本記事は、月刊人材ビジネス誌で当事務所が執筆した内容を加筆修正したものです。
外国の大学の学生を、インターンで受け入れるためのインターンビザ(特定活動ビザ)について、ポイントを解説しています。
インターンシップビザ(特定活動ビザ)とは
インターンシップビザは、海外の大学に通う現役学生が、日本の企業や農家などで一定期間のインターンシップをする際に付与されるビザです。
インターンシップの対象者とは?
一言で言うと、海外の大学に在籍する現役の大学生です。実際に多い国としては、フィリピン、ベトナム、インドネシア、中国、ネパール、ミャンマーなどです。
現役の大学生ですので、20代前半の若い人が多く、仕事を覚えるのも早い傾向にあります。
ただ、現役の大学生ですので、制度上、最長でも1年程度の就労となります。法律的には、最長2年まで働くことができるのですが、相手方大学が2年のインターンを認めてくれないことが多いですね。
インターンシップビザで認められている仕事内容とは?
インターンシップビザは、大学で学んだ内容を現場でどう生かすのか体験してもらうことが本来目的ですので、比較的広い範囲の仕事が認められています。
ただし、活動内容の大半が単純労働ではないことが必要です。単純労働をしてはいけないわけではなく、幅広い仕事を経験させることが必要ということですね。
インターンシップを利用するメリット
インターンシップを活用する主なメリットは以下です。
企業側のメリット
- 優秀な学生に就業体験をしてもらい、卒業後の長期雇用につなげる。
- インターン期間途中での退職が少ない。(途中で退社すると大学の単位修得ができない)
- 一度、海外大学とのインターンシップ協定を結ぶと、毎年安定的に受入が可能。
- 外国語対応、海外への販促などができる。
- 既存の日本人社員にとっても刺激となり、社内が活性化する。
学生側のメリット
- 報酬を得ながら日本での生活や文化に触れることができる。
- 実践的な日本語の習得ができる。
- 将来の就職先となる可能性がある。
他の就労ビザとの違い
インターンシップが、他の就労ビザと違う点についてまとめました。
インターンシップ | 技能実習 | 技術・人文知識・国際業務 | |
単純労働の可否 | 可能 | 可能 | 不可 |
本人の条件 | 海外大学の大学生 | 18歳以上 | 原則、大学卒業者 |
就労可能年数 | 1年程度 | 3年~5年(ビザ更新必要) | 制限なし(ビザ更新必要) |
日本語力 | 簡単な日常会話 | 簡単な日常会話 | 人による |
学歴、教養レベル | 高い | 未知数 | 高い |
毎月の給与 | 最低賃金 | 同職種の日本人と同等以上 | 同職種の日本人と同等以上 |
インターンシップビザ申請(在留資格申請)の必要書類
当事務所に依頼いただく場合、当事務所で書類作成、作成支援、申請代行を行いますので、具体的な書類の書き方、申請方法については、ご心配不要です。
- 在留資格認定証明書交付申請書
- 証明写真(4×3cm、直近3ヶ月以内撮影のもの)
- 在学証明書
- インターンシップに関する協定書(外国の大学と日本の勤務先企業との契約書です。当事務所で契約書の作成も可能です)
- 外国の大学が発行したインターンシップ承認書
- インターン活動により、当該大学の単位を取得できることを証明する文書
- インターンシップの条件通知書
- インターン活動計画書(活動内容、期間、報酬を記載したもの)
- 過去にインターンシップをしたことがある場合→インターンシップ報告書
- その他(インターンシップを受け入れることになった経緯書など)
インターン活動計画書作成のポイント
インターン活動計画書の内容は、個別のケースにより異なるのですが、ここでは一般的なことを解説します。なお、当事務所にインターンビザの申請を依頼いただいている場合、当事務所で事業計画書を作成します。
最近では、より具体的な受け入れ体制や学生への指導の方法(実地と座学)、指導者についても説明が求められていますので、規模の小さな事業者でも十分な受け入れ体制を確保する必要があります。このような点も含め下記6つのポイントを明確に記載した実習計画書を作成する必要があります。
- インターンシップの指導体制(既存従業員の研修体制)
- 講師の略歴、生活相談担当者の略歴
- 講義の内容、実学(OJT)の内容とインターンシップでのゴール
- 座学と実地のウェイト
- タイムスケジュール(月間、週間)
- 会社の受入れ体制(社員寮、食事、社会保険その他各種保険、報酬、休暇)
実際に、このインターン活動計画書を作成する際には、受入企業の担当者様から詳細をヒアリングさせていただき、完成度を高めていきます。
インターンシップの在留資格申請にかかる費用
インターンシップの在留資格申請(ビザ申請)にかかる料金は、受入人数や相手国などにより異なるのですが、目安は下記です。正確な金額は、個別に見積書を作成しております。
内容 |
費用目安 |
インターン受入体制構築、大学との協定書作成などに関するコンサルティング |
お問い合わせください |
在留資格申請費用(就労ビザ申請) |
1人 120,000~(人数が多い場合、個別に見積もります) |
対応地域
全国対応
インターンシップビザ よくある質問
インターンシップビザがよく活用されている業種はありますか?
インターンシップビザは、IT、ホテル、製造業、建設業などで広く活用されています。また、最近では農業や介護分野での活用もみられます。ただ、農業や介護の分野では、単純労働のみに従事するのではないかと判断されやすいため、具体的な活動内容の詳細説明やその根拠書類を提出したほうがよいでしょう。
大学との協定はどのように結ぶのですか?
インターン生を受け入れるためには、海外の大学と受入企業が「産学協定」を結び、産学協定に沿った教育カリキュラムを実施します。協定を結んだ企業でのインターンシップに参加する事により参加学生は、大学での卒業に必要な単位取得が可能となります。
例えば、日本でリゾートホテルでインターンシップを受け入れたい場合、海外の観光学部や経営学部のある大学とインターンシップ協定(産学協定)を結ぶことになります。海外の大学にとっては、学生に対して、「本学では日本の企業へのインターンシッププログラムがある」とアピールできますので、この産学協定には積極的な場合が多いです。
なお、大学との提携、インターンシップ協定書の作成については、当事務所でサポートすることが可能です。
インターンシップの期限に制限はありますか?
外国人学生を企業が受入れできる期間は、4年制大学から受け入れる場合、制度上は最長2年です。最初に1年の在留期間が許可され、引き続きインターシップを継続したい場合はいったん帰国し、再度呼び寄せることで1年の継続ができます。更新はなく、一旦帰国する必要があります。ただ、実情としては、2年間のインターンを受け入れることは少ないです。ほとんどのケースでは、1年間です。1年毎に、同大学から違う学生を受け入れることが多いです。
無報酬でインターンシップを行うことが出来ますか?
インターンシップビザは、あくまでの報酬が発生する場合のビザになります。無報酬の場合は90日以内であれば短期滞在ビザ、90日を超える場合は文化活動ビザでの入国となります。
なお、無報酬の場合であっても、渡航費用や滞在費は企業が負担しているケースが多いです。
インターン生への報酬はいくらくらいが妥当ですか?
その地区や業種で決められた最低賃金を守っていただければ大丈夫です。最初は最低賃金からスタートし、能力に応じて昇給させることが多いです。
住居費、食費、交通費などの実費の支払いは報酬とみなされるのでしょうか?
「報酬」とは、インターンシップの活動を行う学生に対し、就労の対価として受け入れ機関から支払われる金銭とされています。具体的には時間給や日額単価に勤務日数をかけた額の金銭が支払われた場合などが該当します。原則として住居費、食費、交通費などの実費弁償に該当するものは報酬に含まれません。
インターンシップビザの取得にはどれくらい期間がかかりますか?
はじめてインターンビザ(特定活動ビザ)を申請される場合、ビザ申請から許可まで2ヶ月程度かかることが多いです。通常、2人目からは審査期間が早くなります(最短2週間程度)。
受入企業で技能実習生がいる場合、インターン生の人数枠はありますか?
出入国在留管理局が公表しているガイドラインでは、下記の記載があります。
受入れ機関において「第1号技能実習生」を受け入れている場合で,インターン シップ生の受入れ人数と「第1号技能実習生」の合計が「第1号技能実習生」の受入れ人数枠を超えるときは,技能実習制度の適切な実施を阻害することのないよう,また,充実したインターンシップ活動が行われるよう,インターンシップ生につ いての指導体制やカリキュラムが構築されていることを明らかにしている必要があります。 |
このガイドラインに沿った運用を行うため、指導体制やカリキュラムを構築し、その根拠となる書類を作成する必要があります。当事務所が過去に扱った例としては、受入先の嘱託社員が専属でインターン生の指導にあたるケース、インターン生が在籍する大学の指導教員が一緒に来日し、インターン生に指導にあたるケースなどがありました。
実際にこの運用を行うためには、個別の状況に応じた適切な対策を取る必要があります。
インターン希望の企業様へ
当事務所では、下記大学からのインターン募集、ビザ申請まで一貫してサポートすることが可能です。詳細については、メールにてお問い合わせください。
- インドネシアの国立大学、私立大学
- ラオス国立大学
- フィリピンの州立大学
- バングラデシュ私立大学
主な学部・学科
日本語学部、看護学部、機械工学部、土木建築学部、生産工学部、
この記事を書いた人:つくばワールド行政書士事務所 行政書士 濵川恭一