この記事では、外国人の在留資格専門の行政書士が、コンビニエンスストアで外国人を正社員採用する時のポイントを解説します。
まずは就労ビザ不要の外国人を探そう
外国人が日本で働くためには、原則、就労ビザを取る必要があるのですが、就労ビザ不要の外国人もいます。下図のビザ(在留資格)を持っている外国人は、就労ビザを取らなくても日本で働くことができます。ただし、ビザによっては条件があります。
店長候補、店長補佐としての採用の場合
外国人が日本で働くための就労ビザは、約20種類あります。
就労ビザは職種によって細かく分かれていますが、コンビニエンスストアで店長や店長補佐として働く場合、「技術・人文知識・国際業務ビザ」※が取れる可能性があります。
※通称では、「技人国(ぎじんこく)」と呼ばれます。
ただし、申請すれば必ず取れるわけではありません。最低限、下記の条件を満たしている必要があります。あくまで最低限の条件です。実際には、個別の状況によって、満たすべき要件が異なります。
- 店長もしくは店長補佐として採用されること(店長候補ではない)
- フランチャイズ本部が提供する研修等を受講すること
- おおむね1年後には店長に就任し、マーケティングや店舗の運営管理に従事すること
なお、採用当初は実務研修として店舗の実務を行いながらマネジメント業務に必要な知識を修得することは認められています。
また、下記のような業務も認められています。
- 店舗物件の賃貸、売買契約に関する手続き(宅建士の業務を除く)
- 店長会議への出席
- FC本部との打ち合わせ、連絡調整
- スタッフの求人、採用、育成
技人国ビザ 主な要件
これまでの説明と少し重複しますが、技人国ビザの要件を改めて説明します。
仕事内容が技人国ビザに該当すること
コンビニエンスストアでの仕事の場合、店長もしくは店長補佐としての仕事であれば、該当する可能性があります。
※店長候補、管理職候補は該当しない可能性が高いです。
※店舗の清掃は、付随的な業務として認められる場合もありますが、清掃の専従者としては認められませんので注意してください。
日本にある会社との契約(雇用契約等)があること
外国人を採用するわけですから、通常であれば雇用契約になると思います。
正社員としての採用であれば、この点が問題になることはほとんどありませんが、下記の場合は、注意が必要です。
- 期間の定めがある契約社員
- 時給での契約
- 成果に応じた歩合給
上記の場合は、そのままビザ申請すると、審査が難航したり、最悪の場合、不許可になる可能性があります。不許可になってしまった場合、再申請もできるのですが、準備や審査のために相当な時間を要します。採用計画が狂ってしまうため、できるだけ、事前に万全な対策をして申請するようにしましょう。
なお、就労ビザ全般にいえることですが、雇用する会社の規模によってビザ取得の難易度が異なります。正確には下記のようなカテゴリ分けがあります。
学歴要件
技人国ビザを取るためには、本人の学歴に関する要件があります。
具体的には以下のいずれかを満たしている必要があります。
国内外の大学を卒業しており、学士学位(BACHELOR)を取得している
学士より上位学位である修士(MASTAR)や、博士(DOCTOR)の学位でも構いません。
また、短期大学については、個別に審査されます。日本の短期大学や高等専門学校であれば問題ありません。海外の短期大学、3年制の大学等については、個別審査となります。
なお、学部については、職務内容との関連性が必要ですが、この関連性についてはかなり柔軟な審査がされます。理系学部出身者であっても、1~2年制時の教養課程で「人文知識」に関する科目を履修していれば、この要件を満たせる場合があります。
業務に関連する日本の専門学校を卒業しており、専門士の学位を取得している
専門士より上位学位である高度専門士の学位でも構いません。
海外の専門学校は含まれません。あくまで、日本の専門学校のみが対象となります。
なお、学部については、職務内容との密接な関連性が必要です。何をもって密接な関連性と判断するのかは、審査官の裁量によるところも大きいのですが、ビジネス系学科であれば、該当しやすいです。
ビジネス系学科でない場合、「職業実践専門課程」の認定課程であるかを確認してください。現在、1000以上の学科が認定されています。「職業実践専門課程」の認定課程である場合、職務内容との関連性については、大卒者と同様(つまり柔軟な審査)がされます。
このあたりのことを逐一確認していくのは、結構大変な作業になると思います。
採用前の段階から、当事務所にご相談、ご依頼いただければ、このあたりの採用に関するリーガルチェック(ビザ取得可能性の判断)が可能です。
※個別事案のリーガルチェックは有料となります。
コンビニでの技人国ビザ 会社側で用意する書類とは
コンビニエンスストアで外国人を採用し、技人国ビザを申請する場合、会社側で用意する基本的な書類は下記です。
※実際には、個別ケースによって追加で必要になる書類もあります。特に、会社が設立したばかりであったり、はじめての外国人採用であったり、規模が小さかったりする場合、提出すべき書類は異なります。
- 登記事項証明書
- 会社案内
- 直近年度 決算書類
- 直近年度 従業員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(税務署受付印あるもの)
- 今回の外国人を採用する経緯や担当業務を詳細に説明した文書(雇用理由書)
- その他(状況により異なる)
上記の中で、一番やっかいな書類が「雇用理由書」です。書き方を間違えたり、必要なことが書かれていないと、何度も補正の連絡が来たり、ビザが不許可になったりします。
技人国ビザ お問い合わせからビザ取得の流れ
当事務所へのお問い合わせから、ビザ取得の流れは下記となります。
お問い合わせ
メールにてお問い合わせください。
初回相談(無料・有料)
無料相談の場合、オンライン(ZOOM)にて、全体的な流れや当事務所のサービス内容を改めて説明いたします。お客様の状況をお聞きし、最適なプランと総額の費用を案内させていただきます。
有料相談の場合、個別具体的な相談も可能です。具体的な書類の書き方や申請ノウハウを相談したい場合は、有料相談をお申込みください。
ご依頼
料金をお振込みください。
書類の準備
当事務所→お客様:お客様にご用意いただく書類を案内します。
当事務所:上記書類の情報を基に、申請書類一式を作成します。翻訳が必要な書類については、当事務所で翻訳いたします。
貴社内もしくはZOOMにて詳細打合せ
採用経緯や職務内容について詳しくインタビューさせていただきます。所要時間は1時間程度です。
申請書類の内容確認、署名
当事務所で作成した申請書類、職務内容説明書などの内容を確認いただき、本人署名をお願いします。貴社訪問時に署名捺印も同時に行う場合もございます。
申請
行政書士が、出入国在留管理局で申請します。
申請のご報告およびポイント説明(ZOOM等)
申請報告をさせていただきます。また、適宜、出入国在留管理局から電話がかかってきた時の想定される質問などをZOOM等で説明させていただきます。お客様によっては、配属部署の全社員に参加いただき、在留資格に関する基礎知識を得る勉強会のように活用いただいているケースもございます。所要時間は、通常20分程度です。勉強会形式になる場合、最大2時間まで対応可能です。
審査
出入国在留管理局で審査されます。追加資料提出が必要な場合もございます。
結果受領
当事務所に審査結果が届きます。当事務所が、新在留カードを受領し、お客様に納品いたします。
業務完了
業務完了です。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
この記事を書いた人 つくばワールド行政書士事務所 行政書士 濵川恭一