このページでは、3年間の技能実習終了後に、再度同じ実習生を雇用したい場合の方法について、ビザ専門行政書士が解説しています。分かりやすさを優先して解説していますので、例外規定や特例などについては触れていません。企業や本人の状況によっては、例外規定が使える場合もありますので、詳しくは個別にご相談ください。
再雇用の目的によって取得するビザが異なる
技能実習生の実習期間は、通常3年もしくは5年ですが、その実習期間終了後に、再び雇用したい場合は、次の2つの選択肢があります。
一応、2つ書きましたが、
実際は、ほとんどのケースで、特定技能への変更となります。なぜなら、特定技能ビザは、技能実習ビザとよく似ており、企業側としては移行しやすいからです。
技能実習生を引き続き雇用したい場合は、まず、組合(事業協同組合)
もし、組合が、
一方、大卒者限定ではありますが、技能実習生の通訳者として、改めて雇用したい場合は、「技術・人文知識・国際業務(技人国)」というビザを取得することができます。大学卒業という絶対条件がありますが、取得できれば、管理に手間やコストがかからないという大きなメリットがあります。
該当する職種例 | 技能実習からの継続雇用 | 管理コスト(目安) | |
特定技能 | 現業(技能実習で得たスキルを活かした、より高度な仕事) | 可能 | 月額3万円程度(管理を外注する場合) |
技術・人文知識・国際業務(技人国) | 専門性の高い仕事(通訳翻訳、生産管理等) | 技能実習終了後、母国に1年以上帰国する必要あり(現行ルール) | なし |
以下、それぞれの就労ビザについて、ポイントを解説していきます。
特定技能ビザ
特定技能は、人手不足解消のために作られたビザです。現在、11業種のみに限定されており、その中に農業も含まれています。
特定技能ビザの要件
特定技能は、人手不足解消のために作られたビザです。現在、11業種のみに限定されており、その中に農業も含まれています。
特定技能ビザを取得するためには、原則、本人が特定技能評価試験という試験に合格する必要があります。
しかし、3年間の技能実習修了者が同じ企業で引き続き働く場合、この試験が免除されています。
つまり、本人側の要件は実質ありません。
雇用企業に関する要件は、社会保険加入、労働保険加入、滞納税がないこと、2期連続赤字でないこと等、多数ありますが、技能実習ビザが許可されている企業であれば、ほぼ問題ありません。
本人 | 3年間の技能実習修了者
もしくは 特定技能評価試験(農業)および日本語能力試験N4合格者 |
企業 | 社保完備、2期連続赤字でないこと等、多数あり(技能実習受入企業であればほぼ問題ない) |
職務内容 | 単純作業OK |
3年間雇用している技能実習生がいる場合、特定技能ビザに切り替えることで、さらに5年間の雇用が可能となります。技能実習生として来日してから、2年10ヶ月が経過した時点で、切り替えの手続きが可能です。
また、元技能実習生(3年満了者)であれば、特定技能外国人として、呼び戻すことも可能です。
特定技能ビザ必要書類例
お客様に用意いただく書類は、黄色マーカーの書類です。社会保険や税務関係の書類は、当事務所で収集代行も可能です(オプション)。
- 在留資格認定証明書交付申請書 / 在留資格変更許可申請書
- 特定技能外国人の報酬に関する説明書
- 特定技能雇用契約書の写し
- 雇用条件書の写し
- 事前ガイダンスの確認書
- 支払費用の同意書及び費用明細書
- 徴収費用の説明書
- 特定技能外国人の履歴書
- 健康診断個人票
- 特定技能所属機関概要書
- 雇用の経緯に係る説明書
- 登記事項証明書
- 役員の住民票の写し (本籍あり、マイナンバーなし)
- 決算文書(損益計算表及び貸借対照表又は収 支計算書)(直近2年分)
- 法人税の確定申告書の控え(直近2年分)
- 労働保険料等納付証明書(未納なし証明)
- 領収証書の写し(直近1年分)、労働保険概算・増加概算・確定保険料申告書(事業主控)の写し(領収証書に対応する分)
- 雇用契約の成立があっせんする者がある場合、職業紹介事業所に関する「人材サービス総合サイト」(厚生労働省職業安定局ホームページ)の画面を印刷したもの
- 社会保険料納入状況照会回答票
- 税目を源泉所得税及び復興特別所得税、法人税、消費税及び地方消費税とする納税証明書
- 税目を法人住民税とする納税証明書(前年度)
- 1号特定技能外国人支援計画書
- 特定技能外国人受入れに関する誓約書等
- その他、業種によって個別書類あり
技術・人文知識・国際業務ビザ
3年間、技能実習生として頑張ってくれた外国人を、今度は、後輩の技能実習生の通訳者として、改めて雇用したい場合は、「技術・人文知識・国際業務(技人国)」というビザを申請します。
技人国ビザは、企業からみれば一番人気のビザです。ビザを取ってしまえば、更新まで、特に手続き的なことは不要です(特定技能ビザの場合、3ヶ月ごとに報告書を作成し、役所に提出が必要です。報告書を正確に書くためには、企業側でやるべきことも多数あります)。ですから、できれば、技人国ビザを取りたいという企業様からのニーズは高いです。
ただ、この方法は簡単ではありません。原則、大学卒業者限定となりますし、技能実習終了後、「技能移転」という建前があるため、1年以上母国に戻る必要があります。
※上記の技能移転の建前については、各業界より撤廃の要望が強く、今後、撤廃される可能性があります。
また、通訳の必要性が厳しく審査されます。例えば、技能実習生が数名しかいないのに、その専従通訳者として雇う必要性があるのかという観点での審査があります。
では、技能実習生が何人いれば、通訳者として雇えるのかというご質問もよくいただくのですが、これは業種や職務内容によります。また、通訳だけでなく、翻訳の必要性や翻訳する文書の質や量、翻訳の発生頻度なども総合的に判断されます。
なお、相談後、コンサルティング業務等を依頼いただいた場合、相談料は業務料金の一部に充当します(実質無料相談)。
●相談後に要点メモをメールします(メモを取る必要がないので相談に集中できます。また、上司等への報告書や稟議書にも使用できます)
●関連資料のご提供(なかなか探しにくい法務省ガイドラインや過去判例の該当ページコピーなど
●相談後に追加質問がある場合、1週間以内であればメール1往復での追加相談可能
●その他、時間内で対応できること(文章作成、書類チェックなど)
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この記事を作成した人 つくばワールド行政書士事務所 行政書士 濵川恭一