このページでは、経営・管理ビザを取得する条件、申請に必要な書類、経営・管理ビザが許可になるケースとならないケースなどを解説しています。
経営・管理ビザとは
在留資格「経営・管理」(経営・管理ビザ)は、日本で経営活動をする外国人に許可されるビザ(在留資格)です。
具体的には、株式会社の代表取締役や合同会社の代表社員などが該当します。また、上場企業、中堅企業などにおいては、代表取締役だけでなく、取締役、監査役、部長、工場長、支店長なども、「経営・管理ビザ」に該当します。
経営・管理ビザの要件①【資本金】
下記のいずれかを満たす必要があります。
- 資本金が500万円以上
- 2名以上の日本人もしくは永住者を雇用する。
実際には、1の資本金500万円を用意するケースが圧倒的に多いです。
経営・管理ビザの条件②【事務所】
独立したスペースが必要
事務所要件として、独立したスペースを確保する必要があります。原則、他社の事務所の一部分を借りて自社の事務所とすることはできません。
もし、どうしても他社の事務所の一部分を借りたい場合、共有スペースを作り、外から共有スペースを通って自社の事務所に入退室できるようなレイアウトにしてください。つまり、他社のスペースを全く通らずに、自社の事務所に入退室でいるようにする必要があります。
また、他社の事務所の一部分を借りる場合、経営・管理ビザ申請の際に、以下の書類が必要となります。
- 貸主と他社(借主)の賃貸契約書
- 貸主が転貸(一部分を貸すこと)に同意していることが分かる文書
- 他社と自社の転貸契約書
自宅兼事務所にする場合の注意点
下記のような状況を証明できれば、自宅兼事務所でもOKです。
- 自宅部分と事務所部分が明確に分かれていること
- 自宅用入口と事務所用入口があること
- 事務所の看板、専用ポストがあること
- 電気代、水道代の支払いに関する取り決めがあること(できれば自宅と事務所で別別に電気や水道を契約していることが望ましい)
- 自宅が賃貸の場合、貸主が自宅兼事務所であることを認めていること
店舗を借りれば、事務所は必要ないか?
飲食店や小売店を経営する場合、事務所ではなく、店舗を射抜きで借りることが多いと思います。店舗も事務所(事業を行う場所)とみなされるため、経営・管理ビザの事務所要件を満たすことができます。
ただし、経営・管理ビザというのは、経営活動を行うためのビザです。ですから、経営者自ら、フルタイムで調理をしたり、接客をすることは認められていません。原則、調理や接客は、他の社員やアルバイトに任せ、経営者は、全体統括や採用育成、マーケティング、メニュー作成、経理などの仕事に従事する必要があります。
このため、店舗内に、経営活動を行う専用スペースが必要となります。経営者一人分の事務スペースなので狭くても大丈夫ですが、独立したスペースが必要です。つまり、店舗の一区画を事務スペースとして使うことは、原則として認められません。イメージとしては、コンビニエンスストアのバックヤードのようなスペースが必要です。
経営・管理ビザの申請に必要な書類
全ての方に共通する提出書類
- 在留資格変更許可申請書(他のビザから変更の場合)
- 在留資格認定証明書交付申請書(海外から呼び寄せる場合)
- 証明写真(直近3ヶ月以内のもの。縦4cm×横3cm)
- 事業計画書
- 登記事項証明書
- 定款のコピー
- 年間投資額説明書
- 株主名簿
- 取締役の報酬を決定する株主総会議事録
- 会社名義の銀行通帳のコピー
- 設立時取締役選任及び本店所在地決議書のコピー
- 会社案内 ※役員名、業務内容、主要取引先が記載されたもの
- 大学の卒業証明書(大卒者の場合)
- 日本語能力を証明する書類(日本語が話せる場合)
- 申請理由書 ※これまでの経歴、起業のきっかけ、出資金の形成過程説明、共同経営者と知り合ったきっかけ、共同経営者との役割分担、起業準備中に行ったこと、集客チャネル、自分の強み、経営にかける意気込みや覚悟、会社の概要、経営経験、将来の事業展望などを記入。
新設会社の場合
- 出資金の形成過程説明を証明できる書類
- 会社の写真 ※ビル外観、入口、ポスト、オフィス内、建物の住居表示、フロア別案内板など。また、事務所、事業所内には、机、PC、電話、キャビネットなどが設置されていること
- 事務所、事業所内の平面図
- 事務所、事業所の建物賃貸借契約書のコピー ※オフィスの不動産を所有している場合は、「登記事項証明書」が必要
- 事務所、事業所の光熱費、インターネット回線等に関する契約書類
- 給与支払事務所等の開設届出書のコピー(税務署の受付印があるもの)
- 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書のコピー(税務署の受付印があるもの)
- 法人設立届出書(税務署の受付印があるもの)
- 青色申告の承認申請書(税務署の受付印があるもの)
- 法人(設立時)の事業概況書(税務署の受付印があるもの)
既存会社の代表取締役、代表社員等になる場合
- 前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(税務署受付印のあるもの)
- 直近年度の決算書
経営・管理ビザ申請 業種別の必要書類
中古自動車の輸出事業
確実に許可を取るためには、下記書類を提出しましょう。用意できない場合、他の書類で代用できることがあります。詳しくは、コンサルティングの時にお伝えしております。
- 古物営業許可証のコピー(代表者が経営管理ビザ取得後に許可を取る場合は不要)
- オークション参加資格証明書のコピー
- 中古車販売店(仕入先)との販売基本契約書
- 輸出用自動車の保管場所(ヤード)の賃貸契約書(ヤードの土地を保有している場合は登記事項証明書)
- 輸出相手(販売先)との販売基本契約書
- 物流会社(船会社等)との業務委託契約書(もしくは輸送に関する見積書)
飲食店
- 飲食店営業許可証のコピー(全部のページ)
- 店内の平面図(経営者の事務スペースを明記)
- 店内の写真(4方向から撮影)
- 飲食店のメニュー(すべて)のコピー
経営・管理ビザに関するよくある質問
資本金が多いとビザの許可率が上がりますか?
法律的には、資本金の額と許可率は関係ありません。ただ、資本金が高いほど許可率も高いです。資本金1000万円以上で不許可になるケースは聞いたことがありません。
資本金が500万円ちょうどでも問題ありませんか?
資本金500万円である場合、規模要件の面では問題がなくても、事業継続性要件の観点から不適当(不許可相当)とみなされるおそれがありますのでご注意下さい。例えば、500万円の加盟金を必要とするフランチャイズで事業を始める場合、運転資金を考慮すると、目安として700万円以上の資本金があったほうがよいでしょう。
代表者の報酬をいくらにすればよいですか?
代表者の役員報酬に関するルールはありません。ただし、1年後のビザ更新の際、目安として最低240万円(月収20万円×12ヶ月)くらいあったほうがよいです。
ビザの審査終わるまでは時間があるので、その間は先に事業活動を行っても大丈夫?
状況により異なるのですが、幾つか条件があります。就労ビザを持っている方の条件は以下です。①今勤務している会社を辞めていないこと。②設立した会社の売上が今の会社からもらう給料を超えないこと、③経営・管理ビザが許可されるまでは、新会社の売上から給料を得ないこと。この3点です。
今、留学ビザの方や会社を既に辞めてしまった方については、③を守ってください。その他、細かい条件については、状況により異なります。この点を間違えると、経営・管理ビザが不許可になる可能性があります。
資本金の出資者が海外にいる場合、来日し会社設立の手続きを行うことが必要ですか?
資本金の出資者は来日不要です。ただし、海外からの送金を証明することが必要ですので、銀行から送金してもらってください。もし現金を持参する場合、誰がいつ持参したのか分かるようにしておいてください。
法人の銀行口座に関して推奨銀行はありますか?
法人の銀行口座については、ネット銀行がおすすめです。具体的には、SBI銀行、セブン銀行、楽天銀行などです。セブン銀行には、外国人社員もおり、海外送金サービスが充実しています。
以前、当事務所でセブン銀行様の外国人社員のビザサポートをさせていただいたこともございます。ご依頼の感謝をこめて、この機会におすすめさせていただきます。
高齢者でも経営・管理ビザを取れますか?
本人が、本国で会社経営をしている、あるいは過去に会社経営していたことがあれば、年齢は関係ありません。その会社の規模や売上にもよりますが、経営・管理ビザを取れる可能性は十分にあります。
経営・管理ビザの審査期間はどれくらい?
経営・管理ビザを申請してから結果が出るまでの期間については、入国管理局の発表では、2~3ヶ月程度となっております。ただ、これは建前であり、実際には、これより短い場合も、長くかかる場合もございます。
通常、条件の良い方、会社の規模が大きい場合、提出書類の信憑性の審査が不要である方(全て日本国内で発行された公的な書類であるなど)については、早期に結果が出ることが多いです。
また、新規に会社を設立して、経営管理ビザを申請する場合、下記のことを行っておくと、早く結果が出ることが多いです。
- 税務署、都税県税事務所、社会保険事務所、ハローワーク等に提出すべき書類を全て提出しておく。経営・管理ビザに必要な税務署の書類は2種類だけですが、それだけでは不十分です。経営管理ビザをとるために有利な書類があります。【当事務所では提携税理士にお願いして提出します。追加料金なし】
- 会社の銀行口座を作っておく【口座開設が難しい場合、当事務所でサポートします。】
- 経営管理ビザがおりるまで、何もしないのではなく、できることを行っておく。具体的にどのようなことを行っておけばよいかについては、業種によって異なるため、初回相談時にお伝えします。
留学ビザ→経営・管理ビザへの変更で注意することはありますか?
留学ビザから経営・管理ビザに変更する場合、通常の書類に加えてさまざまな書類を用意する必要があります。
例えば、その留学生が若い(20代)の場合、出資金500万をどうやって確保したのかを説明する必要があります。他にも、状況によっていろいろと細かい注意点が必要です。ただ、留学生の場合、日本語が堪能、日本のビジネス事情に慣れている、若いから体力やビジネスの瞬発力があるという利点もありますので、こうした利点を最大限に書類に落とし込むことで許可になる可能性が高まります。
留学生の方で起業を計画されている方は、一度当事務所までご相談ください。初回は無料相談です。
学校を中退して経営管理ビザを取得することは可能ですか?
経営管理ビザの許可には、大学や専門学校の卒業は必要ありませんので、中退してもビザ取得は可能です。
しかし、留学生として日本に来たはずなのに、なぜ卒業してからではなく、中退してまで起業するのかという説明を十分にする必要があります。
できれば、学校をきちんと卒業してから起業するのが一番いいと思いますが、どうしても中退して起業という選択をするのであれば綿密な事業計画が必要です。
同じ会社で2名以上の外国人が経営・管理ビザを取れますか?
2名以上の外国人が共同で事業を経営する場合の経営管理ビザの審査基準については、法務省からガイドラインが発表されています。そのガイドラインによると、以下の3つの条件を満たし、それを完璧に証明(および論理的な説明)できれば、同じ会社で2名以上の外国人が経営・管理ビザを取得できます。
1.会社規模や事業内容から判断して、2名以上の経営者が必要である合理的理由があること
上場企業や中堅企業(資本金1億円以上など)であれば、外形的にみて、2名以上の経営者が必要であることに合理性があります。中小企業においては、個別判断となります。以下2と3の要素も関連して、総合的な審査になります。
2.各経営者の役割分担が明確であり、経営活動を行うこと
例えば、同一会社で2名の経営・管理ビザ取得希望者がいる場合、1人は営業統括、もう1人は業務統括を担当する。各人の経歴や能力からみて、そうすることが会社の利益にもなる場合などです。
3.経営者として相応の報酬を得ること
具体的にいくらというルールはありませんが、業界や会社規模からみて相応の役員報酬を得ていることが必要です。例えば、経営者なのに、一般社員と同レベルの報酬(給与)である場合、2人以上の経営・管理ビザの取得は難しいでしょう。
個人事業主でも経営・管理ビザを取れますか?
個人事業主の場合、資本金500万円を経費として実際に使うことが必要です。経費には、事務所の敷金、前家賃、仕入代金、初期投資額などが含まれます。
そして、経営・管理ビザを申請する際には、500万円分の領収書が必要となります。
当事務所にご依頼いただくメリット
自社で申請するよりも早く申請できます
経営・管理ビザを申請するためには、実務上30種類以上の書類を準備する必要があります。入国管理法や会社法、労働基準法等の知識がないと、作成が困難な書類もございます。当事務所では、直近の類似事例等も調査し、どのような書類が必要なのかを判断し、入管の審査がスムーズにいくような方法で書類を作成しております。
出入国在留管理局に何度も行く必要なし
経営・管理ビザを申請するためには、入国管理局(入管)に何度か足を運ぶ必要があります。自力で申請する場合、事前相談、申請、受領のため、最低でも3回入国管理局に行く必要があります。当事務所にご依頼いただいた場合、お客様が入管まで行く必要はありません。
充実したアフターサポート
経営・管理ビザは他のビザと異なり、更新が簡単ではありません。当事務所では、更新のことも考えて経営・管理ビザを申請しております。もちろん、更新手続きもサポートしております。
更新についての必要書類、留意点はこちらのページで詳しく案内しております。
経営・管理ビザが許可されるか知りたい場合
経営・管理ビザは審査基準が非常に複雑です。会社を設立される前に、あるいは事業を始める前に、専門家にご相談されることをお勧めします。当事務所では、初回は無料相談を行っております。経営・管理ビザの取得可能性、手続きの流れ、必要書類の概要などについて、ご説明させていただきます。
経営・管理ビザの申請サポート
つくばワールド行政書士事務所では、経営・管理ビザの取得について、総合的なサポートを行っております。
<サービスに含まれるもの>
- 申請書類一式の作成
- 事業計画書、収支計画書の作成
- 行政庁との折衝、申請代行、補正対応
- 経営管理ビザ取得に関するコンサルティング
- 本人が海外にいる場合、来日サポート(現地での手続きアドバイス等)
※会社設立費用は別です。株式会社の場合、総額30万円程度(登録免許税含む)。合同会社の場合、総額15万円程度(登録免許税含む)かかります。
※英語、中国語、韓国語対応が必要な場合、お問い合わせください。
経営・管理ビザの事務所探しサポート
当事務所では、下記のサポートを行っています。外国人だけで事務所の賃貸契約すると、
- 事務所探しのお手伝い(候補物件10件以上を紹介します。家賃5万円~家賃100万円までの物件紹介が可能です)
- 事務所契約時の同席
経営・管理ビザの許可事例(一例)
当事務所でサポートさせていただいた経営・管理ビザの取得事例を紹介します
依頼いただいた方の国籍 | 事例 |
米国、中国、ベトナム等多数 | 通訳翻訳会社設立によりビザ取得 |
インド、スリランカなど | 自動車輸出事業を行う会社設立によりビザ取得(古物営業許可取得含む) |
韓国 | 日用品・化粧品の輸出事業を行う会社設立によりビザ取得 |
中国 | 不動産投資業でビザ取得 |
香港 | 語学学校開校によりビザ取得 |
スリランカ | 自動車輸出事業を行う会社設立によりビザ取得 |
韓国 | 飲食店のオーナーチェンジによりビザ取得 |
インドネシア | 運送事業会社設立によりビザ取得 |
ミャンマー | システム開発を行う会社設立によりビザ取得 |
ベトナム | ベトナム食料品店の経営を行う会社設立によりビザ取得 |
ドイツ | 外資系企業の日本支社長のビザ取得 |
中国、台湾、韓国など |
不動産賃貸業を行う会社設立によりビザ取得 |
モンゴル、中国、タイなど多数 |
人材紹介業を行う会社設立によりビザ取得 |
ベトナム、ミャンマーなど多数 |
インターネット回線販売代理店を行う会社設立によりビザ取得 |
中国 |
民泊を行う会社設立によりビザ取得 |
中国 |
旅客自動車運送業を行う会社設立によりビザ取得 |
この記事を作成した人 行政書士 濵川恭一