建設会社で特定技能外国人を雇用する場合、いろいろな手続きが必要になります。その仕組みはかなり複雑ですが、ここでは、できるだけ分かりやすく説明しています。
特定技能ビザで雇用できる職種とは
建設業許可の対象職種全てです。
型枠施工、左官、コンクリート圧送、トンネル推進工、建設機械施工、土工、屋根ふき、電気通信、鉄筋施行、鉄筋継手、内装仕上げ
とび、建築大工、配管、建築板金、保温保冷、吹付ウレタン断熱、海洋土木工。塗装などですね。
特定技能ビザが創設された当初は、とびや塗装は対象外だったのですが、今は全職種が対象となっています。
受入可能人数
原則、その会社で雇用している常勤の日本人職員の数以下となります。
例えば、常勤従業員が20名の会社の場合、最大で20名まで特定技能外国人を採用できます。
特定技能ビザを取得するための条件
本人の条件と会社の条件があります。細かい条件もたくさんありますが、ここでは大きな条件を説明します。これらの条件を満たしていないと、何をどうやっても特定技能ビザは取れません。特定技能ビザでの採用を検討される時には、最低限、以下の条件を満たしているかどうかを確認しましょう。
本人の条件
2つあります。
建設分野特定技能1号評価試験に合格していること
基本的に、○×形式、30問の試験です。
落とすための試験ではない。実務経験があれば受かる試験
試験申込ページ:https://jac-skill.or.jp/exam.html
下記いずれかの日本語能力試験に合格していること
●日本語能力試験N4以上
基本的な日本語力を図る試験。簡単な日本語であれば理解できるレベル。
年に2回、実施される。
●国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)でA2以上
基本的な日本語力を図る試験。簡単な日本語であれば理解できるレベル。
国によるが毎月、あるいは毎週、試験が実施される。
試験申込ページ:http://ac.prometric-jp.com/testlist/jfe/index.html
会社の条件
主なものは下記です。
建設業許可を受けていること
建設業許可を取るためには、原則、資本金500万円以上、10年以上の実務経験者1名以上等、細かい要件があります。
特定技能外国人の建設キャリアアップシステムへの登録(JAC)
年会費を払えば加入できます。
国土交通省からの建設特定技能受入計画の認定を受ける
建設特定技能受入計画書一式を作成し、国土交通省に申請します。通常30~50枚くらいの書類が必要となります。
その他の条件
- 日本人と同等の報酬契約
- 母国語による各種書面の交付
- 当該外国人が入社後、社会保険に加入させること
- 社会保険、労働保険の未納がないこと
- 源泉所得税、法人税、消費税、法人住民税の未納がないこと
- 本人が帰国旅費を支弁できない場合、企業側が負担すること
- 法令どおり健康診断を受けさせること
- 賃金は最低賃金以上、同職種の日本人と同等以上であること
- 賃金は銀行振込であること
- 同職種の労働者の中に非自発的退職者がいないこと(直近1年)※
- 外国人労働者の行方不明者がいないこと(直近1年)
- 役員、支援責任者、支援担当者に前科がないこと(軽犯罪含む)
- 役員、支援責任者、支援担当者が破産宣告を受けていないこと
- 特定技能雇用契約に係る保証金の徴収その他財産管理又は違約金等の契約をしていないこと
- 法定支援費用について,直接又は間接に外国人に負担させていないこと
※定年退職、自主退職、契約期間終了、懲戒解雇などは、非自発的退職者には含まれません。
特定技能外国人 雇用の流れ
| 順番 | 手続き内容 | かかる費用目安 |
| 1 | 本人が2つの試験に合格する | 受験費用(1~2万円) |
| 2 | 国土交通省からの建設特定技能受入計画の認定を受ける | 15万円 |
| 3 | 特定技能外国人の建設キャリアアップシステム登録 | 法人登録数万円、1人当たり数千円 |
| 4 | 一般社団法人建設技能人材機構JAC(※)への登録 | 年会費24万円~ |
| 5 | 在留資格申請(就労ビザ申請) | 15万円~(人数による) |
| 6 | 在留資格許可(認定証明書交付) | |
| 7 | 本国の日本総領事館での査証取得 | 数万円 |
| 8 | 来日 | |
| 9 | 四半期毎の関連省庁への報告 | 外注した場合、月額3万円/人~ |
これ以外にかかる費用としては、会社が建設業許可をこれから取得する場合、建設業許可にかかる費用です。
特定技能外国人を雇用した後 企業側でやるべき支援
特定技能外国人を受け入れる際には、下記のような支援や届出が必要となります。最初は少し大変ですが、慣れてくれば、それほど難しい内容ではありません。
特定技能外国人に対する支援や届出をきちんと行うことで、外国人にとっても働きやすい職場となります。また、次の採用がやりやすくなる、業務改善につながるなど、企業側にとってもメリットがあります。最初は少し大変ですが、登録支援機関などの支援を受けながら、実行してください。
支援の外注は可能、届出は外注不可!
支援については、登録支援機関に委託(外注)することも可能です。全部を委託することも、一部を委託することも可能です。届出については、自社で行う必要があり、外部への委託はできません。ただし、通常は、登録支援機関が届出書類の書き方をアドバイスしてくれますので、安心してください。
支援を外注するかどうかで迷ったら
はじめて特定技能外国人を採用される企業では、入社後の支援を外注するか否かで迷われると思います。外注する場合の費用相場は、1名あたり、月額2~5万円です。技能実習生の監理費と同じくらいですね。年間で考えると、相応の費用になりますので、自社で行うか外注するかは慎重に考える必要があります。
既に、他の方法(技能実習生等)で外国人を受け入れた経験があり、8種類の届出書を作成する事務担当の方がおられるなら、自社で支援できると思います。届出書類については、出入国在留管理局のホームページからダウンロードできますので、実物をご覧になって、自力で書けそうかどうか判断してみてください。また、自社でもできると思うけれど、最初の数年は、登録支援機関に委託してみて、そのやり方を学ぶという方法もあります。
もし、外国人採用がはじめてということであれば、最初の1年は、登録支援機関に委託されることをお勧めします。特定技能ビザの更新時には、支援を確実に実施しているか、届出内容に不備がないか、届出が遅れて提出されていないかなどを厳しく細かく、重箱の隅をつつうような審査があります。
次に、どの登録支援機関に委託するのかについてですが、既に技能実習生を受け入れている場合、監理団体が登録支援機関を兼ねているケースが多いですので、その監理団体にお願いするのがよいかと思います。そうでない場合は、登録支援機関の担当者を見て、「外国人雇用に関する知見」があるかどうか、「外国人の支援や育成について愛情や情熱、しっかりした理念」を持っているかどうかで判断されるとよいです。外国人雇用に関する高い知見としっかりした思いを持っている担当者や登録支援機関は、適正かつ柔軟な支援を行うことができるからです。
特定技能外国人を受け入れるために必要な10の支援
特定技能外国人を受け入れるためには、以下の10種類の支援を行う必要があります。これらは自社で行ってもよいですし、登録支援機関という外部機関に委託しても構いません。
1.事前ガイダンスの実施
入職前に、事前ガイダンスを行うことが櫃用です。ガイダンスで伝えることも細かく決まっており、従事する業務内容、報酬、労働条件、日本の気候などです。3時間程度行うことが義務つけられています。
2.出入国の際の送迎
入国の際には、空港まで迎えにいき、勤務先まで送迎することが必要です。専用車ではなく、公共交通機関を使っても構いません。また、帰国の際には、空港まで送り、保管検査場まで付き添うことが必要です。これは、失踪を防止するための措置です。
3.住居の確保
自社で社宅や寮を用意するか、もしくは賃貸契約のサポートが必要です。具体的には、住居探しの手伝い、賃貸契約に同席などのサポートです。
4.生活オリエンテーションの実施
日本での生活に必要な事項(金融機関、医療機関の利用方法、交通ルールなど)、在留資格に関する事項、税金の基礎知識などを、当該外国人が十分に理解できる言語で説明します。日本人が講師をする際には、通訳者をつけるのが一般的です。
5.公的手続き等への同行
必要に応じて、市役所での住所変更、納税の手続き等に同行し、書類作成の支援を行います。海外に住む親族を扶養に入れる場合、その手続きのサポートも必要です。母国から発行される親族関係証明書の翻訳や扶養する必要性を説明した文書作成も行うことがありますね。また、スマートフォンの契約もサポートしてあげたほうがよいでしょう。日本人なら誰でも経験のある手続きですが、外国人ならではのルールや手順があります。
6.日本語学習機会の提供
日本語学習教材やオンラインレッスンに関する情報提供、施設内での日本語教育の実施など。
7.相談、苦情対応
当該外国人が十分理解できる言語(原則として母国語)で相談や苦情に対応する体制をつくる必要があります。
8.日本人との交流支援
地域のお祭りやイベント情報の案内、外国人支援ボランティアなどの案内など。必要に応じて、こうしたイベントに連れて行ったり、参加申込のサポートも必要。
9.会社都合退職の際の転職支援
ハローワークへの登録サポート、求人情報の探し方アドバイスなど
10.定期的な面談、行政機関への通報
3ヶ月に1回以上、当該外国人と面談し、仕事や生活面での悩みや要望などをじっくり聞きます。この面談についても、外国人が十分に理解できる言語で行うことが必要ですので、通訳者なども必要になってきます。そして、定期面談後には、定期面談に関する報告書の作成義務もあります。
建設業での特定技能外国人採用 よくある質問
建設業で特定技能外国人を採用する時によくいただく質問と回答です。
非自発的退職者の意味を教えてください
特定技能ビザで外国人を雇用するためには、雇用主側に様々な要件がありますが、その1つに下記があります。
直近1年間に非自発的退職者がいないこと
非自発的退職者について、説明しますね。
非自発的退職者とは、自らの意思ではなく、会社側の都合や理由により退職した人のことです。
具体的には、下記が該当します。
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なお、非自発的退職者は自己都合退職と異なり、失業手当の受給期間が短縮されるなど、失業保険の給付に関して有利な条件が適用されます。
非自発的退職者に該当しないケース
非自発的退職者に該当しないケースについては、特定技能雇用の基準省令第2条に記載されています。
つまり、ここに記載されている退職者は、非自発的退職者には含まれません。
イ 定年その他これに準ずる理由により退職した者
ロ 自己の責めに帰すべき重大な理由により解雇された者(懲戒解雇等)
ハ 期間の定めのある労働契約(以下「有期労働契約」という。)の期間満了時に当該有期労働契約を更新しないことにより当該有期労働契約を終了(労働者が当該有期労働契約の更新の申込みをした場合又は当該有期労働契約の期間満了後遅滞なく有期労働契約の締結の申込みをした場合であって、当該有期労働契約の相手方である特定技能所属機関が当該労働者の責めに帰すべき重大な理由その他正当な理由により当該申込みを拒絶することにより当該有期労働契約を終了させる場合に限る。)された者
ニ 自発的に離職した者
自己の責めに帰すべき重大な理由により解雇された者とは?
特定技能雇用の基準省令第2条にある
(イ)定年、(ハ)契約満了、(ニ)自己都合退職。
この3つは分かりやすいですね。
問題は、(ロ)の「自己の責めに帰すべき重大な理由により解雇された者」です。
この「重大な」という言葉がポイントになります。
いろいろな学説や解釈があるのですが、実際の運用では、懲戒解雇が該当するケースが多いようです。
懲戒解雇に該当するかどうかは、個別ケースにより異なりますので、労働局もしくは社会保険労務士の方に相談ください。
なお、東京労働局では、解雇に関する分かりやすいパンフレットを発行しているので、リンクを貼っておきます。
以下、上記のパンフレットの抜粋です。
懲戒解雇とは従業員が極めて悪質な規律違反や非行を行った場合 懲戒解雇を行うためには、解雇就業規則や労働契約書に、その要件を具体的に明示しておくことが必須です。 |
建設業での特定技能外国人受入サポート
ワールド行政書士法人では、特定技能ビザの外国人を雇用されたい建設業の企業様に向け、面倒で複雑な手続一式を丸ごと代行(一部、法的に代行できない業務を除く)するサービスを提供しております。
サポートの内容
下記業務が含まれます。いろいろ書いておりますが、要は、特定技能ビザで外国人が働けるようになるまでサポートしますよということです。
- 国土交通省への建設特定技能受入計画の認定申請一式
- 在留資格申請一式
- 出入国在留管理局への申請代行、補正対応
- 本国での査証申請サポート
- 本件に関するコンサルティング
- 特定技能ビザ取得後の法定支援、各種届出書類の作成・届出代行
対象エリア
茨城県
それ以外の地域については、お問い合わせください。
- この記事を作成した人 ワールド行政書士法人 行政書士 濵川恭一


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