留学生採用の現場から

本稿は、月刊人材ビジネス2019年11月号にて、当事務所が執筆した記事です。

近年、外国人留学生の数が急増しています。特に、ベトナムやネパールからの留学生は、この5年間で9倍に増加しています。日本に住む外国人全体の数も増加していますが、留学生の増加により、20代に限ると人口の約5%が外国人、東京23区に限ると人口の13%が外国人という状況です。今後しばらくは増加傾向にある留学生。本稿では、その現場が抱える課題、ニーズをレポートしたいと思います。学校現場の事情にフォーカスしている部分もありますが、企業にとっても知っておくことで採用の参考になると思います。

出典 独立行政法人 日本学生支援機構

資格外活動違反により、留学ビザ更新や就労ビザ変更が不許可になるケースが急増

近年、せっかく就職が決まったのに、留学ビザから就労ビザへの変更が許可されないという事案が非常に増えています。また、日本語学校から専門学校等への進学の際、留学ビザが更新できないというご相談も増えています。原因は、資格外活動違反であることがよくあります。つまり、週に28時間以上を超えてアルバイトをしているから。

ただ、資格外活動違反の疑いがある場合、留学ビザ更新や就労ビザ変更を申請して、いきなり不許可になることは少ないです。多くの場合、審査中に、追加書類提出通知といって、「追加で〇〇を出してください」という通知が書面で届きます。

〇〇によく入る文言は、以下です。

①直近年度の課税証明書(前年の給与収入が記載されている)

②預金通帳のコピー(全ページ)

③給与明細書のコピー(直近1年分の場合と来日してから全ての場合あり)

④アルバイトの履歴を記入するシート(アルバイト先の店名、週労働時間、時給、勤務開始日、退職日などを記載する)

この通知が来たときにやるべきことは、まず、指示された書類を用意すること。これ以外にやるべきことがあります。

ビザの審査をする出入国在留管理局の審査官が知りたいのは、主に2点あります。当該外国人が、資格外活動違反か否か、そして再発の可能性があるか否かです。

当局から指示された書類を用意するにあたり、④の信憑性を証明する書類も重要です。本人の記憶はあてになりません。下記のような書類で証明していきます。

まず、現勤務先からもらう賃金台帳、タイムカードのコピー。これらは、勤務先が保管しているはずです。勤務先にとっても、アルバイト留学生がいなくなると大変なので、協力してくれることが多いです。

前勤務先から取得する必要がある場合でも、できるだけ取得してください。前勤務先にとっても、留学生のアルバイト時間管理の参考になるはずです。事情を丁寧に話して、賃金台帳をいただくようにしてください。

それから、長期休暇期間は、1日8時間までのアルバイトが認められているのですが、この長期休暇は学校が規定する長期休暇です。自分の履修科目の試験が終わったから夏休みということではありません。

これらの情報を突き合わせて、労働時間をカレンダーに記入していき、週28時間以内を守っていたことを説明できるときがあります。

万が一、守っていない期間があったとしたら、それがどの程度なのかを正確に説明、立証していきます。かなり根気のいる作業ですが、そうすることで就労ビザ申請の不許可を防げる可能性があります。実際、当事務所で顧問をしている学校の留学生については、そのようにしているのですが、就労ビザの不許可がかなり減りました。

また、留学ビザ更新の際、担任の先生などが、上申書を書いていただけることがあります。これについては、効果がある場合と逆効果になる場合があります。

私も、たまにその上申書を拝見するのですが、非常に学生のことを思ったよい先生だなと思うのですが、ビザ更新には致命的なことを書いてある時があります。また、書くべき要素が抜けていることもあります。

一例を挙げますと、「〇〇さんは、非常に勤勉な学生で、出席率も80%近くあります。先月、お母様が入院したため、〇〇さんは、妹さんたちに毎月仕送りをしています。後期の学費を工面するため、一時期、アルバイトを頑張ったようです」

この上申書には、3つのマイナスポイントがあります。

①出席率80%近くは、資格外活動違反を払拭できるほどのプラス材料ではありません。月曜から金曜まで授業があったら、必ず週に1日休んでいるという事実を説明しているだけという場合もあります。

②留学生が仕送りするほど稼いでいる事実は、マイナスの心証が働きます。法律用語ですが、在留資格相当性の判断にマイナスとなります。

③学費を全額、本人が支弁することは禁止されています(一部ならOK)。

 次に再発の可能性が低いことを立証するために、学費の経費支弁者を追加したほうがよい場合もあります。経費支弁者が同じなら、再発するのではないかと疑義を持たれるからです。ただ、安易に追加しないほうがよいです。叔父とか。なぜいきなり叔父が経費支弁するようになったのか、説得ある理由説明と根拠がないと、逆効果となります。説明の仕方、証拠の集め方、いろんな工夫ができます。

 また、本人の反省文も逆効果の場合があります。先生の上申書と同じ理由です。

 ここまで書いてきた事案は一例です。実際の現場では、状況によって、用意すべき書類、とるべき対策は異なってきます。この追加書類提出の通知が来た場合は、留学生に任せるのではなく、また学校側、企業側として、過去と同じような対策を取るのではなく、ビザの専門家(申請取次行政書士)に相談することをお勧めします。

専門家は、審査官が何を根拠に、どのような観点で審査しているのか、その審査の理論を分かっています。その上で対策を取ります。小手先のテクニックや経験や勘で対応しませんので、専門家に相談することで、結果が違ってくることが多いです。

 資格外活動違反の懸念がある場合、不許可になってしまってからでは遅いです。数年前まで、不許可になってからのリカバリも可能だったのですが、最近は資格外活動違反による不許可からのリカバリは非常に厳しいです。

 それよりも、追加書類提出の段階で完璧な対策を取ることで、不許可を極限まで減らすことができます。

就労ビザへの変更に向け、学生時代にできること

まず、第一に、学校を卒業することです。学校を卒業すれば、何等かの学位がもらえます。現在、日本で働くための就労ビザは17種類ありますが、学位がないと許可されない就労ビザもあります。留学生が日本の企業に就職するときには、「技術・人文知識・国際業務」というビザを申請しますが、原則として、このビザは学位を持っていることが条件です。

また、在学中に、就職や就労ビザ取得に有利になる資格にもチャレンジしましょう。まずは、日本語能力試験N1、特定技能試験に合格しておきましょう。この2つの試験に合格していると、就職選択肢が大きく広がります。大卒者の場合、N1に合格していると、特定活動46号という就労ビザが取得できます。このビザは、日本語を使用する要素のある仕事であれば、現業労働(コンビニや工場など)でも働くことができるビザです。

 また、特定技能試験に合格していると、特定技能外国人として、飲食店やホテル等で現業労働者として働くチャンスが残ります。

 その他、外国人の就職や就労ビザ取得に有利な資格としては、宅地建物管理士(宅建士)、貿易実務検定、ビジネス文書検定などがあります。これらの試験を日本語で受け、合格しているということは、日本語の読解力、仕事に関する知識があると判断され、就職や就労ビザ取得に有利に働く場合があります。せっかく日本に留学したのですから、学校の卒業証書を得るだけでなく、日本の資格にもぜひチェレンジしてほしいと思います。

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