弊社では、海外から優秀な人材を探すため、サマージョブ制度(特定活動9号)を利用して外国人の大学生を受け入れたいと考えております。はじめてのことなので、注意する点などを教えてほしいです。
サマージョブでの受入に関するお問い合わせですね。サマージョブは、インターンシップと異なり、在留資格(ビザ)を取得する要件が緩やかですので、幅広い業種で利用されていますね。サマージョブの留意点について、一つずつ解説していきます。
サマージョブとインターンの違い
サマージョブとインターンは似ていますが、異なる点もたくさんあります。
サマージョブ | インターンシップ | |
---|---|---|
申請する在留資格 | 特定活動12号 | 特定活動9号 |
認められる仕事内容 | 単位認定ある場合、大学での専攻との関連性 | 大学での専攻との関連性が必要 |
日本での滞在期間 | 3ヶ月未満 | 1年未満 |
大学での単位認定 | どちらでもOK | 必要 |
受入人数枠 | 原則なし | あり(原則、常勤社員数の5%以内) |
滞在期間中の傷病保険 | 加入推奨(個別判断) | 加入必須 |
特定活動12号ビザ(サマージョブ)の必須要件
まず、学位が取得できる大学の正規の学生であることです。通信制大学は含みません。また、短期大学の場合、個別判断となります。
そして、大学の長期休暇(夏季休暇等)の期間中であることが必要です。大学の授業が行われる日が1日でも含まれていると、このビザは許可されません。
特定活動12号ビザ(サマージョブ)審査のポイント
特定活動12号ビザの審査では、まず必須要件を満たしているかどうかを確認した上で、以下の要素について詳しく審査されます。
- サマージョブ(職業体験)としての実効性
- 大学での専攻と職務内容との関連性(関連性弱い場合、合理的説明)
- 座学と実務の割合
- 指導員の経歴
- 大学の指導教員の関与(視察、オンライン指導の有無等)
- 成果物、レポートの有無、質
- 受入の経緯の信憑性、合理性
個別事案によっては、上記以外のことも審査されますが、最低限、上記について十分な説明が必要となります。各項目については、個別に説明のコツというかノウハウもあるのですが、業種業態によってさまざまなので、業務のご依頼時に具体的にお伝えしております。
給与(報酬)に関するルール
出入国在留管理法の観点からは、最低賃金以上、日本人と同等以上ですので、問題ありません。
ただし、大前提として、サマージョブのインターン生が労働者か否かによって扱いが異なります。労働者に該当するかどうか、明確な基準はなく、最終的には、労働局、顧問社労士の判断になると思われます。
一般的には、指揮命令系統の有無、本人による作業(職務)が貴社商品、運営に関与してくるか否か等によって判断されます。労働者というよりは、研修の要素が強いのあれば、研修手当という形で支給されているケースもあります。
特定活動12号ビザ(サマージョブ)の活用シーン
当事務所で扱った事例としては、下記のようなケースがありました。
- 海外の提携大学在学中の学生(学部問わず)を日本のIT企業で受入れ
- ホテルレストラン学科に在籍中の学生を、日本のリゾートホテルで受入れ
- 農学部に在籍中の学生を、農業組合で受入れ
IT企業でのサマージョブは、卒業後に本採用することも想定したもので、本人の能力や適正をじっくり判断するという目的も大きかったように感じました。
一方、ホテルや農家でのサマージョブでは、本人達は現場を体験し、本国との比較をレポートにしていました。受入企業側としては、指導の手間はかかりますが、貴重な戦力確保になるようですね。
特定活動12号ビザ(サマージョブ)の必要書類
特定活動12号ビザの申請に必要な書類は下記です。実際の審査では、下記に加え、個別案件に応じて追加書類を求められることが多いです。
- 在留資格認定証明書交付申請書(様式U)
- 証明写真
- 大学の長期休暇期間を証明する資料(日本語訳も必要)
- 大学と受入企業との契約書(日本語訳も必要)
- 活動内容(期間、報酬等)を記載した資料(日本語訳も必要)
上記の3,4,5の書類については、個別状況によって、細かい点が異なります。また、管轄する出入国在留管理局によって審査ルールも異なりますので、個別具体的な相談をご希望の場合、有料相談をお申込みください。
この記事を作成した人 つくばワールド行政書士事務所 行政書士 濵川恭一