行政書士が解説!家族滞在ビザの外国人をアルバイトで雇う時のポイント

就労ビザを持つ外国人の配偶者や子供は、家族滞在ビザを取得して日本で住み、週28時間以内の就労が可能です。家族滞在ビザ保有者は単純労働も可能であり、子供といっても20歳を超えた人も多く、貴重な戦力になります。本稿では、家族滞在ビザを持つ外国人活用のポイントを解説します。

家族滞在ビザを持つ外国人の属性

まず、今、日本にどれくらいの数の家族滞在ビザ保有者がいるのかを法務省統計資料からみてみましょう。法務省では、半年毎に、在留外国人の詳細情報を公開していますが、令和4年6月末時点でのデータからポイントを紹介します。

国籍別にみると、中国人が一番多く、66,407人、次いでネパール(37,882人)、ベトナム(36,571人)、韓国(9,197人)、フィリピン(4,094人)となっています。外国人就労者の国籍とほぼ同じ順位ですが、ブラジル人の家族滞在ビザ保有者は意外に少なく518人です。

都道府県別にみると、東京都が一番多く、57,235人、次いで神奈川県(21,766人)、埼玉県(20,819人)、千葉県(17,625人)、愛知県(15,749人)となっており、首都圏に集中していることが分かります。

 

家族滞在ビザの外国人を採用するメリット

家族滞在ビザの外国人を採用するメリットは、大きく2つあります。

1つ目はわざわざ就労可能な在留資格(就労ビザ)をとる必要がないということです。つまり、ビザ変更の必要がありません。

2つ目のメリットは、仕事内容に制限がないということです。つまり、単純労働や、現業労働も可能となっています。例えば、工場での組み立て作業、コンビニエンスストアの店員、ホテルでの客室清掃などに従事することが可能です。ただし、例外もあります。週28時間以内の就労であること、そして、風俗営業許可を必要とする業務には従事出来ません。この点を少し補足すると、パチンコ店やゲームセンターでチラシ配りのみのアルバイトをすることも禁止されています。違反すると資格外就労に該当しますので、十分注意してください。

家族滞在ビザの外国人を採用する時の留意点

留意点は大きく2つあります。1つ目は週に28時間以内の就労時間を守ることです。この週に28時間以内というのは、月平均でも年平均でもなく、週のどこから数えても週に28時間以内であることが必要となります。

2つ目の留意点は、年収が原則106万円を超えた場合、社会保険の扶養から外れる必要があります。扶養から外れないで、そのままビザ更新をした場合、ビザ更新が不許可になることもあります。また、将来永住申請をする際、審査上非常に不利になります。

もし、家族滞在ビザの外国人がオーバーワークをしてしまった場合、本人は不法就労で検挙される可能性があります。その配偶者については状況によります。例えば、その配偶者がアルバイトを斡旋したり、オーバーワークをするようにすすめていたりした場合、不法就労助長罪が成立する可能性もあります。不法就労については、出入国在留管理法に罰則も含めて詳細に記載されています。毎年、年間で1万人程度の方が不法就労で検挙されていますので、注意してください。

家族滞在ビザの申請は簡単か?

前提として、特定技能外国人、技能実習生は、配偶者や子を呼ぶことは出来ません。

留学生も同様です。ただし、留学生については例外もあります。大学の留学生であり、在籍状況が良好であり、母国の親族等からの仕送りが十分にある場合、家族滞在ビザが許可されることもあります。また、国費留学生や国公立大学の留学生の場合も、家族滞在ビザが許可されることが多いです。

家族滞在ビザの申請に必要な書類は、母国政府が発行する婚姻証明書(子供の場合出生証明書)、そして、主たる生計者の収入を証明する書類、在職証明書などになります。

母国の婚姻証明書や出生証明書を取得する時は、氏名や生年月日が正確であるか、そして発行日にも注意してください。原則、6か月以内発行の書類が必要となります。また、婚姻や出生から氏名が変わっている場合、その経緯に関する説明書が必要となります。

収入要件に関してですが、これは住んでいる都道府県や家族構成により異なります。例えば、東京23区で妻と子1人を呼びたい場合、最低でも300万円の年収が必要となるでしょう。この収入に関しては、前年度の住民税の課税証明書に基づき審査されます。もし、給料が上がっている場合は、直近の給与明細書を提出した方が良いでしょう。

家族滞在ビザの申請時には、交際経緯に関する説明が求められる事もあります。同国人同士の婚姻であれば、交際経緯説明は簡単で構いません。異なる国同士の結婚であれば、出会ってから婚姻に至るまでの経緯、双方の親族との交流、共通言語があるかどうかなどを詳しく書く必要があります。

家族滞在ビザが取れないケースとは

家族滞在ビザが不許可になる原因は大きく2つあります。

1つ目は、主たる生計者の扶養能力の不足です。例えば、年収300万円の外国人が、妻と子供3人を呼びたい場合、おそらく全員呼び寄せることは難しいでしょう。

2つ目の原因は、本国発行の婚姻証明書の不備です。当事務所で扱ったケースとしては、婚姻証明書に書いてある本人の生年月日と、パスポートの生年月日が1年ずれていたことがありました。また、氏名のスペルが一文字違っていたケースもありました。いずれのケースでも、正しい情報が記載された婚姻証明書を再提出するまで許可されませんでした。

また、滅多に無いのですが、偽装結婚のケースもあります。同国人同士の偽装結婚を見抜くのは非常に難しいのですが、交際経緯に不自然な点があると(例えば、出身地がかなり離れた場所である、年齢差が大きいなど)審査官は、交際経緯に関する詳細な説明や、交際中の写真多数を追加で求めます。

家族滞在の外国人をフルタイムで雇用したい場合

 家族滞在の外国人を正社員雇用したい場合、その外国人の学歴によって方法が異なります。

まず、その外国人が、日本の中学校及び高等学校を卒業している場合、定住者のビザに変更できる可能性があります。定住者ビザなので、業種に制限はありません。専門知識を要しない仕事でも、許可されます。なお、この高等学校には、定時制高校及び通信制高校も含みます。しかし、韓国人学校等は含みません。インターナショナルスクールも含みません。

次に、日本の高等学校のみを卒業している場合は、特定活動ビザに変更できる可能性があります。このビザも職務内容に制限はありませんので、どのような職種にも就くことが出来ます。

母国で大学を卒業している場合で、ホワイトカラーの業務に従事する場合は「技術・人文知識・国際業務」ビザを取得できる可能性があります。その他の方法としては、扶養者が永住者ビザを取得した場合、家族滞在の外国人は「永住者の配偶者」というビザに変更できます。また、扶養者が高度専門職ビザを取得した場合は、配偶者は特定活動ビザを取得できます。

初回相談料 1時間 11,000円

つくばワールド行政書士事務所では、じっくりとお客様の状況やご要望をお聞きし、質の高い相談を提供したいと考えているため、初回に限り、1時間あたり11,000円の相談料をいただいております。

オンライン(ZOOM、スカイプ等)、面談、電話の中から、ご都合のよい方法をお選びください。行政書士の予定があいていれば、当日のご予約も可能です。貴社内での相談等をご希望の場合、別途交通費をいただいております。

なお、相談後、ビザ申請代行業務等を依頼いただいた場合、相談料は業務料金の一部に充当します(実質無料相談)。

この記事を作成した人 つくばワールド行政書士事務所 行政書士 濵川恭一

 

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