行政書士が解説!経営・管理ビザの更新 【要件、必要書類、留意点】

経営・管理ビザの更新は、他のビザの更新と比較して難しいです。原則として、更新時にも、新規の経営管理ビザ取得時と同じ要件が求められるからです。

経営・管理ビザを更新するための主な条件は、下記の公的ガイドラインに詳しく記載されています。このガイドラインは、法律の専門用語で書かれているので、分かりやすく解説します。

税理士さんに決算をお願いする際には、決算前に必ず下記のガイドラインを渡してください。

法務省発行 経営管理ビザ ガイドライン

経営・管理ビザ 更新できる条件とは

独立した事業所が確保されていること

前回のビザ更新(ビザ取得)から事務所を移転していない場合は問題ありません。

事務所を移転している場合、新事務所の独立性が審査されます。経営管理ビザの更新時には、通常の書類に加え、賃貸契約書、写真(外観と内観)、平面図を提出する必要があります。

事業の実態があること

直近の決算で売上を計上している場合は問題ありません。ただし、あまりにも少ない売上(目安として300万円以下)の場合、会社として実態があるのか、事業を行っているのかどうか厳しく審査されます。

この場合、直近1年間の事業報告書に加え、今後3年間くらいの事業計画書を提出したほうがよいでしょう。

直近の決算で債務超過になっていないこと

決算書類の中には、貸借対照表があります。この右下の欄に、「純資産」という項目があります。この純資産がマイナスになっている場合、原則として、経営・管理ビザは更新できません。たとえば、「純資産 △1,900,000」となっている場合ですね。

こうした場合、税理士もしくは中小企業診断士等にお願いして、事業収支改善計画書や事業計画書などを作成してもらう必要があります。目安として、債務超過が300万円以下である場合、簡単な事業収支改善計画書で問題ないですが、1,000万円を超える債務超過の場合、抜本的な対策が求められます。具体的な対策については、お客様の個別状況によって異なりますので、有料相談をお申込みください。

経営・管理ビザ 更新時の注意点

会社の住所変更、代表者の住所変更登記

□会社の住所が変更になった場合、本店所在地変更登記をしてください。

□自宅住所を登記しておいてください(在留カードと同じ住所)

会社名義の銀行口座について

□会社名義の通帳を作り、事業に関する出入金はその口座から行ってください。

□1期目で口座を作れない場合、社長の個人口座を事業専用にして、事業に関する出入金はその口座から行ってください。

事務所、事業所、店舗について

□事務所の家賃は、必ず証拠が残る方法で支払ってください(法定調書の項目4記入時に必要)

□事務所の賃貸契約書を会社名義に変更しておいてください。

社会保険について

□1人会社であっても、社会保険に加入してください。

申請人(社長)が配偶者の扶養のままである場合、永住申請ができません。

その他

□人材派遣、中古車販売などの許認可事業を行う場合、必要な許認可を会社名義で取得しておいてください。

□共同代表がおられる場合、役員報酬に注意ください。

※「経営者」として在留資格を得ている場合、他の役員と比べて明らかに高い役員報酬を得ているほうが無難です。

※役員数、従業員数が少ない会社の場合、法定調書、源泉徴収票などから、各人の給与が算出できることが多いです。

※事業規模が小さい(売上が低い場合)、代表者が複数いることの必要性も審査され、共同代表者については、辞任を求められるケースがあります。

経営・管理ビザ更新の必要書類

全ての方に共通する提出書類

  • 在留期間更新許可申請書(指定書式)
  • 証明写真(直近3ヶ月以内のもの。縦4cm×横3cm)
  • 直近年度の決算書類(損益計算書、貸借対照表)
  • 前年度の源泉徴収の法定調書合計表(税務署受付印もしくは受付番号があるもの)
  • 直近年度 住民税の課税証明書(市区役所発行)
  • 直近年度 住民税の納税証明書(市区役所発行)
  • 株主名簿
  • 会社名義の銀行通帳のコピー
  • 更新理由書 ※起業してからこれまでの経緯、沿革、直近1年間の主要取引先、将来の事業展望など

事務所移転した場合の提出書類

  • 登記事項証明書(新しい住所が登記されたもの)
  • 新事務所の賃貸契約書
  • 新事務所の写真(建物外観、室内)
  • 新事務所の平面図(レンタルオフィス等の場合)

直近年度の決算で債務超過になっている場合

  • 今後1年間の事業計画書および収支計画書

在留資格更新審査に有利になる書類

役員報酬を上げた場合

  • 取締役の報酬を決定する株主総会議事録(報酬変更の場合)

従業員を雇用した場合

  • 従業員との雇用契約書
  • 源泉納付書(全従業員分。税務署受付印のあるもの)
  • 社会保険に加入していることを証明できるもの(社会保険料通知書など)

3年ビザ取得の条件(目安)

下記2つの条件を満たしていると、3年ビザが許可されやすいです。

  • 直近2年間、債務超過なし、欠損金なし(黒字)
  • 雇用保険適用事業所番号がある(従業員を雇用している)

上記を満たしていないと、なかなか3年ビザは許可されません。特に1つ目の条件はほぼ必須です。しかし、2つ目の条件である雇用に関しては柔軟に審査されることもあります。例えば、1人会社であっても売上が1億円以上あるならかなり有利です。また、一人会社であっても、事業の安定性、継続性を十分に証明することができれば3年ビザが許可される可能性があります。例えば、以下の書類が出せるのであれば、ぜひ提出しましょう。

  • 特許や商標の登録証(コピー)
  • 取引先が上場企業や自治体の場合→取引の契約書、請求書など

経営・管理 3年ビザになる可能性が低いケース

以下のケースでは、経営・管理の3年ビザが許可される可能性がかなり低いです。状況によっては、ビザ更新できない可能性もあります。

  • 直近2年間、売上がない、または低い(目安800万円以下)
  • 直近2年間、債務超過の年がある(貸借対照表の純資産がマイナス)
  • 直近3年間の申請人の役員報酬が低い(年収250万円以下など)
  • 直近5年間に入管法違反等で逮捕などをされたことがある。
  • 飲食店などで、申請人1人でお店を運営している。

3年や5年の経営・管理ビザをもらうためにはどうすればよいか?

経営管理ビザの更新において重要な「事業の安定性や継続性」とは?

経営管理ビザの更新を行う際、出入国在留管理局は、外国人が経営している事業の安定性や継続性について慎重に審査をします。主に下記です。

  • 事業の売上があるか
  • 債務超過がないか(純資産がプラスになっているか)
  • 会社が、法人税、法人事業税、法人住民税などの税金を納めているか?
  • 本人が、所得税、住民税を納めているか?

経営管理ビザ(在留資格「経営・管理」)の更新の上でもっとも重要なポイントになるものは、外国人が経営している日本法人(又は日本支店)の決算状況です。具体的には、損益計算書と貸借対照表から、事業の安定性や継続性について判断をします。入国管理局は経営管理ビザの更新において、単年度(1期目)の決算状況を重視するわけではないので、赤字決算であるから経営管理ビザを更新ができないということにはなりませんし、特にビジネスモデル如何では、会社設立後の最初の1期目は赤字になる場合が多いので、貸借の状況等も含めて総合的に判断しています。

なお、2期連続して売上総利益が計上されていない場合、または、2期連続して債務超過の状態が継続している場合には事業の継続性がないものと判断されることが一般的です。

これはどういうことかと言いますと、売上総利益は人件費や家賃や広告宣伝費などの販売費及び一般管理費を差し引く前の利益ですが、これがマイナスになるという場合、非常に深刻な状態であると判断するということです。また、債務超過は資産合計よりも負債合計が大きいことを意味しますので、誤解を恐れずに簡単に解説するならば、設立当初にあったはずの500万円以上の資本金を完全に使い果たしてしまったということになり、債務超過が続いているとこちらも深刻な経営危機と判断されることになります。この場合、利益が出ていないということなので、法人税等の税金もゼロになっていることが多いと考えられます。このような状態は、決して望ましいとはいえないのです。

売上総利益が計上できるような具体的な経営計画がない限りは、経営管理ビザの更新は難しくなるので注意が必要です。

経営管理ビザ 更新理由書の書き方

経営・管理ビザで3年ビザを取るのは、簡単ではありません。更新時に、出入国在留管理局から指示された書類だけを提出しても、なかなか3年ビザが許可されないケースが多いです。

設立から3年以上経過していて、売上も相応ある(目安1000万円以上)にも関わらず、ずっと1年ビザの方は、更新理由書を作成し、証拠書類とともに提出することで、3年ビザが取れる可能性があります。

更新理由書に書いたほうがよいこと

  • 流動比率(流動資産÷流動資産)が200%以上ある場合、その旨を記載しましょう。流動比率とは、経営分析において広く使われている指標です。一般的に流動比率が200%以上ある場合、経営安定性は高いと評価されます。業界によっては120%以上でも経営安定性があると評価されます。
  • 安定した取引先がある場合、その取引先名、取引年数、年間取引額、取引内容、取引先の概要(特に大手企業の場合)などを記載します。
  • 申請人(経営管理ビザを持っている外国人)が実際に行っている仕事内容の詳細。特に飲食店経営や小規模会社経営の場合、申請人自ら(つまり社長自ら)、ほとんどの時間、調理をしたり、現場作業をしたりしているのではないかと思われ、なかなか3年ビザが許可されないケースもあります。申請人がきちんと経営活動を行っているということを具体的に説明してください。また、その経営活動の証拠も提出したほうがよいでしょう。
  • 今後の経営活動計画。今後3年間くらいの事業計画を作成し、その根拠を説明できると有利になることがあります。

 

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なお、相談後、ビザ申請代行業務等を依頼いただいた場合、相談料は業務料金の一部に充当します(実質無料相談)。

この記事を書いた人 つくばワールド行政書士事務所 行政書士 濵川恭一

 

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