このページでは、外国人事業家が、飲食店や雑貨店、美容サロン等のお店を日本国内で「経営」するときに申請する「経営・管理ビザ」について、分かりやすく解説します。
実際の経営・管理ビザの審査は、個別に行われます。本記事では、あくまで目安となる条件や指針を説明しています。個別具体的な相談希望の場合は、お問合せください。
経営管理ビザ 主な要件
まずはじめに、経営管理ビザを取得するための、主な要件について紹介します。
□株式会社(合同会社)の単独代表者であること(共同代表は不可)
□資本金500万円以上
□事務作業を行う独立スペース(店舗内の場合、施術スペースと明確に区切られていること)
□売上見込が最低800万円以上あること(目安)
□社会保険に加入(予定)であること
□採用予定の施術担当スタッフ(調理スタッフ)がいること(当該人の住民票など必須)
上記の要件に加え、飲食店を経営する場合、下記の要件も満たす必要があります。
<飲食店を経営する場合>
□飲食店営業許可を取得していること
□目安として、30席以上あること
経営・管理ビザ審査ポイント
経営・管理ビザの審査では、上記で説明した要件を満たしていることに加え、下記のような要素も考慮されることが多いです。
下記は一例です。実際の審査では、審査官の裁量により、さまざまな角度から審査されます。
□本人に経営能力があるか、経営能力の根拠があるか?
海外での経営経験がある場合、経営会社の登記簿、決算書、ウェブサイト等を提出
経営経験がない場合、日本国内の協力者や経営アドバイザーがいるか
□事業計画の実現可能性がどれほどあるか?(事業計画書から判断される)
□税理士との契約(予定)があるか?
お店探しからビザ取得までの流れ
外国人事業家が、日本でお店を経営し、経営・管理ビザを取るまでのおおまかな流れは以下となります。
1. 店舗の場所を決める
2. 資本金を送金(本人→日本在住の協力者等)
3. 会社設立(会社買収した場合は役員・本店所在地等変更登記)
4. 経営管理ビザ 必要書類の準備
具体的な必要書類については案件ごとに異なります。通常、大半の書類は、行政書士側で作成、手配可能
5. 出入国在留管理局にて、経営管理ビザの申請
審査期間は状況による(本人の経歴、会社規模、事業計画蓋然性、行政側の事情等)
6. 経営管理ビザ取得
経営・管理ビザ申請に必要な書類(例)
本人の経歴やお店の業態によって必要書類は変わりますが、以下のような書類が必要となります。
本人に関する書類
□証明写真(3ヶ月以内撮影、40×30mm)
□パスポートのコピー(顔写真ページ、日本出入国スタンプページ)
□履歴書
□預金証明書
以下、保有している場合のみ
□大学の卒業証明書(コピー)
□日本語能力を証明する書類
□経営されていた会社の登記事項証明書(コピー)
□経営されていた会社の決算書類、納税証明書など(直近1年分)
□受賞した賞状、写真など
会社に関する書類
□事業計画書
□建物賃貸借契約書のコピー
税務署に提出した書類の控え
□給与支払事務所等の開設届出書のコピー
□源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書のコピー
既存会社を買収、事業譲渡を受けた場合
□最新年度の貸借対照表・損益計算書
店舗経営による経営・管理ビザ よくある質問
経営・管理ビザの審査にはどれくらいの期間がかかりますか?
→会社の規模、従業員数、本人の経歴等にもよりますが、通常は3~5カ月かかります。
本人に経営経験があったほうが、ビザ取得に有利ですか?
→ある程度の経営経験、投資経験があったほうが有利です。ただし、その経験を立証する必要があります。
経営・管理ビザを取りやすい地域はありますか?(東京や大阪と地方の違いなど)
→審査の難易度は変わりません。ただし、審査期間は、地方のほうが早い傾向
既存のお店を買収(事業譲渡)した場合、経営・管理ビザを取れますか?
→直近2年分の決算書類(実績)があり、相応の売上(目安800万円以上)および利益がある場合、経営管理ビザの審査でも有利となります。
経営管理ビザを取れたら、お店以外の事業を行ってもよいですか?
→はい、他の事業を行っても問題ありません。ただし、経営活動に限ります。
他の店でアルバイトをしたり、雇用されたりすることは禁止されています。
経営管理ビザを取れたら、法人の銀行口座をつくることができますか?
→銀行にもよりますが、都市銀行や地方銀行の口座開設は難しいです。
最初の数年は、インターネット銀行しか開設できないことが多いです。
最初から、法人の銀行口座が必要な場合、法人口座のある会社を買収するという方法もあります。
経営・管理ビザ更新の目安を教えてください
更新さえできればよいという場合と、早期に3年ビザを取りたい場合とで、目安は異なります。
絶対的なことはいえませんが、目安は下記です。
年間売上目安 | その他の条件 | |
1年ビザ許可の目安 | 600~1000以上 | 日本滞在 年間180日以上 |
3年ビザ許可の最低目安 | 2000以上×2年継続 | 日本滞在 年間270日以上
常勤雇用者1名以上 |
※いずれも、社会保険加入必須
※年間売上600未満の場合、利益の額、役員報酬、今後の事業計画などをもとに審査されます。(更新できる場合とできない場合あり)
将来の永住申請(帰化申請)の条件を教えてください。
この点についても絶対的なルールはありませんが、目安は下記です。
永住者ビザ | 帰化(日本国籍取得) | |
日本滞在年数 | 年間270日以上×連続10年 | 年間270日以上×連続5年 |
社会保険加入 | 必須 | 必須 |
決算 | 債務超過なし、黒字(直近2年) | 債務超過なし、黒字(直近2年) |
本人の年収(日本での年収) | 同年代の日本人の平均年収程度×連続5年 | 同年代の日本人の平均年収程度×連続5年 |
納税 | 必須 | 必須 |
日本語力 | 不問 | N3程度(面接あり) |
※年収については、扶養家族の数によっても変わります。
この記事を作成した人 つくばワールド行政書士事務所 行政書士 濵川恭一