせるかどうか検討する
実際には、個別具体案件により、ベストな対策は異なります。
学士学位がなくても上記のいずれかの方法で就労ビザを取れるケースはあります。
もちろん、どんなケースでも絶対大丈夫ということはないのですが、ぜひ採用したい外国人がいる場合、あらゆる方法を検討してみてはいかがでしょうか。
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この記事を作成した人 つくばワールド行政書士事務所 行政書士 濵川恭一