専門行政書士が解説!外国人の面接、採用試験での留意点

このページでは、これまで1000人以上の外国人の面接に同席してきた経験から感じたことを紹介します。外国人社員の面接時に参考にしていただければ幸いです。

日本語力を確認するための質問

面接での会話を通して、日本語の会話力を判断することができますが、他にも下記の質問が効果的です。下記の質問を口頭でしてみてください。

  • あなたの出身国のよいところを1分程度でプレゼン(話して)ください。
  • 日本人で一番親しい友達について他己紹介してください(氏名などの個人情報は不要です)
  • 卒業論文のサマリーを話してください。
  • カタカナで、「インターネット」「インターナショナル」「パスポート」を書いてください。・・・多くの外国人は、カタカナが苦手です。長音(-)や、小さいツが抜けることが多いです。逆に、正確に書ける方は、かなり筆記力が高いです。
  • 「ランドセル」「披露宴」「香典」の意味は分かりますか?・・・分かる方のほうが少ないと思います。分かる方というのは、日本語だけでなく、日本社会のことをよく知っている人ですね。ちなみにこの質問は、帰化申請(日本国籍取得)の際に、面接官からよく出る質問です。日本社会への定着性を図るための質問だそうです。

外国人応募者の日本語の読解力、筆記力も重要

外国人応募者の日本語の読解力、筆記力も重要です。特に欧米人に多いのですが、日本語の理解力と会話力は非常に高いのですが、読み書きは全くできないということもあります。逆に日本語の読み書きができる欧米人はほぼ間違いなく、日本語会話力も高いです。

もし、何等かの日本語資格を持っている場合、必ず履歴書に記載してもらうようにしましょう。できれば、その資格の合格証のコピーを履歴書と一緒に送ってもらうとよいでしょう。現在、日本語を学ぶ外国人の間で広く普及している日本語資格は、公益財団法人日本国際教育支援協会が実施している日本語能力試験です。N1からN5までのレベルがあります。欧米人の方でN1持っている方は相当優秀です。常用漢字2000字程度の音読み、訓読みを覚えたということですので、相当な努力をされた方なのだと思います。

日本語と母国語の両方で質問してみる

可能であれば、日本語と母国語の両方で面接してください。外国人にとって、日本語は外国語です。いくら上手だと言っても自分の意見を完全に表現できない場合が多いです。特に面接で緊張していると、日本語の単語が出てこないことがよくあるようです。私達日本人も逆の立場であればそうなるのではないでしょうか。ですから、外国人の本音を聞くためには、その方の母国語でも質問したほうが確実です。社内に当該外国語が話せる社員がいればベストですが、いない場合でも翻訳機を活用する、翻訳機がなければGoole翻訳でも構いません。多少意味が分からなくても、その外国人の話し方や雰囲気からニュアンスを想像することはできます。実際によくある事例なのですが、日本語面接では大人しいなという印象であっても、「母国語でよいから自分の考えを言ってみてください」と言うと、機関銃のように勢いよく生き生きと話し始めることもあります。

また、母国語能力については、標準語を話せるか?方言しか話せないのかをしっかり確認してください。その国の企業とのやり取りをするとき、標準語を話せないと不利になったり、相手から軽んじられたりすることもあるからです。

これまでの仕事経験を聞きだす質問

  • 母国ではどんな仕事をされていたのですか、何年くらい経験されたのですか、部下はいましたか?
  • 何人くらいの会社ですか?
  • PCソフトは何が使えますか? 日本語バージョンでも使えますか?
  • (任意の文書を提示しながら)ワードでこの文章を作成する場合、何分くらいでできそうですか

日本に馴染んでいるか知る質問

  • 日本のどこが好きですか?
  • 日本のゲーム,アニメ,歌手,俳優,テレビ番組で好きなものはありますか?
  • 普段、日本の本や雑誌、新聞を読みますか?
  • 花見,披露宴、ひな祭、法事などに参加したことがありますか?
  • 日本人で一番親しい方はどんな方ですか?

特に最後の質問に対する回答は様々です。友人と答える方が多いですが、学校の先生、バイト先の店長、近所のおじいさんとか。この質問をすることで、その人の人となりが少し分かります。

母国での職務経験

日本での職務経験が少なくても、母国で職務経験がある外国人もいます。その経験を詳しく聞いてみると、意外な経験やノウハウ、人脈を持っていることもあります。特に同業種での経験がある場合、仕事内容、扱った商品の内容、取引先のことなど、詳しく聞いてみてください。意外に、自社と接点が見つかる時もあります。

リーダーシップ

外国人の正社員を採用した場合、外国人アルバイトのマネージャー的存在として働く場合もあります。アルバイトの労務管理的な仕事をすることもあるでしょう。また、海外子会社との連絡調整業務を担うこともあります。

そういった場面で、リーダーシップの経験は役立ちます。日本人社員が指揮命令するほうがよい場合もあるのですが、そうでない場合もあります。リーダーシップのある同じ国の社員がまとめたほうがスムーズにいくことも多いからです。リーダーシップの経験については、

  • 学級委員だったことはありますか?
  •  スポーツのキャプテンを務めたことはありますか?
  •  アルバイトのリーダーだったことはありますか?

などの質問をしてみてください。意外な人が意外な経験を持っている場合も結構あります。

海外での面接、オンライン面接の留意点

海外、特に東南アジアの多くの国の方は、面接に慣れていません。応募者によっては、人生初めての面接である場合もよくあります。ですから、必要以上に緊張してしまい、本来の能力を聞き出せないこともあります。海外で面接する場合、あるいはオンラインで面接する場合は、こうした点も留意しておくとよいと思います。もちろん、日本人でも必要以上に緊張してしまい、ぎくしゃくした受け答えになることもあります。外国人の場合、それが語学力不足に起因している場合と、面接に慣れていないだけという場合があります。

御社の外国人採用をサポートします

つくばワールド行政書士事務所では、外国人採用に関するコンサルティングを行っております。具体的には、下記のようなサービスがございます。料金については、内容や時間によって異なりますので、メールか電話でお問い合わせください。

外国人採用リーガルチェック

コンプライアンスを守った採用を実現するため、面接前後に、就労ビザ取得可能性の診断を行います。また、求人を出す前に、就労ビザ取得の観点から、求人情報の文言、書き方についてのご提案をさせていただきます。

外国人の面接サポート

当事務所ではこれまで数千件の外国人の就労ビザ申請のサポートをしてきました。就労ビザの審査では、本国の学歴や本国の実務経験が肝になる場合も多々あります。こうした業務の中で、本国の教育制度や仕事についても詳しくなってきました。また、中国、ベトナム、ミャンマー、米国については、実際に現地の企業、大学、日本語学校、一般家庭が暮らす自宅などを訪問したこともございます。人事担当者が気づかない視点から外国人応募者に質問し、彼らの潜在能力や意外な一面を聞き出したり、その場でリーガルチェックをすることも可能です。

※ベトナムの送り出し機関、日本語学校を取材訪問したときの記事はこちら

外国人内定者の就労ビザ申請

外国人内定者の就労ビザ申請に必要な書類の収集、各種説明書類の作成、翻訳等を行い、申請代行、許可までサポートさせていただきます。


この記事を書いた人 つくばワールド行政書士事務所 行政書士 濵川恭一

 

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