外国人の本音を聞き出す面接の工夫とは

海外在住の外国人との面接はオンラインで行われることが多いです。筆者は、毎月、人材会社のオンライン面接に同席するのですが、面接官のさまざまな工夫を目にします。本稿では、その一部を紹介します。

なぜ普通の面接ではだめなのか

優秀な人材であればあるほど、また、人手不足の業界であればあるほど、外国人材は売り手市場です。特に優秀な人材は、すぐに採用が決まります。

しかし、給料を高くして採用するのは現実的に難しいと思われます。日本人社員とのバランスもあります。ですから、面接という限られた時間の中で、優秀人材を選ぶ、選ばれるための準備やノウハウが非常に重要になってきます。

どんな準備をすればよいのか?

一般的な面接は、①会社紹介、②応募者の自己紹介、③会社からの質問、④応募者からの質問という流れになると思います。

いきなり②から始める場合もありますが、面接に成功している企業は、①から始めます。それも、口頭での簡単な会社案内ではなく、分かりやすい動画を使って説明します。

先日、ある地方にある会社のオンライン面接に同席したのですが、その会社の案内動画では、まず日本地図を表示させて、会社の位置を説明し、最寄りの駅、郵便局、病院、母国の料理店などを紹介していました。人事担当者の手作り感あふれる動画でしたが、外国人を歓迎しているという会社側の姿勢は十分に伝わってきました。最初は緊張していた応募者の顔がどんどん穏やかになっていき、その後の面接も非常にスムーズに進みました。

応募者の本音を聞き出す工夫

外国人応募者の中には、人生はじめての面接だという方もいます。人生はじめての面接が、「オンライン面接」、しかも「国際面接」ということで、極度に緊張してしまうケースも多いです。緊張しすぎて、肩で息をしている応募者もいます。そんな時、面接官が、笑顔を見せるだけでも応募者は安心します。笑顔が難しければ、穏やかな表情を心がけましょう。ちなみに、私は普通の表情をしていると、冷たい印象を与えるらしいので、オンライン面接では、できるだけ穏やかな表情でいるようにしています。

緊張が続くようなら、アイスブレイクの質問も有効です。仕事には直接関係のない質問で構いません。例えば、「日本料理を食べたことがありますか?」、「好きなスポーツは何ですか」といった質問をすることで、応募者の意外な資質や能力を発見できることもありますし、そこから会話が盛り上がることもよくあります。

外国人の面接では、1を聞いて10の返事が返ってくることは稀です。ほとんどのケースでは、1を聞けば返ってくるのは1です。0.5の時もあります。ですから、質問を最低10個、雑談ネタ(軽めの質問含む)を10個用意しておきましょう。いろいろな質問をする中で、応募者の意外な一面を発見できることがよくあります。

応募者を褒めることの効果

先日、ある企業のオンライン面接に参加したのですが、その面接では、面接官が応募者の日本語力を上手に褒めていました。「日本語の発音がとても綺麗ですね」とか、「相当勉強したでしょう」といったように、気持ちをこめて褒めていました。それも1回ではなく何回も。相手を褒めると、それは相手の安心と自信につながります。

面接は、初対面の人同士が話す場ですから、いかに早く相手に安心してもらうことが重要だと思います。また、高い日本語力という「結果」だけではなく、その日本語力を得るための「努力」も褒めたことが応募者の好印象に繋がったと感じました。

質問がない人、質問が多すぎる人

質問がない人は、会社に興味がないか、日本語で質問する力がないか、緊張しているかの、どれかである可能性が高いです。応募者が緊張しているのか、消極的なのか、判断がつかないときには、「あなたは、周りからどんな人って言われますか?」とか、「親しい人から直したほうがいいと言われたことはありますか?」といった質問をしてみるのもよいでしょう。

逆に、質問が多すぎる人もいます。ある面接では、10個以上、質問をする人がいました。その時の面接官は内心、「細かい人だな」と思ったそうですが、上長は内定を出しました。結果はどうだったでしょうか。採用後のこの人の評価は非常に高いそうです。上長曰く、「責任感があり、勤勉に仕事をしています。おそらく、面接で質問することで懸念点がクリアになり、納得して入社することができたのだと思います」とのことでした。全ての人に当てはまるわけではないですが、質問が多い人は、懸念点や課題を言語化できる人であるとも言えますね。

オンライン面接で気をつけたいポイント

国際面接あるあるなのですが、時差には気をつけましょう。〇時とだけ伝えておくと、それが現地時間だと勘違いされる可能性があります。面接時間を伝えるときは、それが日本時間なのか、現地時間なのか、必ず明記するようにしましょう。あと、アジアにもサマータイムを導入している国もありますので、この点も注意しておきましょう。

また、現地の通信環境にも留意が必要です。先日、同席した面接では、応募者が20分後に入室してきました。遅れた理由を確認したところ、30分前にネット回線が断線し、回復までに時間がかかったとのことです。国や地域によっては、回線が安定せず、断線が頻繁に起こります。回線が安定しているシティホテルやビジネスセンターを使えばよいのでしょうが、近くにそうした施設がない場合もあります。


この記事を書いた人 つくばワールド行政書士事務所 行政書士 濵川恭一

 

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