建設業で外国人を雇用するための就労ビザ5つ

このページでは、建設業で外国人を雇用する時の就労ビザについて、ビザ専門行政書士が解説しています。

職種によって取得するビザが違う

建設会社で外国人が働く場合、よく利用される就労ビザは以下の5つです。簡単に要点を図にまとめました。

対象となる仕事 就労可能な年数 管理コスト(目安)
特定技能 建設現場の作業全般 5年 月額3万円程度(管理を外注する場合)
技能実習 建設現場の作業全般 3年 月額3万円程度
特定活動46号 建設現場の作業全般 制限なし なし
特定活動9号 建設現場の作業全般 1年程度 人材紹介会社による
技術・人文知識・国際業務(技人国) 施行管理業務、設計など、専門知識が必要な業務のみ 制限なし なし

現行の就労ビザのルールでは、現場での建設作業員を募集する場合、

  • 特定技能
  • 技能実習
  • 特定活動46号
  • 特定活動9号

上記いずれかの就労ビザを持つ外国人を採用することになります。もしくは、採用するために、これらの就労ビザを申請することになります。

以下、それぞれの就労ビザについて、ポイントを解説していきます。

特定技能ビザ

特定技能は、人手不足解消のために作られたビザです。現在、11業種のみに限定されており、その中に建設業も含まれています。

特定技能ビザの要件

本人に関する主な要件は、特定技能評価試験(建設分野)および日本語能力試験N4に合格していることです(建設会社において3年間の技能実習修了者を除く)。

雇用企業に関する要件は、社会保険加入、労働保険加入、滞納税がないこと、2期連続赤字でないこと等、多数ありますが、要件さえ満たせば個人農家も受入対象となります。実際、多くの個人農家で特定技能ビザを持つ外国人が働いています。この点は、他の業種にはない特長ですね。

本人 3年間の技能実習修了者もしくは

特定技能評価試験(農業)および日本語能力試験N4合格者

企業 社保完備、2期連続赤字でないこと等、多数あり(技能実習受入企業であればほぼ問題ない)

3年間雇用している技能実習生がいる場合、特定技能ビザに切り替えることで、さらに5年間の雇用が可能となります。技能実習生として来日してから、2年10ヶ月が経過した時点で、切り替えの手続きが可能です。

また、元技能実習生(3年満了者)であれば、特定技能外国人として、呼び戻すことも可能です。

技能実習ビザ

技能実習ビザとは、発展途上国の人材を受け入れ、日本の建設会社で3~5年間かけて日本の建設技術を学んでもらうためのビザです。

技能実習ビザを持つ外国人は、外国人実習生や外国人研修生と呼ばれます。外国人実習生を受け入れたい場合、近くにある監理団体に相談してみましょう。

現在、日本国内には約3000の監理団体があり、それぞれに得意な国、業種が異なります。茨城県内の企業様でしたら、当事務所から監理団体のご紹介も可能です。

特定活動46号ビザ

特定活動46号ビザとは、日本国内の4年制大学を卒業し、日本語能力試験N1に合格している外国人を対象としたビザです。この2つの条件を満たす外国人については、就職の選択肢がかなり広がります。

日本語での円滑なコミュニケーションが必要な業務であれば、建設業に従事することも認められています。学部は関係ありません。文学部卒業者でもOKです。ただし、ひたすら掃除や資材の運搬をするだけといった作業の場合は認められませんので注意してください。

本人 日本国内の4年制大学卒業および日本語能力試験N1合格者
企業 経営安定性あればOK(農業法人の場合、直近の決算で債務超過なし、相応の売上があれば問題ない場合が多い)
職務内容 日本語での円滑なコミュニケーションが必要な業務であること(上司の指示を受けながら、技能実習生に通訳をしながら自らも農作業に従事する場合など)

特定活動46ビザについては、こちらのページでも詳しく解説しています

特定活動46号(本邦大卒者)

特定活動9号ビザ

特定活動9号ビザとは、海外の建設系大学の学生を、インターンとして受け入れるためのビザです。通常、3ヶ月~1年程度の期間となることが多いです。

特定活動ビザを取得するための主な要件は下記です。

  • 日本の建設会社と当該大学がインターンシップに関する協定を結んでいること
  • 日本でのインターンシップが大学の単位として認定されること

当事務所でも、過去に何度か、この特定活動9号ビザを取得したことがあります。最初は大変ですが、一度、大学と協定を結んでしまえば、毎年、必要な時期に必要な人員を確保しやすいです。

アジアを中心とした海外大学建設学部の紹介、大学との提携サポートも行っておりますので、詳しくはお問い合わせください(有料相談となります)。

技術・人文知識・国際業務ビザ

大学や日本の専門学校を卒業した外国人が、建設会社において、施工管理や設計、マーケティングなどの仕事に従事する場合、ホワイトカラーの就労ビザである「技人国ビザ」を取得できる可能性があります。

※技人国ビザとは、技術・人文知識・国際業務ビザの略称です。

技人国ビザは、技能実習や特定活動に比べて、採用コストやビザ取得にかかる労力が遥かに少ないため、できれば技人国ビザで採用したいというニーズが高いです。

※技能実習生や特定技能外国人を雇用するためには、細かい条件があり、ビザ申請時や更新時に膨大な書類(通常、50~100種類)が必要です。また、毎月の管理委託費もかかります。

技人国ビザが許可されやすいケース(一例)

  • 一定規模の売上がある建設会社において、施工管理、設計、取引先との連絡調整業務に専従する。
  • 現場での建設作業は職人さんや下請会社が担当することが明確である。
  • 本人の最終学歴が大学の建設系学部である。

技人国ビザ取得が難しいケース

  • 業務の大半が、現場での建設作業である

技人国ビザの要件

本人側の要件・・・大学(短期大学含む)を卒業していること。

職務内容の要件・・・簡単に言うと、業務の大半が建設作業ではないことが必要です。つまり、主たる業務が管理系の仕事である必要があります。

技人国ビザ 単純労働不可の例外について

技人国ビザはホワイトカラー職のビザであるため、原則として一般的な農作業に従事することはできません。ただし、本来業務を行うためには現場を知る必要があります。こうした事情が考慮され、技人国ビザに該当しない活動であっても、それが日本人の大卒社員等に対しても同様に行われる実務研修の一環であって、在留期間の大半を占めるようなものではないときは、総合的に判断された上で農作業が認められる場合があります。ただし、このスキームを使う時にはかなり高度な法的知識とノウハウが必要です。

補足:就労ビザ不要の外国人

以下の在留資格(ビザ)を持っている外国人は、就労ビザを取らなくても農業法人などで働くことができます。ただし、ビザによっては条件があります。

ビザの種類 就労制限
永住者 なし
定住者 なし
日本人の配偶者等 なし
特定活動ビザ(ワーキングホリデー) なし
留学ビザ 週28時間以内※1
特定活動ビザ(継続就職活動) 週28時間以内※2
家族滞在ビザ 週28時間以内※2

※1 資格外活動許可を得ている場合に限る。在留カードの裏面に、「許可・風俗営業等の従事を除く」というスタンプがあればOK。また、留学生に限り、夏休み等の長期休暇期間は1日8時間以内の就労が可能。

※2 資格外活動許可を得ている場合に限る。

 

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この記事を作成した人 つくばワールド行政書士事務所 行政書士 濵川恭一

 

 

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