在留資格の申請から結果までの期間はどれくらいかかるか?

在留資格を申請してから結果が出るまでの審査期間については、法務省出入国在留管理局の発表では、2~3ヶ月程度となっています。ただ、これは目安であり、実際には、これより短い場合も、長くかかる場合もあります。

審査期間については、出入国在留管理局が決めることですから、原則的には待つことしかできません。

通常、条件の良い方、上場企業勤務の場合、提出書類の信憑性の審査が簡便である方(全て日本国内で発行された公的な書類であるなど)については、早期に結果が出ることが多いです。しかし、以下のような場合、条件の良い方であっても、遅くなる場合もございます。

就労系ビザ 審査期間が長くなるケース

技術・人文知識・国際業務ビザや技能ビザなど、就労ビザの審査で時間がかかるケースとしては、下記が挙げられます。

必須書類が提出できない

出入国在留管理局で要求している必須書類が提出できない場合、代替書類を提出できたとしても審査期間は長くなることが多いです。

例えば、直前まで休眠していた会社で就労ビザを申請する場合、決算書類や法定調書を提出できないことが多いです。この場合、代替書類として、「給与支払事務所等の開設届出書(会社控え)」を提出することになるのですが、この書類だけでは、雇用の安定性や事業の継続性を十分に立証することはできませんよね。また、休眠していた会社の場合、そもそも、この「給与支払事務所等の開設届出書(会社控え)」を紛失していることも多いです。

代替書類も提出できない場合、提出できない理由書を作成します。その上で、今後の事業計画書も提出するようにしましょう。事業計画書に書く内容やその分量については、状況によりことります。要は、審査官がその事業計画書を読んだときに、「この会社であれば、雇用の安定性や事業の継続性について、不安要素が少ないな」と思えるような書類を作ることがポイントです。

海外の大学を卒業している場合(有名大学を除く)

海外の大学を卒業している場合、当然ですが、卒業証明書は海外で発行されているため、その信憑性を確認する必要があります。海外の一部の大学では、金銭で学位を買えたり、ごく簡単な試験だけで学位が授与されることがあり、大学相当といえるのかどうか審査に時間がかかることがあります。また、国によっては、独自の教育制度や学位制度があり、本人の最終学歴が日本の大学卒業に相当するのか、判断に時間がかかっている場合もあります。

先進国の大学であれば、こういうケースは少ないです。また、ケンブリッジ大学などが発表している世界大学ランキングで200位以内に入っているような大学であれば、この点は問題になりにくいです。

逆に、あまり聞いたことがない大学である場合、念のため、その大学の公式サイトを調べましょう。この公式サイトの調べ方ですが、単純に大学名で検索しても出てこないことがあります。この理由としては、大学の統廃合により名称が変更になっている、英語表記では検索に出てこない、正式名称と通称名が違うなどがあります。海外の大学の公式サイトを調べるには、ちょっとしたコツがあります。大学の公式サイトが見つからない場合は、本人に聞くか、行政書士などの専門家に相談してみましょう。

公式サイトが見つかったら、その主要ページを印刷して、見やすく整理して、大学の卒業証明書と一緒に提出しましょう。大学が実在することの根拠として、大学の所在地や代表電話番号なども書いておくと、なおよいです。

また、卒業証明書に記載がある学位の表示が、「BACHELOR(学士)」でない場合も注意が必要です。この場合、その国の教育制度に関する資料もつけておくとよいでしょう。当事務所の経験では、フランス、インドネシア、ベトナムなどでは、独自の学位があります。いずれも、「BACHELOR(学士)」相当の学位ですが、学校によっては個別に判断が必要な場合があります。

上記のような対策を取ることで、審査官が見たときに、「この申請人(もしくは会社)は、就労ビザのことがよく分かっているな」という心証を持ち、審査がスムーズになるかもしれません。

日本の専門学校卒業者の場合

本人の最終学歴が日本の専門学校卒業の場合、審査期間は長くなる傾向にあります。なぜなら、専門学校卒業者の場合、「専門学校の履修科目と職務内容の密接な関連性」が求められるからです。

つまり、審査官は、専門学校で学んだ内容と職務内容を照らし合わせ、どの科目がどの職務に関連するのか、あるいは全体的にみて相当な関連性があるかどうかを、様々な角度から審査します。成績証明書に書かれてある科目名だけでは、どんな内容を学んだのか分からない場合も多々あります。また、職務内容の説明があいまいだったり、一般的なことしか書かれていなかったりすると、審査官は、関連性の判断に非常に苦労します。

ですから、在留資格(就労ビザ)の申請時には、「専門学校の履修科目と職務内容について」という説明書を提出します。行政書士に在留資格申請を依頼した場合は、行政書士が作成してくれます。

また、仕事と関連性が高い科目については、専門学校の先生にお願いして、シラバスなどを添付するのも有効です。ただし、シラバスが分かりにくい場合もあるので、注意が必要です。

会社の主たる事業が、製造、外食、建設、人材派遣業等である場合

特に、技人国ビザの申請の場合ですね。こうした業種では、外国人を現場勤務させるのではないという疑義を持たれやすいため、そうではないという判断をするまでの審査に時間がかかるようです。

設立したばかりの会社、債務超過の会社など

雇用主について、雇用の安定性・継続性という観点から慎重に審査されます。

出入国在留管理局の繁忙期

例年、2月~6月くらいまで、申請件数が非常に多くなります。審査官の数は変わりませんので、その他の時期に比べて、審査期間は長くなりがちです。

入国管理局内の人事異動

定期異動と臨時移動がありますが、担当審査官の交代、最終決裁審査官の交代により、審査が一時的に中断することがあるようです。

 

日本人の配偶者ビザ、定住者ビザ 審査期間が長くなるケース

必須書類が提出できない場合

例えば、納税証明書が提出できない場合、代用書類を提出できたとしても審査期間は長くなることが多いです。

夫婦のいずれかに離婚歴がある場合

特に、前婚も国際結婚である場合や、前婚の婚姻期間が短い場合などは、慎重な審査となります。

夫婦の年齢差が大きい、交際写真が少ない場合

政府統計によると、日本人どうしの結婚の場合、20歳以上年の差がある夫婦は、2000組に1組であり、年々この割合は減少傾向にあります。つまり、日本人どうしの結婚については、年齢差がある夫婦は非常に珍しいということです。また、年齢差と離婚率はある程度の比例関係にあります。

こうした根拠により、年齢差が大きい場合、かなり厳しい審査となります。

扶養者の収入が少ない場合

扶養者の収入が少ない場合も、審査は長引く傾向にあります。現在、日本人男性の平均年収は433万円です。もちろん年齢によって差はありますが、例えば、40代の男性でこの年収を大幅に下回る場合は、審査が長引くかもしれません。

出入国在留管理局の繁忙期

例年、2月~6月くらいまで、申請件数が非常に多くなります。審査官の数は変わりませんので、その他の時期に比べて、審査期間は長くなりがちです。

入国管理局内の人事異動

定期異動と臨時移動がありますが、担当審査官の交代、最終決裁審査官の交代により、審査が一時的に中断することがあるようです。

在留資格申請中に住所変更した場合

申請中に住所変更することも可能ですが、書類の差し替え、再署名等が必要となり、審査が長引く傾向にあります。

ですので、住所変更は、ビザ手続きが完了してから、市役所で手続きされることをお勧めしております。(住所変更だけなら、市役所で即日可能です)。

申請中に在留期限を超えてしまう場合

在留カードをお持ちの方 → 法律的な説明は省略しますが、簡単に説明すると、今回のビザ手続きの結果が出るまで自動延長となります。今の在留期限から2ヶ月以内には必ず結果が出ます。在留期限を超えても不法滞在とはなりません。

審査中に、海外出国もできます。ただし、現在の在留期限から2ヶ月以内に日本に帰国してくだい。

(例)現在の在留期限が、2023年10月11日の場合、

海外に出国する場合、2023年12月10日までに日本に帰国してください。

 

短期滞在ビザで来日中の方 → 現在の短期滞在ビザ期間中に帰国ください。

現在、在留資格認定証明書交付申請(長期ビザの申請)を行っており、その在留資格認定証明書が発行された場合、日本にいながら在留資格変更できる場合もあります。

在留資格の審査が長引いている場合の対策

同じ会社で、同じ時期に数名の在留資格を申請しても、全員が同じ日に結果が出るとは限りません。同じような状況であるAさんとBさんがいるとします。Aさんは許可されたのに、Bさんは審査が長引いているということも結構あります。

ただ、審査が長引くには理由があります。

審査が長引いている場合、再度申請書類一式の内容を見直し、記載ミスや記載漏れがないか確認しましょう。また、説明不足の部分がないかもチェックしてください。特に、自分達で申請書類を作成している場合は、説明不足の可能性があります。また、誤解されやすい書き方をしているのかもしれません。出入国在留管理局が積極的に許可したい案件の場合(高度技術者など)、審査官のほうから確認の電話があったり、追加書類を求められたりしますが、そうではない場合、基本的には提出された書類の情報のみを持って判断されます。記載ミスがあったり説明不足があった場合、それが理由で不許可になることも多々あります。

不安がある場合は、専門家に相談されることをお勧めします。当事務所でも、有料にて、申請内容のチェック、今からできる補足説明書類の作成などを行っております。補足説明書を提出したところ、すぐに許可されたというケースも何度かありました。

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この記事を作成した人 つくばワールド行政書士事務所 行政書士 濵川恭一

 

 

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