
最近では、ゴルフ場でアルバイトをする留学生が増えてきましたね。優秀な学生であれば、学校を卒業した後に本採用したいと考えるのは自然だと思います。
ただ、外国人がゴルフ場でフルタイムの仕事をするためには、原則、就労ビザ(正確には、就労可能な在留資格)が必要です。今、その留学生が持っているビザは留学ビザですので、就労ビザに切り替える必要があります。
※なお、日系人や日本人と結婚している外国人等は就労ビザを取らなくてもOKです。
就労ビザは、職種によって約20種類に分かれているのですが、ゴルフ場で働く場合に該当するビザは以下の3つです。
- 技術・人文知識・国際業務(名称が長いので、通常は「技人国(ぎじんこく)」と呼びます)
- 特定技能(外食)
- 特定活動46号
出入国在留管理の関係法令には、それぞれのビザについて、行ってもよい仕事、してはいけない仕事などが書かれています。法令の文言をそのまま書くと、難解な文章になるため、分かりやすく言い換えると下記のとおりです。
| 従事する職種 | ビザの種類 | 主な要件(本人) |
| フロント・マーケティング業務 | 技人国 | 大学卒業もしくは日本の専門学校卒業以上 |
| コース管理、芝管理 | 技人国 | 原則、大学で農業や微生物学を専攻 |
| レストランでの調理、接客 | 特定技能 | 特定技能試験合格、日本語能力試験N4以上合格 |
| キャディ、清掃 | 特定活動46号 | 日本の大学卒業、日本語能力試験N1合格 |
| コーチ | 技能8号 | ゴルフ指導経験3年以上など |
| 上記業務を複合的に行う | 特定活動46号 | 日本の大学卒業、日本語能力試験N1合格 |
それぞれのビザを申請する時のポイントは幾つかあります。運営する企業の状況や本人の学歴等により、重点審査内容は変わります。
以下、高いニーズがある「技人国」について、ポイントを解説します。
ゴルフ場で技人国ビザを申請する際の留意点
ゴルフ場で外国人を採用し、技人国ビザを申請する場合の留意点は幾つかあります。
まず、本人の要件について説明します。
本人に関する要件
本人の要件は、
- 原則、準学士学位以上。つまり、短期大学卒業以上の学歴
- 専門士の場合、専攻と職務内容との密接な関連性が求められます。
密接な関連性があると判断されやすい専門学校の学科はビジネス系学科です。
例えば、国際ビジネス学科や、情報ビジネス学科などですね。
仕事内容に関する要件
次に、仕事内容に関する要件を説明します。
法律的には、
| 理学、工学その他の自然科学の分野若しくは法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務 |
であることが求められます。
つまり、「一定レベルの専門性を必要とする業務かどうか?」という観点で審査されます。
一定レベルの専門性の基準については、法務省で発行されている技人国ガイドラインに書いてありますが、最終的な判断は個々の審査官の裁量にゆだねられています。
分かりやすさ優先で説明すると、技人国に該当する仕事は以下になります。
- フロント、マーケティング
- コース管理、芝管理(農学部出身者)
技人国ビザ申請の留意点
ゴルフ場での技人国ビザ申請は簡単ではありません。当事務所で扱った事案については全て許可になっていますが、いつもそれなりに苦労しています。
審査官が気にするポイントとしては、
「フロント業務に従事するという申請であるが、実際には、芝管理要員、キャディとしての採用ではないのか?」という点です。
特に、自社の求人ページ等で上記の求人がある場合、厳しく審査されます。
また、フロント、マーケティングに関し、ゴルフ場の規模や利用者数から鑑みて、十分な業務量があるのか?という観点でも審査されます。
これについては、しかるべき根拠書類と適切な説明書を提出すれば解決することが多いです。
それから、留学生採用の場合は、学生時代の資格外活動違反(アルバイト時間超過)にも注意しましょう。
概ね、留学生時代に年収200万円を超えていると、厳しく審査されます。
せっかく内定を出しても、技人国ビザが許可されなければ、会社にとっても本人にとっても、全てが無駄になってしまいます。
ゴルフ場で外国人を採用し、技人国ビザを申請する場合には、ビザの専門家に相談し、リーガルチェック(技人国ビザの該当性診断)をされることをお勧めします。
この記事を作成した人 つくばワールド行政書士事務所 行政書士 濵川恭一





