特定技能ビザを持つ外国人の転職 3つのパターン別に留意点を解説

特定技能ビザ 転職

特定技能ビザを持つ外国人の転職には、大きくわけて3つのパターンがあります。

  1. 同業種内での転職
  2. 異業種への転職
  3. 技人国ビザ、介護ビザ等へのアップグレード転職

まず、3つのパターン共通の留意点が2つあります。

必ず在留資格変更(ビザ変更)の手続きを行う

特定技能ビザは、勤務先に紐づいたビザです。ですから、原則、勤務先が変われば、ビザ変更の手続きが必要です。

ビザ変更が完了するまでは、転職先で働くことはできません。

空白期間をできるだけ作らない

退職後、長期間仕事をしていない状態が続くと、

  • 在留状況の説明を求められる
  • 更新時の審査に影響する

可能性があります。


では、以下で、転職パターン別の留意点について、分かりやすく解説しますね。

同業種(同分野)内での転職で気をつけること

特定技能外国人が同業種へ転職する時の手続きは比較的スムーズですが、「同業種だから大丈夫」と考えて手続きを怠ると、ビザ更新ができなかったり、知らずに不法就労になっていたりすることもあります。

転職先が「受入れ要件」を満たしているか確認する

同じ業種でも、受入れ企業が特定技能外国人を雇用できる要件を満たしていなければ転職できません。

例えば、

  • 業種(分野)ごとの基準を満たしている
  • 必要な協議会へ加入している
  • 労働関係法令違反がない
  • 支援体制を整備している

などの条件があります。

また、建設、介護、農業などは分野ごとに追加ルールがあります。

例えば建設分野では、

  • 国土交通省への手続き
  • 建設特定技能受入計画

などが必要になります。

異業種への転職で気をつけること

定技能ビザでは、異業種への転職は「同業種への転職」と比べて注意すべき点が多くなります。 特定技能は分野ごとに在留資格が認められているため、転職先の業種によっては新たな要件を満たす必要があります。

以下のポイントを確認しておきましょう。

転職先で就労するための本人要件を満たしていることが必要

例えば、

  • 外食 → 製造業
  • 製造業 → 建設
  • 農業 → 宿泊

など、特定技能の分野が変わる場合は、原則として新しい分野の要件を満たさなければなりません。

具体的には、

  • 分野ごとの特定技能評価試験
  • 日本語能力試験(JLPT N4等)
  • 介護日本語評価試験

などの合格が必要になります。

人国ビザ、介護ビザ等へのアップグレード転職

特定技能ビザ→技人国ビザ等へのアップグレードが認められると、以下のようなメリットがあります。

  • 家族の呼び寄せが可能になる
  • 更新回数に制限がなくなる
  • 将来的な永住申請も視野に入る

このように、外国人本人・雇用企業の双方に大きなメリットがあります。

一方で、アップグレード申請は通常の更新申請より審査が厳しく、慎重な準備が必要です。特に重要なのは、これまでの在留資格申請との整合性です。過去の留学ビザや特定技能ビザの申請書に記載した学歴・職歴・在留歴に矛盾がないかが細かく確認されます。大学名や卒業年月日、学位の有無などに食い違いがあると、審査に影響する可能性があります。また、納税状況や社会保険・年金への加入状況、法令違反の有無など、これまでの在留状況についても厳しく確認されます。

さらに、アップグレード後の仕事内容が、新しい在留資格に適合していることも重要です。例えば、技人国ビザでは専門的知識や技術を必要とする業務であることが求められ、単純作業や現業中心の業務では許可されません。製造業の機械オペレーター、販売職、施工管理、飲食店のマネージャーなどは、実際の業務内容を十分に説明し、専門性を客観的に示す必要があります。同じ会社でビザのみ変更する場合でも、従来業務との違いを具体的に説明することが求められます。

また、技人国ビザでは学歴要件も重要です。大学卒業だけでなく、正式な学位(Bachelor)を取得していることが必要であり、卒業証明書や学位証明書の内容も事前に確認しておくことが大切です。就労ビザのアップグレードを成功させるためには、過去の申請内容との一貫性、仕事内容の専門性、そして学歴要件を十分に確認したうえで申請準備を進めることが重要です。

特定技能の転職についての統計データ

厚労省や法務省では、定期的に、特定技能ビザを持つ外国人の転職についての統計データを発表しています。

転職経験ありは全体の22%

まず、1年未満の転職者が一定数います。

そして、転職者の9割が「最初の3年以内」で転職しています。

一方、4年以上勤務した後に転職する人は1割未満と非常に少ない。

これは今後の課題になるでしょう。

また、転職者が多い業種についてもみてみましょう。

転職率が高い業種は、農業、漁業、飲食料品製造業などです。

いずれも、都市部から離れた場所にあることが多いというのが共通点でしょうか。

一方、転職が少ない業種は、航空、建設、自動車整備。

航空と自動車整備については、受入先(転職先)の絶対数が少ないという理由が大きいと思われます。補足すると、全国に自動車整備工場の数は多いのですが、特定技能外国人を受け入れるための企業側の要件が厳しいため、なかなか新規の受入先が増えてきません。

そして、建設業の転職が少ない理由としては、転職する時の手続きの煩雑さ、全体的に高賃金であるため、賃金を理由とした転職が少ないということがあげられます。

都市部への転職が多い

同資料では、転職先地域についても公表されています。これは従来からの予想どおり、都市部に集中しています。具体的には、東京、神奈川、埼玉、千葉、愛知、大阪、京都、兵庫がいずれも転入超過となっています。また、都道府県をまたぐ住居地の異動は、延べ転職者数の66.0%となっています。

大都市圏の転入超過については日本人も同じ傾向ですが、特定技能外国人の場合、転職者の66%が都道府県をまたぐものであることは特筆すべきことです。つまり、転職するためには住所移動も厭わないという姿勢がはっきりと見えます。


この記事を作成した人 ワールド行政書士法人 濵川恭一

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