このページでは、外国人を派遣社員として採用し、派遣先で勤務してもらう時の就労ビザの手続きについて詳しく解説しています。
外国人派遣社員の就労ビザとは
外国人を派遣社員として採用した場合、多くのケースで、「技術・人文知識・国際業務ビザ(技人国ビザ)」という就労ビザを申請します。通常、派遣元会社が就労ビザ手続きを行ってくれることが多いですが、派遣先会社の書類も必要です。
派遣社員として、技人国ビザを申請する場合の注意点は下記です。
派遣元だけでなく、派遣先も審査される
派遣写真の就労ビザを申請した場合、給料の支払い元である派遣元だけでなく、派遣先も細かく審査されます。特に、仕事内容については、非常に細かい説明や根拠が求められます。
ただし、ビザ申請する際、派遣先企業の決算書類や捺印は不要です。
派遣先が変更になった場合、都度届け出が必要
派遣先が変更になった場合、最寄りの出入国在留管理局にて、所属(活動)機関に関する変更届出を行う必要があります。これを怠ると、ビザ更新時に審査が難航したり、本来5年ビザが出るケースであっても1年ビザになってしまうことがあります。
技術・人文知識・国際業務ビザ 必要書類
下記は一般的な必要書類です。個別ケースにより、提出したほうがよい書類や代用できる書類などがございます。
本人に関する書類
- 在留資格申請書(申請人作成用)
- パスポート(原本提示)
- 在留カード(原本提示)
- 証明写真(4×3cm)
- 転職の場合→直近年度の住民税納税証明書、住民税課税証明書
派遣元が用意する書類
- 在留資格申請書(所属機関作成用および派遣先情報の欄)
- 登記事項証明書(履歴事項全部証明書もしくは現在事項証明書)
- 雇用契約書もしくは労働条件通知書
- 前年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(税務署受付印あるもの)
- 会社案内
- 職務内容に関する詳細説明書
- 派遣先企業との派遣業務契約書(申請人に関するもの)
派遣先が用意する書類
- 登記事項証明書(履歴事項全部証明書もしくは現在事項証明書)
- 申請人が勤務する事業所の写真、平面図
派遣会社向け ビザ審査に有利になる認定制度
派遣元会社が下記の認定を受けていると、就労ビザの審査では、カテゴリ1となります。カテゴリ1の企業が就労ビザを申請する場合、提出書類が少なく、審査も早い傾向にあります。
- ユースエール認定制度(若年層の適正な雇用管理をしている企業)
- くるみん認定制度(女性従業員に対してのサポートがある企業)
- えるぼし認定制度(子育て支援をしている企業)
- 厚生労働省の「安全衛生優良企業」認定
- 厚生労働省の「職業紹介優良事業者」認定
- 厚生労働省の「製造請負優良適正事業者」認定
- 厚生労働省の「優良派遣事業者」認定
- 経済産業省の「健康経営優良法人」認定
- 経済産業省の「地域未来牽引企業」認定
- 国土交通省の「空港管理規則上の第1類・第2類構内営業者
- 消費者庁の「内部通報制度登録事業者」登録
外国人派遣社員の就労ビザ よくある質問
技人国ビザを取るために、派遣社員との契約期間に決まりはありますか?
法律的な決まりはないですが、1年未満の派遣契約にした場合、雇用の安定性、継続性の観点から厳しい審査になる可能性があります。できれば、1年以上の派遣契約にしたほうがよいでしょう。
派遣社員への給料を時給制にしてもよいですか?
はい、構いません。ただし、いくつか注意点があります。まず、最低賃金以上になるようにしてください。最低賃金は、都道府県によって異なり、毎年10月1日に改定(通常は値上げ)されます。現行の最低賃金以上になっていることを必ず確認してください。
外国人派遣社員の勤務時間をシフト制にしてもよいですか?
シフト制の場合、なぜシフト制になっているのか、その理由も説明する必要があります。シフト制の職場は、現業作業(ホワイトカラー職ではない)を行う場合が多いため、現業ではないことを明確に説明する必要があります。また、就労ビザの申請時に、シフト表の提出を求められることも多いです。本人のシフト表だけでなく、全社員のシフト表を求められたこともありました。
出入国在留管理局から派遣先企業に電話がかかってくることがありますか?
申請する出入国在留管理局によります。東京出入国在留管理局に申請した場合、電話がかかってくることは稀です。地方出入国在留管理局や出張所(水戸出張所等)に申請した場合、派遣先企業に電話で仕事内容について質問されることもあるようです。ただ、職務内容説明書の完成度が高ければ、派遣先に電話がかかってくることは少ないです。
派遣先で技能実習生が働いています。この実習生とは別の外国人が技人国ビザを取得できますか?
はい、通常よりも審査が厳しくなる可能性が高いです。この場合、技能実習生と同じ仕事内容なのではないかという疑義を持たれやすいからです。
技能実習ビザは現場作業を行うためのビザであり、技術・人文知識・国際業務ビザは、より高度な実務系、管理系の仕事を行うためのビザです。
派遣先に技能実習生がいる場合、その技能実習生とは全く異なる仕事内容であることを明確に説明し、その根拠証拠も提出する必要があります。
厚生労働省から優良派遣事業者の認定を受けている派遣元の場合、カテゴリ1の企業として申請できますか?
厚生労働省から優良派遣事業者の認定を受けている場合、その派遣元企業で勤務する(法人営業やコーディネーターなど)のであれば、カテゴリ1の企業としてビザ申請できます。カテゴリ1の場合、必要書類の多くを省略でき、審査も早いです。
ただし、派遣先で派遣社員として勤務する場合、派遣先の企業カテゴリにより審査されます。
この記事を作成した人 つくばワールド行政書士事務所 行政書士 濵川恭一