技術・人文知識・国際業務ビザ 雇用理由書の書き方

在留資格申請に必要な雇用理由書とは

雇用理由書とは、技術・人文知識・国際業務ビザの要件を満たしていることを、丁寧に説明した書類です。書式は自由ですが、出入国在留管理局の審査官が審査しやすいように書くことが非常に重要です。

勤務先企業や外国人の状況によって、書くべき内容は異なります。ですから、書くべきこと、書かなくてよいことを正確に判断し、丁寧に分かりやすく書いていく必要があります。ビザが許可になるか、不許可になるかを大きく左右する重要な書類です。

当事務所では、これまで1000件を超える理由書を書いてきました。技術・人文知識・国際業務ビザの理由書に限定しても、600件以上は書いています。

こうした経験をもとに、理由書に書く内容について、解説します。

1.本人の学歴・職歴

留学生の場合、母国での最終学歴から、現在までの学歴を書きます。

転職者の場合、母国での最終学歴から現在までの職歴を書きます。

海外大学を卒業している場合

海外大学を卒業している場合、その大学で取得した学位名も必ず記載しましょう。日本で大学を卒業している場合も、記載したほうが有利になることが多いです。

過去の在留資格申請と同じ経歴を書く

これまでの在留資格申請の際に提出した過去の申請書との整合性も審査されるため、過去の在留資格申請時に提出した履歴内容と同じように書いてください。

万が一、過去の在留資格申請時に提出している履歴が間違っている場合、そのことを正直に書きます。間違ってしまった理由に悪意がなければ、大きな問題になることは少ないです。ただし、書き方に工夫が必要ですので、心配な方は、行政書士にサポートを依頼したほうがよいでしょう。

2.内定先会社の事業内容

会社の事業内容について、分かりやすく説明します。専門用語を使わずに記載してください。

会社のパンフレットやホームページを印刷したものを提出してもよいです。

複数の事業を展開している場合(例えば、貿易事業、不動産事業、飲食事業など)、今回、どの事業部門で採用されるのか、明確に書いておきましょう。

3.職務内容について

担当する職務内容について詳しく書きます。この時、専門用語を使わず、誰でも理解できる用語を使って書いてください。

職務内容については、現在持っている就労ビザの要件に該当していることを改めて確認してから、正確に記載するようにしてください。

また、その職務を担当するという根拠も必要です。例えば、専門学校卒業者が、卒業後にいきなり、飲食店チェーンの本社で管理業務に従事する場合、その根拠を書かないと、ビザが不許可になります。

4.日本語力

通訳翻訳の仕事に従事する場合、日本語力についても説明します。

日本語能力試験などに合格している場合は、そのことを記載しましょう。この時、点数も書いたほうが審査官の心証がよい場合があります。例えば、日本語能力試験に満点近くで受かっている場合、ぜひそのことも書いてください。現場感覚ですが、150点以上取っているかたは、総合判断の際、有利になると思います。

5.入社後、1~3年間、現場で働く場合

例えば、機械メーカーに就職し、入社後1年間は、工場で働き、1年後に営業を担当する場合などです。この場合、入社後3年間のキャリアパスについても明確に記載しておく必要があります。

現行のビザ審査の傾向としては、入社後1年未満の現場就労であれば、説明書への記載があれば不利になることは少ないです。1年を超える現場就労を予定している場合、詳細なキャリア計画書を作成する必要があります。これは、理由書とは別の書類となります。

6.採用の経緯

ビザ審査に直接影響しませんが、採用経緯についても書いておいたほうが、不要な誤解を受けずにすみます。

7.労働条件の補足説明

労働基準法に定められた労働条件と、技人国ビザで認められている労働条件は異なります。両方の条件を満たしていることを、補足説明しておきましょう。特に、最低賃金に近い給与の場合、その給与が、日本人社員と同等以上であることを説明しておかないと、審査が長引くことがあります。

8.論文・特許について

応募者が大学院生などの場合、論文や特許を保有していることもあります。ぜひそのことも書いてください。たくさんあって、書ききれない場合、別紙一覧にしてもよいです。

また、高学歴者の場合、「技術・人文知識・国際業務ビザ」ではなく、「高度専門職ビザ」が出る可能性があります。高度専門職ビザは、審査期間が早く、永住申請にも有利です。

9.直近1年間で日本滞在期間が少ない場合

目安として、直近1年間に、4か月以上日本に住んでいない場合、ビザ審査が厳しくなります。こうした場合、日本滞在期間が少ない理由を書く必要があります。

下記のような理由であり、それを証明できれば、不利になることは少ないです。

・前の会社の会社都合(長期の海外出張など)

・やむをえない事情があった(親族の葬儀、相続など)

10.法務省ガイドラインに沿った検討

審査官は、ビザ審査の際、入管法、法務省省令、在留資格審査要領、法務省作成の審査ガイドライン、先例集、法務省による通達などを見て審査します。

ビザ申請を得意とする行政書士や弁護士は、こうした書類全てを手元に置き、参照しながら理由書を書いていきます。もちろん、当事務所でもそうしています。

このうち、一番分かりやすいのが、審査ガイドラインです。ですから、ご自身で理由書を書く方は、最低限、このガイドラインだけでも確認しておきましょう。出入国在留管理局の窓口に行けば、コピーしたものをもらえるはずです。あるいは出入国在留管理局の公式ホームページに最新版が掲載されています。 

この審査ガイドラインは、随時変更になります。また、新しいガイドラインがどんどん発行されます。最近の傾向としては、難化傾向にあります。つまり、ガイドラインの要件がどんどん厳しくなっています。ですから、ネット上に流通している理由書のテンプレートを使うと、非常に危険です。無料で入手できるテンプレートは、過去のガイドラインに沿ったものが多いからです。

つくばワールド行政書士事務所では、技人国ビザの申請時に必要な雇用理由書(職務内容説明書)を作成するサービスを行っております。貴社に訪問させていただき、実際の就労場所を確認させていただき、人事担当者もしくは配属予定先の上長から詳しくお話をお聞きし、作成していくサービスです。貴社訪問時に、ビザ申請書類一式の確認、全体的なコンサルティングも行います。

自社でビザ申請書類は作成できるけれど、重要部分だけプロにお願いしたいという企業様に最適なサービスです。


この記事を作成した人 つくばワールド行政書士事務所 行政書士 濵川恭一

 

 

 

 

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