
近年、外国人雇用をめぐる法制度は大きく変化しています。
特に、技人国ビザに関しては、ビザ審査がかなり厳格化しています。
今後はこれまで以上に、企業側の管理体制や適正運用が重視される時代になります。
外国人雇用の実態調査を受けやすいケース
特に、下記の点がある場合、行政機関から厳しく調査される可能性があります。
技人国ビザの場合
技人国ビザの実態調査において、よく指摘されるのは、在留資格申請書や雇用契約書に書いてある職務内容と実際の業務内容が乖離していることです。
例えば、生産管理、品質管理等に従事するとして技人国ビザが許可されているが、こうした管理業務を行うための机やPCがない。外国人本人がこうした管理業務に従事していないといったケースです。
なお、管理業務の中で、シフト作成や単純な入力作業(作業実績等の入力)は、技人国に該当しないというガイドラインが出ています。
また、派遣社員の場合、派遣先の書類(派遣先管理台帳や誓約書)を提出していない場合も、コンプライアンス違反として、実態調査を受けたときの心証は悪くなります。
特定技能ビザの場合
特定技能ビザの実態調査において、よく指摘されることは以下です。
- 専ら、反復継続的な作業のみを行っている
- 所属機関(つまり雇用会社)以外で就労している
- 所属機関の仕事が休みの日に、コンビニ等でアルバイトをしている。(単発のアルバイトであっても、厳しい処分が下されることがあります)
外国人雇用の実態調査の流れ
外国人雇用の実態調査の流れは、概ね下記になります。実態調査の原因や状況によって異なることもありますが、大きな流れを説明します。
出入国在留管理局から会社に電話がかかってきます
出入国在留管理局(もしくは労働局、警察)から会社に電話がかかってきます
ただし、緊急性のある場合や悪質な場合は調査官が突然来ることもあります。電話では、具体的な質問を受ける場合もありますし、調査日程の調整(アポイント)だけの場合もあります。
実態調査当日
出入国在留管理局の調査官が会社にやってきます。通常、複数人で来所されます。弊社行政書士が立ち会った時は、全て、記録用カメラ(ミラーレス一眼レフカメラ)を持参されていました。
当日は、調査対象の外国人社員の就業場所の撮影、仕事で使用する文書等の撮影等が行われます。感覚としては、視察場所や撮影に関する会社側の拒否権は認められないことが多いです。
そして、会議室に移動し、審査官からの質疑応答があります。まさに実態調査です。詳細は書けませんが、真摯に誠実に対応することはもちろんですが、準備なしに臨むことは避けたほうがよいです。
審査官は、会社側にとって有利な情報を積極的に探してくれるわけではありません。外国人雇用に関する法令やガイドラインの原理原則に基づいた厳しい指摘を受けることも多いです。逆に言うと、これらの現行の審査基準を正確に知っておかないと、有利な要素があっても、それを説明することができません。
結果通知
当日、もしくは後日、実態調査の結果および処分が通知されます。口頭の場合もありますし、書面で出る場合もあります。
外国人雇用の実態調査を受けるとどうなるか?
実態調査で在留資格該当性(仕事内容が技人国ビザに該当しない等)について指摘を受けた場合、下記のような処分(指導)が下されます。派遣の場合、仕事に関する指揮命令は派遣先が行うため、仕事内容に関する行政指導については、派遣元だけでなく派遣先に対しても行われます。
- 口頭指導:最も軽い対応です。ただし、速やかに改善するように厳しく指導されます。また、派遣元の外国人採用(派遣社員含む)にも影響します。
- 是正勧告:通常、書面で交付されます
- 書類送検:重大、悪質な場合です。見せしめの場合も稀にあります。
- 不法就労助長罪適用(企業名も公表されます)
これ以外のリスクとしては、事業許可の維持に影響する場合もあります。
例えば、派遣会社の場合は労働者派遣事業許可の取消、建設会社の場合は建設業許可の取消、倉庫業の場合は倉庫業登録の取消などです。こちらのほうがはるかに大きなリスクになると思われます。
外国人雇用のリスク予防と体制構築が必要です
ワールド行政書士法人では、こうしたリスクに対応するため、
- 貴社の外国人雇用に関するリーガルチェック
- 実態調査リスク、調査対策の検討、対策案の作成
- 実態調査、法改正等の情報提供(メール配信)
- その他、付随する業務
さらに派遣会社や人材紹介会社向けには、
- 派遣先、人材紹介先の外国人雇用に関するリーガルチェック
- 派遣先・紹介先との打合せ同席(適宜、客先への説明書類の作成含む)
など、「採用した後も安心できる外国人雇用体制づくり」をサポートしています。
弊社では、これまで外国人雇用の実態調査の現場に立ち会ってきました。いずれも、相当厳しいものでしたが、結果的には全て口頭指導で終了しました。
調査を受けた場合、それを隠すのではなく、誠実に事実を申告し、適切な改善策を提示することで、最小限の影響にとどめることができる場合も多いです。
インターネット上には、外国人雇用に関する法律解説情報が多数掲載されていますが、それらが全て正確な情報を反映しているわけではありません。また、外国人雇用に関する法令やルールは、頻繁に変更になります。
実態調査を受けることになったら、実績と経験のある専門家に相談されることを強くお勧めします。それが貴社と外国人を守ることになります。
「知らなかった」では済まされない時代だからこそ、事前の予防と体制整備が重要です。
外国人雇用のコンプライアンス対策について、実態調査を受ける前に、ご相談ください。
この記事を作成した人 ワールド行政書士法人 行政書士 濵川恭一






