介護施設で外国人の介護スタッフを採用したいと思っています。しかし、一部の利用者から、外国人に介護を受けるのは抵抗があると言われ、なかなか採用が進みません。何か良い方法はあるのでしょうか?
いきなり外国人を常勤介護スタッフとして採用しない
今まで、日本人の介護スタッフだけだった施設に、外国人がフルタイムで働くようになると、最初のうちだけですが、現場は多少混乱します。利用者だけでなく、管理者や介護スタッフ側も、今までとは違う教え方が必要だったり、フォローが必要だったりするからです。
ですから、いきなりフルタイムで外国人を採用するのではなく、まずは短時間のアルバイトの採用から始めてみるとよいかもしれません。例えば、外国人留学生などをアルバイトで採用してみるという感じですね。可能なら、もう就職が決まっている留学生のほうがよいかもしれません。そうすれば、良くも悪くも、就職するまでの期間限定での採用が可能です。
また、最初は、利用者と直接接する業務ではなく、その周辺業務を担当してもらい、会社と利用者ともども徐々に外国人に慣れていくのも良いと思います。例えば、いきなり食事介助をさせるのではなく、最初は食事の配膳や調理補助といった仕事から始め、慣れてきてから食事介助も担当してもらうといった具合です。それでも抵抗があるなら、最初は掃除や事務仕事だけ担当してもらい、様子を見るのもよいでしょう。
外国人雇用に関する勉強会や説明会を開く
外国人雇用に関する社内勉強会や、お客様向けの説明会を開くことは、たくさんのメリットがあります。外国人雇用についての正確な法律知識を学び、法律に基づいた雇用をすることでコンプライアンス強化につながります。そして、お客様も安心することでしょう。
こうした勉強会には、経営人、幹部社員だけでなく、外国人社員に関わる社員全員が参加しましょう。可能なら、パート社員やアルバイト社員も参加したほうがよいです。前述したとおり、サービス業などでは、お客様から質問されることも多いからです。
勉強会の内容としては、雇用している外国人の属性(国籍、在留資格、職務内容など)によって異なりますが、一般的には下記のような内容を掘り下げて学ぶとよいでしょう。
- 在留資格の制度概要(就労ビザ許可条件、ビザ更新の条件、認められている仕事内容)
- 外国人の受入準備、受入体制作り(就業規則、マニュアルの見直し)
- 外国人とのコミュニケーション(やさしい日本語を使う練習)
- 最近の外国人不法就労に関する検挙事例
また、この機会に外国人雇用に関する不安や懸念点を洗い出しておくのもよいでしょう。なんとなく不安に思っていることを見える化することで、具体的な対策を検討することができます。
介護施設における外国人雇用の統計データを見せる
介護業界は保守的な業界と言われています。ですから、なかなか新しい試みが受け入れられにくいかもしれません。ただ、同地域の介護施設で外国人の介護スタッフが働いていることを知ると、外国人雇用について関心を持つのではないでしょうか?
この感覚は利用者も同じだと思います。
現在、50床以上の介護施設(特養、老健)の約40%以上で、1人以上の外国人が働いています。その中には、日系人やアルバイトも含まれます。介護業界における外国人雇用の割合は、年々高くなっています。今後もこの傾向は続くと思われます。
少し話はずれますが、今、コンビニ業界では、外国人応募者の取り合いという状況になっています。介護業界でも、時間の問題でこの状況になると思われます。当事務所では、別法人で外国人介護職の人材紹介事業を行っているのですが、この動きを肌で感じます。
外国人を採用したことがある介護施設では、この動きに気づいており、優秀な外国人材がいれば、即面接、即採用されています。
この記事を作成した人 つくばワールド行政書士事務所 行政書士 濵川恭一