外国人材支援に関する入札案件の取り方

全国の都道府県や主要な市では、ほぼ毎年、外国人材支援に関する入札案件が出されます。その予算は、数百万円から数億円になることもあります。官公庁の入札というと、一見難しそうに見えがちですが、参入のハードルはそれほど高くはありません。今月から2回に分けて、こうした入札制度の概要や落札のためのポイントを紹介します。

外国人材支援に関してどんな入札案件があるのか?

自治体や年度によっても異なりますが、よくある案件としては、①外国人採用や雇用管理に関するセミナー、②企業と外国人のマッチング支援、③外国人向け就職対策講座、④外国人雇用に関するハンドブック作成などがあります。そして、これらを統合的に行う施設(外国人就職支援センター等)の運営を委託するという案件もあります。以下でそれぞれのポイントを解説します。

①のセミナーに関しては、どういった企業を対象とするかでセミナーの内容も異なってきます。例えば、外国人の雇用を検討している企業が対象であれば、外国人雇用のメリットや注意点、必要な手続き等、基本的な内容になります。一方で、既に外国人を雇用している企業が対象であれば、雇用した人材が職場定着し、長く働いてもらう方法や、外国人労働者が活躍できる職場環境の整備の仕方といった発展的な内容が考えられます。事業計画書においては、会場や時期の具体性、セミナーの内容、講師の適格性などが審査されます。

つくばワールド行政書士事務所では複数の自治体の案件に関わったことがあるのですが、いずれも、セミナーの企画書を作成し、自治体の担当者との打合せ、投影用・配布用資料の作成、そして当日の講師を担当しました。配布用資料の文言については、かなり細かいチェックが入ったことを覚えています。セミナー自体は単発で終わりますが、事前の準備に相当な稼働がかかります。ですが、参加者の満足度が高ければ、継続的な受託につながります。

②は、外国人をこれから雇用しようと考えている企業と、日本での就労先を探している外国人のマッチングをする事業です。厚労省の職業紹介事業許可の取得が要件となっていることが多いです。近年では、コロナの影響もあり、外国人留学生の就職マッチング事業が多いようです。

③の外国人向け就職対策講座は、ビジネス日本語、ビジネスマナー、日本の商習慣、面接対策、日本人とのコミュニケーション等を教える講座です。人材ビジネス会社や研修会社、資格予備校などが受託しています。

外国人材支援に関する入札案件の探し方

入札案件の探し方は、大きく3つあります。1つ目は、インターネット検索です。自治体のWEBサイトの入札関連ページにアクセスし、地道に探す方法です。検索エンジンなどで「外国人」「入札」「調べたい自治体名」などのキーワードを使って検索します。他のキーワードとしては、「留学生」「プロポーザル」「雇用」などがあり、それらを組み合わせて検索すると見つかります。

2つ目は、外国人雇用の専門家に探してもらう方法です。具体的には、外国人雇用を専門とする行政書士、外国人教育を提供している研修会社等です。彼らは独自の情報入手経路や人脈を持っていますので、効率的に情報収集したいときには活用できるでしょう。また、専門家に依頼することで、情報収集だけでなく、入札参加資格審査申請、仕様書等の入手、期日管理、実際の入札申請まで、トータルでのサポートを受けることも可能です。

3つ目は有料の入札情報サービスを利用することです。関心のあるキーワードを登録しておくと、関連する入札案件情報を知らせてくれます。

入札に参加するための要件

個別の案件によって異なりますが、一般的な要件は、①競争入札参加資格を有していること②法令で入札参加を制限されていないこと③暴力団員等と密接な関係がないこと④納税義務のある市税、県税及び国税に滞納がないこと⑤仕様書に合致した業務を確実に実施できる者であること⑥会社更生法に基づき更生手続開始の申立てがなされている者又は民事再生法に基づき再生手続開始の申立てがなされている者でないこと、⑦入札先自治体内に事業所があることなどが要件となることが多いです。これに、⑧本業務と同種又は類似の業務を実施した経験を有する者であること、というような要件が加わることもあります。

基本的な入札の流れ

入札に参加するためには、一連の流れがあります。自治体によって細かい点は異なりますが、一般的な流れとポイントを紹介します。

①事業者登録(入札参加資格の取得)

原則、事業実態のある法人や個人事業主であれば登録することが可能です。一部の例外を除き、売上規模や営業年数、官公庁業務の実績は問われません。ただし、有効期限には注意しましょう。有効期限を過ぎた場合は再度の登録が必要です。

②入札公告を探す

インターネットや入札情報サービスなどを利用して入札公告を探します。入札情報は、各自治体の公式サイトで公開されますが、その時期はバラバラですので注意しましょう。自社が参加できそうな入札公告を見つけたら、その案件に関する仕様書、手引きなどの資料を全て入手しておきましょう。

入札説明会に参加する

入札説明会がある場合、必ず参加しましょう。入札仕様書に書かかれていない情報を担当者から聞ける可能性もあります。また、その場で不明点を質問することもできます。

④入札書類の作成

案件によって、入札に参加するために必要な書類は異なります。書類に不備があると、入札に参加できませんので、十分に注意して準備しましょう。

⑤入札

入札書類一式が用意できたら、自治体の窓口に持参もしくは郵送で申請します。最近では、オンライン申請できる案件も増えてきました。

落札方式は2つある

落札の決定方法には大きく2つあります。最低価格方式と総合評価方式です。最低価格方式は、その名のとおり、予定価格の範囲内で最低金額を入札した業者が落札者となります。総合評価方式は、価格以外の要素と入札価格から評価点を算出し、落札者を決定する方式。価格以外の要素については、これまでの実績や技術力、新規性、地域貢献度、リスクマネジメントなど、案件によって異なります。原則、書類審査ですので、計画書の完成度が大きく影響します。

入札書類作成のポイント

入札書類の中で、一番重要なのが、事業計画書(企画書)です。分かりやすく書くことは勿論ですが、計画を実現できる根拠も明確に示しましょう。また、事業計画書は、入札仕様書の要件を満たすように記載することが鉄則です。しかし、入札仕様書は、曖昧な表現で記載されていることもあります。その場合は、担当窓口に質問をしましょう。そうすることで自社に有利な具体的な仕様書に修正出来ることがあります。

入札の結果、見事落札した場合、その事業で利益を生むことを目指すのは企業として自然なことです。しかし、自治体の入札においては利益目的の考え方は好まれません。その事業を成功させることで社会貢献や地域課題の解決をしたいといった「想い」が重視されます。例えば、「人手不足解消や地域産業発展などへ貢献していきたい」、といった強い想いです。それが、企業理念とリンクしていればなお説得力が増すでしょう。

専門家を活用するメリット

専門家、士業、コンサルタントは、机上の理論で動くというご指摘を受けることもありますが、最近では、現場を熟知し、現場のニーズに寄り添う専門家も増えてきました。

専門家を活用するメリットはたくさんあります。大きなメリットは、時間の節約です。入札情報の収集や入札書類の作成には、相当な時間がかかります。自治体によって入札時期や申請書類、要件などが異なります。通常、入札期間は数週間しかありませんので、スケジュール管理も必要です。また、入札の経験や書類作成のノウハウがないと、無駄も生じます。また、入札の手引きや仕様書には書かれていない情報もあります。専門家は、こうした情報も持っていることが多いです。

では、専門家なら誰でもよいかというとそうでもありません。入札ノウハウだけでなく、現場を熟知している専門家に依頼することをお勧めします。具体的には、外国人を雇用したことがある、外国人の面接経験が豊富、、海外企業とのネットワークがあるような専門家です。

外国人材支援に関する入札 よくある質問

審査は誰が行うのですか?

自治体によって異なりますが、審査委員会が審査することが多いです。自治体職員だけで審査することもありますが、外部の有識者も審査員に入っている場合もあります。

どのような審査がありますか?

まず書類選考があります。そして、予算が大きい場合は、プロポーザルというプレゼンの機会があります。通常、30分程度で、複数人数によるプレゼンも認められています。プレゼンで審査官に与える心証は、かなり結果に影響しますので、十分すぎるほどの準備、リハーサルを重ねましょう。

過去の入札資料は公開されていますか?

自治体によりますが、ほとんどのケースでは公開されていません。当事務所では、入札支援を行う際、公文書開示請求という特別な手続きを取って過去の資料を入手することもあります。

落札した場合、予算はいつ振り込まれるのですか?

通常、事業開始月に、概算請求という形で、一定額の振込があります。そして、年度末に、事業報告、決算をして、残金が振り込まれます。

 

外国人材支援に関する入札手続きをサポートします

つくばワールド行政書士事務所では、入札準備から落札後の事業支援まで、一貫してサポートしております。

具体的には、下記です。

  • お客様のニーズ、状況に合う入札情報の収集、入札要件の整理
  • 入札参加資格の取得手続
  • 入札書類、企画書、事業計画書等の作成
  • 行政庁との折衝、説明会同席など

また、落札後も、外国人材支援事業に関する企画運営に参加し、継続的な落札につながるようサポートしております。

入札支援サービスについて、詳しくはお問い合わせください。

お問い合わせ~お申込みまでの流れ

初回打合せ

メールにてお申込みください。最初に、ZOOMにて、貴社のご希望、状況などをお聞きし、当事務所でサポートできる具体的内容や料金についてご案内します。所要時間は20~30分です。

なお、入札申請ノウハウや書類の書き方だけ教えてほしいといった相談の場合、有料コンサルをご利用ください。

※現在、本サービスについての多くの問い合わせをいただいております。本サービスを必要とするお客様に最大限のサポートを提供させていただくため、誠に恐縮ですが、以下のようなご事情の方は、有料相談をご利用ください。

・入札に関する全体的な情報収集の段階である
・手続きは既に他の事務所に依頼しているが、セカンドオピニオンを聞きたい
・非通知や匿名希望のご相談

契約

当事務所から契約書を郵送させていただきます。捺印後、返送ください。なお、契約ではなく、請求書でのやり取りを希望される場合、それでも構いません。その場合、当事務所から本件にかかる業務内容確認書をお渡しします。

業務開始

契約内容に沿って業務を進めてまいります。

対応地域

関東全域、愛知県、大阪府とその隣県

その他の地域のお客様はお問い合わせください。


この記事を書いた人

つくばワールド行政書士事務所
行政書士 濵川恭一

 

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