グローバル人材を先取り!海外大学インターンの可能性

本記事は、月刊人材ビジネス2025年8月号で執筆した内容を加筆修正しております。

取材協力:フィリピン カピス州立大学

海外の大学で増えているインターンシップの必須化

近年、東南アジア諸国を中心に、企業でのインターンシップを必須化する大学が増えています。インドネシアではすでに必須化され、原則、全学生がインターンシップを経験します。もちろんインドネシア国内の企業でのインターンが圧倒的に多いのですが、日本や台湾、タイでの国際インターンシップを希望する学生も一定数います。

こうした潮流を受け、日本でも海外大学からのインターンを受け入れる企業が増えてきました。また、和歌山県では、本年度、県が主導した海外大学インターン推進のプロジェクトが動いています。

日本の企業が海外大学からインターンを受け入れるためには、特定活動9号という在留資格(就労ビザ)を申請する必要があります。特定活動9号ビザは、フルタイムでの就労が可能であり、限定的ではありますが、単純労働や現業労働にも従事できます。

また、本人(学生)にとっては、報酬を得ながら日本での仕事体験ができ、日本の生活や

文化にも触れることができます。そして、インターン活動が、大学での単位として認められます。将来、日本で就職することを考えている学生にとっては魅力ある制度だといえます。

このように企業と学生の双方にとって、メリットがあるため、本採用の前のお試し雇用という目的で活用されているケースも多いです。

大学側から見たインターンの魅力と懸念

実際に国外にインターン学生を送りだしている大学側は、学生や企業に何を期待しているのでしょうか。この点について、フィリピンのカピス州立大学の教授2名に話を伺いました。同大学は、1980年に設立され、大学、大学院合わせて42学部、約2万人の学生が在籍しています。学内には、「Japan Center」があり、技能実習生の入国前研修などを行っています。これまで、広島大学でのサマースクールや、東京の私立大学との共同研究などを実施しています。

今回、お二人は、インターン受入先(食品加工工場)の視察のため来日されたのですが、「徹底した衛生管理がされていること」、「高度な加工機械による効率的な生産管理の仕組み」に驚いたとのことでした。「本学でも、国際品質基準であるISO9001を取得しておりますが、食品加工の分野では、HACCPという国際基準があります。実際にこの基準を満たした食品加工工場で働くことで、多くの学びがあると思います」(マリエン教授)

また、受入企業に臨むこととしては、下記のコメントをいただきました。「一番望むことは、学生が安心して働けるような環境ですね。それは住環境も含みます。例えば、本学の学生達は布団で寝ることに慣れていません。慣れたころに、インターン期間が終了してしまうので、できればベッドを用意していただければ、学生達は快適な睡眠がとれると思います」(リダ教授)。

海外インターンに応募する学生の特徴とは?

勝手を知ったる自国内ではなく、あえて海外でのインターンに応募する学生の傾向を聞いたところ、一般の学生に比べて目的意識が高く、社交的で新しい言葉もどんどん覚えるとのこと。「また、本学は郊外にありますが、都市部の大学と比べると、より意欲的に学び、柔軟性に富み、ストレスに強いと思います。学生達は、都会に行くと多くの刺激を受けます。それが貴重な経験になります。海外でのインターンにも同じことが言えると思います。(マリエン博士)

フィリピン人学生を受け入れるメリットは?

インターンは、世界各国の大学からの受入が可能ですが、せっかくなので、フィリピン人学生を受け入れるメリットについて紹介したいと思います。

フィリピンのインターン制度は、高等教育委員会(CHED)のガイドラインに沿って運用されており、大学や学生に関して、厳格な基準があります。例えば、「学生は履修要件の75%を終了していること」、「保険省が認定する医療機関で身体検査および心理検査に合格していること」などです。ですから、必然的に、勤勉な学生、健康な学生が多くなっています。

人材会社がインターンシップに参入するメリット

人材会社がインターンシップの仲介やサポートを行うメリットは大きく2つあります。

まず、人材ニーズの高い業界に提案できるということ。インターンシップを受け入れるためには、学生の大学での専攻と、インターンシップ内容とに関連性があることが必要ですが、工学系であれば製造業、建設系であれば建設業での受入が可能です。また、東南アジアでは、ホテル・レストラン学部を持つ大学も多いため、宿泊業や外食業も対象となります。そして、日本語学部であれば、ほとんどの業種での受入が可能です。

2つ目のメリットは、優秀なグローバル人材を先取りできること。インターンシップは試用期間のような側面もあるため、優秀な人材であれば、大学卒業後に本採用につなげることも可能です。収益面でも、インターンシップの仲介費と本採用時の紹介費が発生します。

なお、当事務所では、フィリピン、インドネシア、バングラデシュの大学からのインターン受入のサポートをしておりますので、ご興味がありましたら、ぜひお問い合わせください。

雇用する側から見たデメリット

インターン受入のデメリットは大きく3つあります。

まず、期間限定での就労になること。法律上、インターンシップの期間は、大学の修業年数の半分以下となります。つまり、4年制大学の場合は2年以内です。ただ、実際は、大学で他の単位も取得する必要があるため、インターン期間としては6~12カ月になることが多いです。

2つ目は、残業や夜勤が禁止であることです。インターンの主旨から鑑みると、労働力としての採用ではないため、残業や夜勤を前提とした受入は望ましくありません。ただ、そこに合理的な理由があれば例外的に認められる余地はあります。

3つ目は、住環境や通勤手段を用意する必要があること。これは、海外から受け入れる場合、どうしても必要になりますね。


この記事の執筆者 行政書士 濵川恭一

 

 

 

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