専門行政書士が解説!ビザの在留期間が1年になる理由とは?

現在、永住者ビザなどの例外を除き、外国人の在留期間は、1年、3年、5年のいずれかとなっています。そして、在留資格の更新・変更時に、期間が延びる人と、減る人がいます。この年数はどのように決められるのかについて、ポイントを解説します。

長期の在留資格を得るための最低条件とは?

外国人が3年や5年の在留資格を得るためには、幾つか条件があります。まず、すでに日本にいる外国人については、公的義務(納税義務等)を履行している必要があります。つまり、税金や年金の滞納がないことですね。

また、入管法に定める届出等の義務を履行していることも必須です。具体的には、住居を変更した時の届出、転職した時の届出等を指します。これら2つの条件を怠ってしまうと、本来なら長期ビザに該当するケースであっても、1年のビザしか出ないことが多々あります。なお、この2つの条件については、新規で入国する外国人には求められていません。

1年の在留期間が付与されるケースとしては、「本人の学歴、所属機関の実績、これまでの在留状況等からみて、1年に1度その状況を確認する必要があるもの」とされています。逆にいえば、「1年に1度確認しなくても大丈夫」と判断された場合、長期のビザが付与されることになります。

では、どのような状況であれば、1年に1度の確認が必要と判断されるのでしょうか。その具体例をみていきましょう。

就労ビザ(技人国ビザ等)の在留期間が1年になる理由

技術・人文知識・国際業務ビザ、特定活動ビザなど、就労系ビザの在留期間が1年になる理由として、下記のようなことが考えられます。

就職・転職したばかりである

大学や専門学校を卒業して、留学ビザ→技人国ビザに変更する場合、最初は1年ビザになることがあります。

特に、規模の小さな企業(社員数や売上の少ない企業)では、この傾向が強いです。

また、職務内容を明確に記載していない場合、審査官が安心して長期の在留資格(3年、5年のビザ)を出すことができません。例えば、従業員20名の製造業の会社で留学生を採用する場合、職務内容欄に「生産管理」とだけ記載があっても、審査官の立場としては、それをそのまま受理することは難しいでしょう。どのような生産管理をするのか?単純な組立作業のことを生産管理と記載しているのではないかと考えてしまうからです。

ですから、規模の小さい企業に就職する場合は、職務内容に関する詳細な説明書を出したほうがよいでしょう。企業のホームページがない場合には、事業内容説明書も提出することをお勧めします。また、専門学校卒業者の場合、専門学校で学んだ内容との密接な関連性が求められます。この点も、わかりやすく説得力のある文章で説明書を作成することをお勧めします。

実際、ほぼ同じ経歴の複数の外国人が同じ企業で同じ仕事に従事しているにも関わらず、1年ビザの人、3年ビザの人、5年ビザの人が混在しているケースも珍しくありません。

在留資格の審査は、原則、個別審査です。審査官は、同じ会社の外国人社員の在留年数を参考にしますが、あくまで参考です。

例えば、2人の留学生がいたとします。2人とも、同年齢で同じ専門学校を卒業して、同じ企業に就職しました。Aさんの在留資格申請書には、会社の事業内容や主要取引先、そしてAさんの採用理由や担当してもらう業務、将来のキャリアパス等が細かく記載されていました。専門学校の履修科目と職務内容がどのように関連するのかも図表も使って分かりやすく説明されています。一方、Bさんの場合は、単に「製造部にて生産管理に従事する」としか書かれていません。

この場合、Aさんは3年ビザ、Bさんは心配だから1年ビザにしようという裁量が働いてもおかしくありませんね。

業界平均等と比較して年収が著しく低い

業界平均年収や年齢を考慮して、著しく年収が低い場合も、1年ビザになる可能性が高いです。例えば、技人国ビザを持っている30代の方で、年収が250万円未満の場合、勤続年数が長くても、1年ビザになることが多いです。

直近1年間に、長期間出国している。

海外出張や海外出向等の理由により、長期間出国している場合も、1年ビザになる可能性があります。そもそも、就労ビザというのは、日本で働くためのビザですので、長期間出国しているのであれば、ビザの必要性がないと判断される可能性があるからです。

業務の都合上、どうしても長期出国が必要な場合、その理由を詳細に説明した文書を提出することで、1年ビザになることを回避できる場合もあります。

直近1年間に、3カ月以上、無職の期間がある。

就労系ビザの場合、3カ月以上無職でいると、在留資格取消対象となります。実際には、いきなり在留資格が取り消されることはまずありませんが、在留資格更新や在留資格変更の際に、1年ビザしか付与されないことが多いです。

身分系ビザ(日本人の配偶者等)の在留期間が1年になる理由

日本人の配偶者等、永住者の配偶者等の身分系ビザの在留期間が1年になる理由として、下記のようなことが考えられます。

日本人や永住者と結婚したばかりである

日本人や永住者と結婚してから2年未満の場合、1年ビザになることが多いです。

海外から移住してきたばかりである

これは、日本人と結婚した外国人にいえることですが、日本人と結婚して何年も経過して子供もいるけれど、これまではずっと海外で暮らしてきたといった場合です。

日本に移住して当面の間(だいたい2年くらい)は、1年ビザになることが多いです。

ただ、日本での十分な安定収入があること、安定した結婚生活を送っていることを、写真等で証明することにより、早期に3年ビザが出る可能性も十分にあります。

世帯年収が著しく低い

住んでいる都道府県の平均年収や年齢を考慮して、著しく世帯年収が低い場合も1年ビザになる可能性が高いです。

配偶者と別居している。

日本人の配偶者ビザや永住者の配偶者ビザの場合、6カ月以上別居していると、在留資格取消対象となります。実際には、いきなり在留資格が取り消されることはまずありませんが、在留資格更新や在留資格変更の際に、1年ビザしか付与されないことが多いです。
身分系ビザの方を企業で雇用している場合、配偶者と別居していないか、事実上婚姻が破綻していないかどうかを、確認しておいたほうがよいですね。

この記事を作成した人 つくばワールド行政書士事務所 行政書士 濵川恭一

 

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