家族滞在ビザとは
家族滞在ビザとは、就労ビザを持っている外国人が扶養している配偶者と子供に与えられるビザ(在留資格)のことです。例えば、3人家族の外国人家庭があり、父が就労ビザを持っていて、母が専業主婦、子供が高校生だとします。この場合、母と子供は「家族滞在ビザ」を申請することで、父と一緒に日本に住むことができます。また、就労ビザを持っている外国人の養子でも、家族滞在ビザを申請できます。
家族滞在ビザでは、原則として働くことができません。家族滞在ビザを持っている外国人がアルバイト等をしたい場合、「資格外活動許可」を申請し、許可されることで、働くことができます。ただし、週に28時間までという規定があります。資格外活動許可については、ほとんどのケースで問題なく許可されます。ですから、必ずこの許可を得てから働くようにしてください。なお、資格外活動許可を得ていても、風俗関係の仕事(キャバクラ、外国人パブ等)はできません。
資格外活動を持っているか確認する方法はこちら。この件に関する問い合わせ(専用電話あり)もこちら。
配偶者や子供を呼べないケースとは
下記に列記した在留資格をお持ちの方は、配偶者や子供を呼ぶための「家族滞在ビザ」を申請することはできません。
- 技能実習
- 特定活動1号
- 留学(日本語学校の留学生)」
- 研修
- 家族滞在(父の扶養を受けている成人した外国人など)
- 公用
- 短期滞在
- 特定活動(ワーキングホリデーなど)
家族滞在ビザ 必要書類
- 在留資格認定証明書交付申請書(もしくは在留資格変更申請書)
- 本人のパスポート(ビザ変更の場合のみ)
本人の在留カード(ビザ変更の場合のみ) - 証明写真(4×3cm)
- 扶養者のパスポートコピー
- 扶養者の在留カードコピー
- 扶養者 住民税の納税証明書
※直近年度分・未納税ないもの。 - 扶養者 住民税の課税証明書
※直近年度分・前年分の年間所得額、課税額が記載されたもの - 扶養者の在職証明書
- 扶養者の預金通帳のコピー(適宜)
- 生計に関する説明書および根拠資料(適宜)
家族滞在ビザを確実に取るために
数年前まで、家族滞在ビザの取得は比較的簡単でした。結婚さえしていれば、あるいは親子関係の証明さえできれば、ほぼ問題なく取得できました。しかし、最近、以下の理由で家族滞在ビザが不交付になるケースが散見されます。
- 扶養者の年収が低い(扶養できるだけの安定収入が担保されていない)
- 夫婦関係の証明が不十分(特に年齢差がある場合)
- 親子関係の証明が不十分(特に10歳以上の子供を呼ぶ場合)
上記の他にも、細かい理由によって不交付となるケースがあります。一度不許可になってしまうと、再申請でも難しい場合があります。特に、在職証明書の不備については、修正して再提出してもなかなか許可にならないというケースが増えています。確実に家族滞在ビザを取得されたい場合、最初から専門家に依頼されることをおすすめします。
家族滞在→定住者ビザに変更する条件
日本の小学校・中学校・高等学校を卒業している外国人(家族滞在ビザ)は、定住者ビザに変更することができます。定住者ビザは、日本人と同じように、どんな仕事にも従事できます。(就労制限なし)
ただし、下記のような条件があります。下記全てを満たすことが必要です。
日本において義務教育の大半を修了していること
原則、小学校1年~3年生の時に来日し、その後継続して日本に住み、日本の高等学校を卒業した方が対象になります。ただし、その方の状況によっては中学校時代に来日した方でも認められる可能性があります。
日本にある高等学校を卒業していること
定時制高等学校や通信制高等学校卒業は含まれます。しかし、インターナショナルスクールや専修学校、韓国人学校は含まれません。
日本にある会社に就職先が決定していること
就労ビザ(技術・人文知識・国際業務ビザ等)と異なり、職務内容の条件はありません。つまり、どのような仕事でも構いません。
家族滞在→特定活動ビザに変更する条件
家族滞在ビザを取得して来日し、来日後に、日本の高等学校を卒業した外国人は、特定活動ビザ(本邦高校卒業者)へ変更できます。特定活動ビザも就労制限はありません。
ただし、下記のような条件があります。下記全てを満たすことが必要です。
日本にある高等学校を卒業していること
定時制高等学校や通信制高等学校卒業は含まれます。しかし、インターナショナルスクールや専修学校、韓国人学校は含まれません。
高校に編入してから卒業している場合は、日本語能力試験N2相当以上に合格している必要があります。
日本にある会社に就職先が決定していること
就労ビザ(技術・人文知識・国際業務ビザ等)と異なり、職務内容の条件はありません。つまり、どのような仕事でも構いません。
家族滞在→技人国ビザに変更する条件
国内外の大学や専門学校(日本の専門学校に限る)を卒業しており、一般企業等で働く場合、就労ビザ(技術・人文知識・国際業務ビザ)を取得できる可能性があります。詳しくは、技術・人文知識・国際業務ビザのページをごらんください。
家族滞在ビザ→経営管理ビザへの変更
家族滞在ビザを持つ外国人が、日本で会社を設立し、その会社の代表者となって経営者として活動する場合、経営・管理ビザを取得できます。詳しくは経営・管理ビザのページをご覧ください。家族滞在ビザ→経営・管理ビザへの変更手続きは、就労ビザ→経営・管理ビザへの変更手続きと比べ、少し難しいです。ですが、経営・管理ビザの要件を満たし、証拠を完ぺきにそろえれば、十分に可能性があります。当事務所で過去に扱った事例(一部)を紹介します。
- 夫が家族滞在で妻が就労ビザ。夫がフルタイムで働きたいため、合同会社を設立して、Taobaoでの輸出事業を開始。申請から約1ヶ月で許可。
- 夫が家族滞在ビザで妻が経営・管理ビザ。妻の会社(飲食店1店舗を経営)では、役員2名の経営・管理ビザは厳しかったため、2店舗目の出店に合わせて、夫の経営・管理ビザを申請しました。このケースでは、経営者が2名必要な根拠を証拠とともに説明する必要があります。通常の3倍くらいとなる膨大な書類となりましたが、申請から約40日で無事に許可されました。
- 妻が家族滞在ビザで夫が就労ビザ。もともとは専業主婦の妻が、趣味でアマゾン輸出をやっていたが、売上が大きくなってきたため、法人化して経営・管理ビザを申請。申請から約40日で許可。
- 親が就労ビザで、子供が家族滞在ビザ。親に連れられて来日し、家族滞在ビザを持って日本に住んでいたが、20才を超えたので、家族滞在ビザの更新が厳しくなってきた。このため、株式会社を設立して、経営・管理ビザを申請。申請から約35日で許可。
家族滞在ビザから経営・管理ビザへの変更は、通常よりも厳しく審査される傾向にあります。今まで扶養されていた方が、いきなり経営者になるため、基本的な要件だけを満たすのではでなく、事業の安定性とその根拠をしっかりと説明する必要があります。会社設立や経営・管理ビザへの変更を検討されている場合、当事務所に相談をご予約ください。初回は無料相談です。
家族滞在ビザ よくある質問
家族滞在ビザで家族を日本によぶためには、どれくらいの収入が必要ですか?
扶養する家族の数(日本に呼ぶ家族の数)や住んでいる地域にもよりますが、目安は下記となります。
- 配偶者だけを呼ぶ場合・・・目安として年収250万円以上
- 配偶者と子1人を呼ぶ・・・目安として年収280万円以上
- 配偶者と子2人を呼ぶ・・・目安として年収320万円以上
もし、上記の年収以下の場合であっても、日本での勤続年数が長い、家賃がかからない(会社負担)、預金が多いなどの状況であれば、家族滞在ビザが取得できる場合もあります。
家族滞在ビザの外国人がアルバイトをしたい場合、どうすればよいですか?
最寄りの出入国在留管理局にて、資格外活動許可申請をしてください。資格外活動許可とは、アルバイトなどをしたい場合に取得する許可です。許可がおりた場合、週に28時間以内のアルバイトが可能です。通常、家族滞在ビザ保有者の資格外活動許可は問題なく許可されます。
申請に必要な書類は、パスポート、在留カード、証明写真(4×3cm)、資格外活動許可申請書(出入国在留管理局の窓口においてあります)です。
家族滞在ビザの更新は何歳まで可能ですか?
家族滞在ビザの要件は、就労ビザや留学ビザ等を持っている外国人の「扶養を受ける」配偶者や子供です。ですから、成人になった後も、外国人に扶養されている方であれば、家族滞在ビザを更新できる可能性があります。
当事務所の事例でも、32歳の大学院生(通信課程の方)が家族滞在ビザを更新できたケースがあります。ただし、既に成人になっている子を、海外から呼び寄せる(ビザ更新ではなく、ビザの新規取得)ことはできません。
就労ビザと家族滞在ビザの同時申請は可能ですか?
就労ビザ(技術人文知識ビザ等)と家族滞在ビザの同時申請は可能です。例えば、海外から外国人社員を採用する場合、その外国人の就労ビザと、彼の奥さんの家族滞在ビザを同時に申請することができます。
就労ビザと家族滞在ビザを同時に申請した場合、同時に結果が出ます。ですから、一緒に来日することも可能です。結婚したばかりの場合、それだけが原因で家族滞在ビザだけ不許可になることは稀ですが、誤解を受けないようにするため、婚姻に至るまでの経緯書なども添付したほうがよいでしょう。
家族滞在ビザで自営業を行っても大丈夫ですか?
家族滞在ビザの外国人が継続的に自営業を営むと違法になる可能性があります。たとえ、収入が少額であっても、継続的に事業を行っている場合は、経営活動とみなされます。過去に、このケースで入国警備官が自宅に来て、そのまま強制送還(日本から出なさいという命令)されたこともあります。
自宅でこじんまりと営業するなら構わないと思われるかもしれませんが、家族滞在ビザの方は、事業を営むことを認められていません。ですから、この場合も経営管理ビザを取得する必要があります。
ただし、年に数日、単発でイベント時にお店を出す、メルカリでたまに商品を転売する程度であれば、資格外活動許可の範囲内ですので、問題ありません。